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03 歌われること

06

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「私と峰子ちゃんは、小百合組!」

 葉月先輩が、そう言って笑う。
 楽しそうに笑う。

「小百合……?
 なんですか?それ、私嫌です!」

 宮崎さんが全力で拒絶する。

「あー。意味わかっちゃうんだー
 お主も好きよのぅー」

「私の恋愛対象は男の人ですから!」

 宮崎さんがそう言うと葉月先輩が笑う。

「私も恋愛対象は男の人よ。
 でも、女同士もいいものよ?
 知らないけど……」

「わ、私はノーマルなんです!」

 宮崎さんが泣きそうな顔をしている。
 仕方がない助けてあげるか……

「じゃ、仕方がないから僕が宮崎さんの代わりになるよ」

 僕の提案に一同が驚く。

「な、何を言っているの?
 一!意味わかってる?」

 美姫が、一番最初に声を出す。

「うん。
 僕が、葉月先輩と気持ちいことをするんでしょ?」

「えっと……」

 川名さんが戸惑っている。

「ふ、不純よ!」

 宮崎さんが顔を赤らめる。

「じゃ、宮崎さんが葉月先輩と気持ち良いことする?」

「そ、それは……」

 宮崎さんが黙る。

「いいよー
 じゃ、私が一くんの童貞を貰うね」

 葉月先輩が、ニッコリと笑う。

「え?」

 僕の胸がざわめく。

「お姉さんがリードしてあげる!」

「葉月先輩は、そういう経験あるんですか?」

 美姫が、少しセクハラ発言をする。

「ないけど、リードするの。
 年下に処女を捧げるのもいいかなと……
 と言うか、美紀ちゃんと護くんは、もうやったんでしょ?」

 葉月先輩が、セクハラ返しをした。

「まだ……です。
 キスまでです」

 護のその言葉に僕は少しほっとした。

「初めてのエッチは、旅行先でするの!」

 美姫が、恥ずかしがりもせずそう言った。

「……シーツ汚しちゃダメよ?」

「うん!
 浴室でしようねって話しているの」

 なんか生々しい会話になってきたな。

「私たちはどこでする?
 ここでする?」

 葉月先輩が僕の方を見る。
 僕は戸惑う。
 だけど、こういうので失うのはなんか違う気もする。
 でも、断るのも惜しい気がする。

「今度にしましょう。
 病院のシーツ汚したらダメですし」

 僕はやんわりと断った。

「そうね。
 それまで我慢する」

 葉月先輩が、ニッコリと笑ったまま快諾してくれた。
 川名さんと宮崎さんは不満そうな表情を浮かべていたけれど……
 別に僕が誰と済ませようと関係ないんだ。
 そう……関係ないんだ。
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