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01 その男係長!
その男係長その10
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――ウエディングヤシノキ
「ヤバいヤバいヤバい……
ヤバいヤバいヤバいヤバい!」
橘が、そう言ってひとり呟く。
その場には手足を縛られた若い女が、もうひとりにいた。
女は小刻みに震え、そして声を出す。
「家に帰して……」
女は橘に睨まれその目の鋭さに恐怖し動きを止めた。
「気分転換にお前を殺そうか?
いや、その前に犯して……指を一本ずつ切り落とそうか?」
「やめて……!殺さないで!」
女が懇願する。
橘が、ナイフを女の頬に当てる。
「う・る・さ・い・よ!」
橘は、女のポケットからカードケースを取り出し中にあった運転免許証を見る。
「水根 睦(みずね むつみ)と言うのか?古臭い名前だな!」
橘はそう言って睦の胸に手を触れる。
「触らないで……」
睦は、涙を流しながら首を横に振る。
すると橘は、ナイフを睦の首筋に当てる。
それと同時にホテルのドアがゆっくりと開かれる。
「橘!そこまでだ!」
そう言って現れたのは、火のついたタバコを咥えた和久だった。
「動くな!動くとコイツを殺すぞ!」
橘が、そう言ってゆっくり睦と一緒に立ち上がる。
「まぁ、そう焦りなさんな。ゆっくり一服とでも行こうぜ?」
和久は、そう言ってタバコの煙を一気に吐き出した。
「はははははははは!」
橘は、大声を出して笑う。
「なにがおかしい?」
「お前らホントに緩いのな!」
橘は、そう言って体を動かす。
「あれ?」
橘は、首を傾げるともう一度体を動かそうとする。
しかし、動けない。
「足が動かねぇ!どうなってるんだ!」
橘が、大きな声で叫ぶ。
「橘 勤……君を誘拐及び障害未遂の現行犯、また殺人の容疑で逮捕する!」
王次が、そう言って和久の後ろから現れると警察手帳を橘に見せた。
「動くな!コイツは、どうなってもいいのか?」
橘が、焦った表情で言う。
「『動くな』それは、僕に言ってるのかい?仮に君がその子に傷のひとつでもつけたとしよう。そしたら僕は、君をなんのためらいもなく殺すよ?」
王次が、殺気に満ちた目で橘を睨む。
「クソが……瞬間移動さえ出来ればお前らなんて……!」
橘が怯えた表情でそう言う。
すると心と亜金が少し遅れてやってくる。
「仮に今回逃げれても私が、貴方を追い続けるわ」
「なんなんだよ!テメェらは!」
「ギフト能力は、悪いことをするために神様が与えた力じゃないわ」
心が、そう言って水晶を宙に浮かべる。
水晶には、橘の姿が映し出されていた。
「なんでだ?なんで動かねえ!」
橘が、足を動かそうとするが動かない。
「気づかねえか?」
和久が、そう言ってケラケラ笑う。
「なんだ?何が可笑しい?」
「ヒント……煙ってあ、答えか……」
心もそう言ってクスクス笑う。
「煙?」
橘は、ここではじめて自分の体が煙に包まれていることに気づいた。
「まさか!
お前も……!」
橘が、和久の方に視線を移す。
「ああ。俺は煙を自在に操る能力者だ……
お前の周りの煙を硬くさせて動きを封じさせてもらった」
和久が、そう言うともうひと呼吸煙を吐いた。
煙は、睦の体を包み込むと煙を固まりに変え一気に引き寄せた。
固まりとなった煙はナイフを弾き飛ばし床に突き刺さった。
「クソが……」
「とりあえず、確保だ」
和久が、そう言って橘に手錠をかけた。
「貴様らは何者なんだ?」
橘が、そう言うと王次が答える。
「大阪府平仮名警察署刑事課強行犯係係長。
芋洗 王次。クラブは、オカルト部さ……」
王次が、そう言って橘の方を見て笑った。
「ヤバいヤバいヤバい……
ヤバいヤバいヤバいヤバい!」
橘が、そう言ってひとり呟く。
その場には手足を縛られた若い女が、もうひとりにいた。
女は小刻みに震え、そして声を出す。
「家に帰して……」
女は橘に睨まれその目の鋭さに恐怖し動きを止めた。
「気分転換にお前を殺そうか?
いや、その前に犯して……指を一本ずつ切り落とそうか?」
「やめて……!殺さないで!」
女が懇願する。
橘が、ナイフを女の頬に当てる。
「う・る・さ・い・よ!」
橘は、女のポケットからカードケースを取り出し中にあった運転免許証を見る。
「水根 睦(みずね むつみ)と言うのか?古臭い名前だな!」
橘はそう言って睦の胸に手を触れる。
「触らないで……」
睦は、涙を流しながら首を横に振る。
すると橘は、ナイフを睦の首筋に当てる。
それと同時にホテルのドアがゆっくりと開かれる。
「橘!そこまでだ!」
そう言って現れたのは、火のついたタバコを咥えた和久だった。
「動くな!動くとコイツを殺すぞ!」
橘が、そう言ってゆっくり睦と一緒に立ち上がる。
「まぁ、そう焦りなさんな。ゆっくり一服とでも行こうぜ?」
和久は、そう言ってタバコの煙を一気に吐き出した。
「はははははははは!」
橘は、大声を出して笑う。
「なにがおかしい?」
「お前らホントに緩いのな!」
橘は、そう言って体を動かす。
「あれ?」
橘は、首を傾げるともう一度体を動かそうとする。
しかし、動けない。
「足が動かねぇ!どうなってるんだ!」
橘が、大きな声で叫ぶ。
「橘 勤……君を誘拐及び障害未遂の現行犯、また殺人の容疑で逮捕する!」
王次が、そう言って和久の後ろから現れると警察手帳を橘に見せた。
「動くな!コイツは、どうなってもいいのか?」
橘が、焦った表情で言う。
「『動くな』それは、僕に言ってるのかい?仮に君がその子に傷のひとつでもつけたとしよう。そしたら僕は、君をなんのためらいもなく殺すよ?」
王次が、殺気に満ちた目で橘を睨む。
「クソが……瞬間移動さえ出来ればお前らなんて……!」
橘が怯えた表情でそう言う。
すると心と亜金が少し遅れてやってくる。
「仮に今回逃げれても私が、貴方を追い続けるわ」
「なんなんだよ!テメェらは!」
「ギフト能力は、悪いことをするために神様が与えた力じゃないわ」
心が、そう言って水晶を宙に浮かべる。
水晶には、橘の姿が映し出されていた。
「なんでだ?なんで動かねえ!」
橘が、足を動かそうとするが動かない。
「気づかねえか?」
和久が、そう言ってケラケラ笑う。
「なんだ?何が可笑しい?」
「ヒント……煙ってあ、答えか……」
心もそう言ってクスクス笑う。
「煙?」
橘は、ここではじめて自分の体が煙に包まれていることに気づいた。
「まさか!
お前も……!」
橘が、和久の方に視線を移す。
「ああ。俺は煙を自在に操る能力者だ……
お前の周りの煙を硬くさせて動きを封じさせてもらった」
和久が、そう言うともうひと呼吸煙を吐いた。
煙は、睦の体を包み込むと煙を固まりに変え一気に引き寄せた。
固まりとなった煙はナイフを弾き飛ばし床に突き刺さった。
「クソが……」
「とりあえず、確保だ」
和久が、そう言って橘に手錠をかけた。
「貴様らは何者なんだ?」
橘が、そう言うと王次が答える。
「大阪府平仮名警察署刑事課強行犯係係長。
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王次が、そう言って橘の方を見て笑った。
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