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04 爆弾男の凶行

爆弾男の凶行その9

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「お前たち程度の能力で、俺が倒せるとでも……?」
 亜銀が、そう言って笑いハンカチ一枚をポケットから取り出し言葉を続けた。
「なんなら、このハンカチ一枚で、お前らを倒してやろうか?」
「そんなんで、私たちに勝てるとでも思っているのか?」
 玉藻が、亜銀を睨む。
 それをあざ笑うかのように亜銀は、ハンカチをヒラヒラと動かす。
「勝てる。
 余裕でな……」
「やってみろ!」
 玉藻が、大きな声を出す。
「玉藻くん止めるんだ!
 君では亜銀警視長には、勝てない!」
 エリーが、そう言って玉藻を押さえる。
「そうだよ、玉藻ちゃん。
 落ち着いて……!」
「止めないで下さい!
 係長!エリー!」
 玉藻の顔はもう怒りに満ちていた。
 亜銀が、ハンカチを伸ばすとハンカチは真っすぐ伸び鋭利のある刃物のように尖る。
 そして、その尖ったハンカチを玉藻の額に当てる。
「ほら、これでお前をいつでも殺せる」
 亜銀は、そう言って笑う。
「警視長!それ以上は……」
 エリーがそう言って亜銀の方を見る。
「お前はアイツのなんだ?」
 亜銀は、エリーの言葉を無視して玉藻に尋ねた。
「……友達だ」
「時間の無駄だったようだな」
 亜銀は、ハンカチを元の状態に戻すと玉藻に背を向ける。
「まて……逃げるのか?」
 玉藻がそう言うと亜銀が鼻で笑う。
「逃げる?そうじゃない帰るのさ……
 この場所に俺がいる意味はもうない」
 亜銀は、そう言うと車の中に入った。
 そして、すぐに車を発進させた。
 王次とエリーが、玉藻の体から離れる。
「アイツは……いったいなんのギフト能力者なのですか?」
 玉藻の問にエリーが答える。
「亜銀警視長……あの人は、警察署内でも5本の指に入る強さを持っている
 能力は、タッチウェポン。
 触れたもの全てを武器に変える能力。
 瞬間記憶能力に玉藻くん君と同じ肉体強化のギフトを持っている」
「亜金のオールウェポンとどう違うのですか?」
 玉藻の問に王次が答える。
「思い出したよ。亜銀警視長のタッチウェポン。
 さっきエリーさんが言ったように彼の能力は、触れたもの全てを武器に変えるんだ。
 亜金くんは、亜金くんに触れようとする全てのものを武器変える。
 触れるか触れられるかの差だけど……
 亜金くんの場合、触れようと意思がないものには効果が無い。
 だけど、亜銀警視長の場合は、触れたらそこから武器になる。
 戦いになると亜銀警視長に触れられたらその人はもう亜銀警視長の操り人形さ……」
 王次がそう言ってため息をつく。
「でも、それってチート級で呪いもあるんじゃ……?」
「ないよ。
 彼はそう、いうなればギフテッドさ……
 神様に選ばれた存在……」
 玉藻の問にエリーがそう答えると和久が、玉藻の顔を見る。
「大丈夫だ!玉藻!
 亜金が死んだと決まったっワケじゃない!
 亜金は運が悪いが悪運はある。
 大丈夫だ……!大丈夫!」
 和久は、自分にも言い聞かせるようにそう言った。
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