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一章 ルーファン・ルー
2 進学
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淫紋を刻んでからは毎日がハッピーだった。
嫌なことがあっても、十数分も快楽の絶頂に悶えればどうでもよくなってしまう。
だから滅多なことで怒ることはなかったし、それも一発ヌいてしまえばどうでもよくなる。
そんなもんだから俺は子どもながらに非常に温厚な性格で通っていて、『癒し系』などと呼ばれたりしていた。
一つ問題があるとすれば、自慰をするために安全に一人になれる場所と時間を確保するのに苦労したことだろうか。
なにせ、一度絶頂してしまうと十分以上は歯止めが効かないのだ。
うっかり声を抑えられないこともあるし、『トイレでこっそり』なんてことはとてもじゃないが不可能だった。
いや実のところは一度、自宅のトイレでしたにはしたんだが、夕食のとき母にやんわりと「あんた、あんまりトイレで変なことするんじゃないよ」と言われ、恥ずかしさで死ぬかと思った。
それ以来、トイレは絶対に使わないし、絶対に誰にも見つからない場所と時間を心掛けるようになったというわけだ。
幸いにも俺の自室のドアにはカギがかけられるようになっていたため、俺は部屋にこもり、しっかりとドアを施錠して耽るのが日課となった。
ただ、場所の確保はともかく、途中で家族に呼ばれたりしたら一大事である。
必然と、処理をするのは寝る前か、休日の家に誰もいない時間などに限られた。
これも淫紋の影響だったのか、当時の俺は一日でも発散しない日があるだけでムラムラしてしまい、そうするとうっかり張りつめた股間のテントを一日中気にしなくてはならないほどだった。
恥ずかしくて本当に記憶から消し去りたいんだが、『癒し系』というのも本当は『癒し系ムッツリ』というあだ名が主に女子の間で広まっていたからそう呼ばれていたらしい。
年頃の少年にとって、異性に自分の不純な感情や体の変化を指摘されることがどれほど恥ずかしかったか。
俺が地元から遠く離れた都市の魔導学術院を進学先に希望したのは、まあ、そのあたりが理由だ。
一応、表向きの理由として親などにはそこが呪術や魔術の教育に力を入れている学校だからと説明したが、本当の理由はいくつかある。
一つ、男子校であること。
同性相手なら間違いも起こらないだろうし、不意に元気になった股間を指摘されてもお互いに理解できる分、笑い話にできるだろうという魂胆だった。
何より当時の俺は、女の子に体のことを指摘されるのが恥ずかしくて嫌で、女の子のいない場所に行きたかったのだ。
一つ、寮が個室であること。
当時のあだ名の本当の意味を知った俺は、とにかく地元から、俺のあだ名を知る人たちから逃げ出したかった。
そうなると、必然と家から通えるような場所は選択肢になく、しかし家を離れるとなると処理をするための安全な場所の確保は必須になる。
鍵付きの個室は絶対だった。
一つ、獣人族の多い地方であること。
これは最初は不安材料だったのだけど、先の二つの条件がかなり厳しく、ここだと見つけられた学校がそういう地方で、妥協せざるを得ないと飲み込んだ。
が、よくよく考えて見れば、他種族に囲まれた環境のほうが変な気を起こすこともないのではないか?
そう気が付いて、最終的にはこれもプラスの材料としてカウントし、ここだと決めることになった。
そうして、俺は一人地元を離れ、獣人だらけの魔術学校に進学したのだった。
嫌なことがあっても、十数分も快楽の絶頂に悶えればどうでもよくなってしまう。
だから滅多なことで怒ることはなかったし、それも一発ヌいてしまえばどうでもよくなる。
そんなもんだから俺は子どもながらに非常に温厚な性格で通っていて、『癒し系』などと呼ばれたりしていた。
一つ問題があるとすれば、自慰をするために安全に一人になれる場所と時間を確保するのに苦労したことだろうか。
なにせ、一度絶頂してしまうと十分以上は歯止めが効かないのだ。
うっかり声を抑えられないこともあるし、『トイレでこっそり』なんてことはとてもじゃないが不可能だった。
いや実のところは一度、自宅のトイレでしたにはしたんだが、夕食のとき母にやんわりと「あんた、あんまりトイレで変なことするんじゃないよ」と言われ、恥ずかしさで死ぬかと思った。
それ以来、トイレは絶対に使わないし、絶対に誰にも見つからない場所と時間を心掛けるようになったというわけだ。
幸いにも俺の自室のドアにはカギがかけられるようになっていたため、俺は部屋にこもり、しっかりとドアを施錠して耽るのが日課となった。
ただ、場所の確保はともかく、途中で家族に呼ばれたりしたら一大事である。
必然と、処理をするのは寝る前か、休日の家に誰もいない時間などに限られた。
これも淫紋の影響だったのか、当時の俺は一日でも発散しない日があるだけでムラムラしてしまい、そうするとうっかり張りつめた股間のテントを一日中気にしなくてはならないほどだった。
恥ずかしくて本当に記憶から消し去りたいんだが、『癒し系』というのも本当は『癒し系ムッツリ』というあだ名が主に女子の間で広まっていたからそう呼ばれていたらしい。
年頃の少年にとって、異性に自分の不純な感情や体の変化を指摘されることがどれほど恥ずかしかったか。
俺が地元から遠く離れた都市の魔導学術院を進学先に希望したのは、まあ、そのあたりが理由だ。
一応、表向きの理由として親などにはそこが呪術や魔術の教育に力を入れている学校だからと説明したが、本当の理由はいくつかある。
一つ、男子校であること。
同性相手なら間違いも起こらないだろうし、不意に元気になった股間を指摘されてもお互いに理解できる分、笑い話にできるだろうという魂胆だった。
何より当時の俺は、女の子に体のことを指摘されるのが恥ずかしくて嫌で、女の子のいない場所に行きたかったのだ。
一つ、寮が個室であること。
当時のあだ名の本当の意味を知った俺は、とにかく地元から、俺のあだ名を知る人たちから逃げ出したかった。
そうなると、必然と家から通えるような場所は選択肢になく、しかし家を離れるとなると処理をするための安全な場所の確保は必須になる。
鍵付きの個室は絶対だった。
一つ、獣人族の多い地方であること。
これは最初は不安材料だったのだけど、先の二つの条件がかなり厳しく、ここだと見つけられた学校がそういう地方で、妥協せざるを得ないと飲み込んだ。
が、よくよく考えて見れば、他種族に囲まれた環境のほうが変な気を起こすこともないのではないか?
そう気が付いて、最終的にはこれもプラスの材料としてカウントし、ここだと決めることになった。
そうして、俺は一人地元を離れ、獣人だらけの魔術学校に進学したのだった。
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