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05 夏休み

02

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 そして、今日から夏休み。
 ゆっくり眠れる。
 でも、暇だ……

 美姫と護は今頃旅行の準備の買い物かな?
 来週行くんだよね。

 もう大人になるのかな?

 そう考えると切なくなる。
 それは、きっと僕が美姫のことが好きだからだろう。

 学校に行くか……

 僕はふと思った。
 軽音部に葉月先輩がいるかもしれない。
 葉月先輩に暇をつぶしてもらおう。

 僕は、そう思い軽音部の部室に向かった。

 歌声が聞こえる。

 女の人だ。
 葉月先輩じゃない。

 僕は、軽音部のドアを開ける。

 するとそこには、キーボードを弾く葉月先輩と歌をうたう川名さんがいた。

「川名さん?」

 僕は思わず声を出す。

「あ、私より先にみさきちゃんの名前が出るんだ……」

 葉月先輩が、しょんぼりする。

「え?どうして落ち込むんですか?」

「一くんとみさきちゃんは、ラブラブ?」

 葉月先輩が目を潤ませる。

「ラブラブじゃありませんよ」

 僕がそう言うと川名さんが言う。

「おてては繋いだことあります」

「キスは?」

 葉月先輩が、すぐに尋ねる。

「斎藤くんとは、まだです」

「一くん、キスしよっか?」

 葉月先輩がとんでもないことを言い出した。

「え?」

「みさきちゃんに負けてられない!」

「どうして負けているんですか?」

「今、『とは』と言ったよ!『とは』って!
 みさきちゃん、もうキスの経験あるよ!」

「そうなの?」

 僕がそう尋ねると川名さんがうなずく。

「ほらー!
 負けてられないよ、ハイ!チュー!」

 葉月先輩が、そう言って僕の唇に顔を近づけるので僕は、お菓子のハイチューを葉月先輩の口の中に放り込んだ。

「ハイチューですよ」

「青りんごおいしい」

 葉月先輩の表情は満足気だった。
 僕は、そんなことより先ほど見せた川名さんの淋しげな表情が気になった。
 だけど言えなかった。
 聞いてしまえば何かが終ってしまうような気がして……
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