芋洗THE係長の事件簿

03 増えない友達

増えない友達その5

「死者7人、負傷者46人。
　大惨事だね」
　王次が呟く。
「ああ。
　だが、亜金がいなければもっと悲惨な状況になっていただろうな」
　和久は静が、パトカーに乗るのを眺めながらそう言った。
「さて、僕たちは僕たちの仕事をしよう」
　王次たちは、そう言ってその場にいた人たちに話を聞いた。

――数時間後・大阪府平仮名警察署刑事課強行犯係

　　要は、こうだった。
　　街中で、突然静が奇声をあげた。
　　するとポケットから、サバイバルナイフを取り出すとまず若い女の人を刺した。
　　その後に老人を刺し老人と一緒に散歩中だった孫を刺したあと、周りが異変に気づきパニック。
　　逃げまとう街の人達を後ろから、次から次へとナイフで無差別に刺した。

　そして、たまたまその場に言わせた玉藻と亜金に遭遇し、逮捕された。
　静に対しての情報も入ってきた。

　　源　静　18歳高校生。
　　学校では酷いイジメを受けており毎日「お前に生きる価値はない」と言われ殴られてい　たそうだ。
　　また運動神経は、下の下で。
　　勉強も出来る方ではない。

　心が、小さく頷く。
「うーん。
　運動神経は下の下ってあるけれど。
　情報によると結構俊敏に動いていた見たい……」
「そこなんだよな。
　俺も気になった」
　和久がそう言って、コーヒーを口に運ぶ。
「そうね……
　誰かにギフトでも授かったとか？」
　心がそう言うと王次が首を傾げる。
「授かる？あれは自分に不幸が訪れた時に脳が刺激され得れる力じゃないの？」
「それが北島や橘は、何も失ってないわ。
　誰かに授かったかの質問に関しては黙秘してるの」
「この事件、もして意外と厄介なのかもな……」
　和久がため息混じりに答えた。
「にしても、亜金ちゃん行くところに事件あり！ね……」
「不幸食うために不幸をを引き寄せてるんじゃないか？」
　エリーが、そう言って現れる。
「あら、エリーさんいらっしゃい」
　心が、そう言ってコーヒーをエリーに出す。
「ありがとう」
　エリーは、心にお礼を言った。
「で、亜金が不幸を引き寄せるとはどういうことだ？」
　和久が、そう尋ねるとエリーがすぐに答えを出した。
「亜金の不食は、周り人間を幸せにする。
　だけど、不食が同時に不幸を引き寄せるらしい。
　本来なら不食は、それを食べるため実質僕たちに影響はあらわれない」
「じゃ、亜金ちゃん関係ないんじゃ……？」
「だが、気になる情報もある。
　ここ最近、ギフト能力者ギフテッドによる犯行が全国的に増えている」
「ニュースでやっている事件とか解決していないの多いわよね」
　心がそう言うとエリーが頷く。
「そう、そして今日を持って特殊班が組まれることになった。
　対ギフテッド対策に特化した特殊班対策室だ。
　亜金を含め、係長、心さん、和久さんの4人は特殊班に今日付けで任命することになった」
「なんかテレビドラマみたいだな」
「人生常にドラマよ」
　和久の言葉に心が即答した。