18 / 26
#4
怪物を倒すもの
しおりを挟む
悲鳴が聞こえた。
暗い、暗い闇が見えた。
闇だけが、僕を包んでいた。
寒い。寒くて、体が震えだす。
怪物が、目の前に迫っている。
見たことのない怒りの形相に歪んだ顔を僕に向ける、それは……
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
唇が勝手に動いて、同じ呟きを繰り返す。
あの人は、きっと許してくれない。
だから、僕はずっとここにいる。
逃げられない。
怪物の口が見えた。
恐ろしい鋭い牙がびっしりと並んでいた。
その中でもひときわ大きく鋭い二本の牙が、ぬらぬらと光っている。
それに噛まれたら終わりだ、という知識だけが頭の中に呼び起された。
でも、僕は動けない。
(もし、これが本当の終わりなら、僕はもう、一人ぼっちじゃなくなるかな?)
その時感じていたのは、恐怖の先にある、安息への期待。
涙が、頬を伝っていった。
(これで、許してくれるよね? 母さん)
大きく口を開いた怪物の牙が、僕の喉めがけて―――
バジリスクに襲われた者の末路は悲惨だ。
すぐに治療をできたなら良いが、全身に回った毒の治療は非常に長く苦痛を伴う。
万が一巣に連れ去られてしまったら、暗い巣穴の中で身動き一つ出来ず、声を上げることも出来ず、同じように連れ去られた人や動物がすぐ近くで生きたまま食われる様を見続けることを強要される。
自分が食われるその時まで。
それは、人の心を壊すには十分すぎる地獄。
(許さない許さない許さないッ!!)
思考がはじけて、頭も体も炎の中に投げ込まれたように熱かった。
(そいつに手を出すことだけは絶対に許さない!!)
燃え盛る怒りだけが体の全てを支配している。
体の動きが遅い。遅すぎる。
もっと速く動けるはずだ。
怒りに焼かれた足が、信じられない瞬発力を生み出す。
重たい体が邪魔だ。
鈍重な自分の体の全てに腹が立ち、全身が怒りに焼かれていくのを感じた。
一瞬。
たった一瞬で、俺はバジリスクに追いついて、その横腹を山刀で振り払っていた。
体が、信じられないほど軽い。
それはきっと、いつも見る夢だ。
でもそのときからその夢は、違うものになっていた。
暗い部屋に響く女の人の悲鳴。
僕がベッドで震えていると、ついに姿を現したトカゲの怪物が、とうとう僕を食べようと鋭い牙を持つ口を大きく開く。
僕が食べられちゃうんだって諦めたとき、突然黒い狼さんが現れて、怪物を一発で蹴り飛ばすんだ。
「グェゲェッ!」
泥を絞り出したような、汚い怪物の声。
それが、怪物の本当の声なんだって思った。
狼さんは吹き飛んだ怪物にとどめを刺すと、怪物は四本の足と尻尾をバタバタッと痙攣させて、動かなくなる。
怪物が倒されると、狼さんはゆっくり僕のほうを振り向いた。
(せん、せい……?)
一瞬考えてしまうけど、全然違う。
つやつやとした漆黒の毛並みに、二つの小さなお月様。
その色は、先生の毛並みと目の色と同じだ。
でもその姿は、先生よりずっと力強くて堂々としている。
僕は、その目を見たことがあった。
その毛並みを見たことがあった。
(あなたは、だれ……?)
怪物を倒してしまったあなたは、だれなの?
あなたは、僕を助けてくれるの?
狼さんがゆっくりと近づいてくる。
優しい声。何を言っているのだろう。
優しい目。僕をじっと見つめている。
いつの間にか、あたりは明るくなっていた。
狼さんが包んでくれるから、寒さも感じない。
それは、母さんがくれなかった、せんせいがくれたのと同じ、あたたかさ。
僕はすがるように、そのひとに手をのばしていた。
やわらかいけなみがぼくのてにふれて、ぼくをつつんでくれた。
ぼくは―――
「ハリム! ハリム!」
「あ……」
小さな体を揺すっていると、ぼんやりと虚ろだったハリムの目がやっと俺を捉える。
「大丈夫か? 怪我はないか?」
「う、うん……」
「そうか」
ハリムの無事を確認すると、俺は感情のままに彼を抱きしめていた。
「良かった。本当に良かった」
彼を危険にさらした己のふがいなさと、彼が無事だったことの安堵と、彼がここにいる喜びと、様々な感情が入り乱れて、自然と涙が溢れる。
腕の中に収まる小さな体温が、何より愛おしい。
こんな感情は初めてだ。
こんな……こんなにも満たされる感情を、俺は知らない。
ずっとこうやってこの子を抱きしめていたいとさえ思えた。
「あ、あの……」
腕の中で、困惑した声が上がる。
ハッと我に返って、俺は彼を解放した。
「す、すまん。苦しかったか?」
「あの、えっと、その……」
「?」
ハリムは俺の顔や体をジロジロ見て、不思議そうな顔をしている。
俺は首を傾げた。
ハリムは他人行儀に一礼し、
「助けていただいて、ありがとうございました」
「? なにを――」
「おーい! 大丈夫かー? 何があったー!」
俺の言葉をさえぎって、教師の声が聞こえてきた。
いまさらの登場に、俺は顔をしかめる。
明るくて、あたたかい場所……?
そんなの当たり前だ。
まだ日も高いし、季節は夏。
あたたかいどころか蒸し暑い森の中にいる。
なんでそんな当たり前のことを今、気がついたんだろう?
半分夢見心地だった僕の目の前に、いつの間にか知らない人が立っていた。
おおかみおとこ……じゃない。狼族のαの人だ。
バジリスクから僕を助けてくれたその人はフサフサの毛並みで僕を抱きしめてくれて、初対面なのに、なんだかすごく距離が近い。
でも、嫌な感じはない。
むしろずっと前から知っているみたいな、いい匂いがして、すごく落ち着く感じがする。
ちょっと変な言い方だけど、その人の第一印象は『素敵な人だな』って思った。
ふわふわの毛並みに抱きしめられるのが気持ちよくって、助けてもらったのにお礼すら言っていないことを思い出して、慌てて僕は頭を下げる。
「助けていただいて、ありがとうございました」
「? なにを――」
「おーい! 大丈夫かー? 何があったー!」
先生の声が聞こえた。
僕はほっと安堵したけど、目の前の彼は嫌そうな顔をする。
(……?)
この表情、見たことがあるような……
狼男さんは僕を解放すると、やってきた先生に向きなおった。
「魔獣が出ました。バジリスクの、幼体です」
「お、おう……ってバジリスク!? どこだ!? 逃げたのか!?」
「そこに」
狼男さんが示した場所には、緑色の血だまりとその中央で白い腹を見せているバジリスクの死骸、その首に刺さったままの山刀がある。
生々しい生物の死体に、僕は思わず目を背けた。
先生は血に触れないよう注意深く観察して、
「……本物だな。まさか、うむ、だがこれは……」
いつも明るい先生がすごく深刻な顔で、馬そっくりの顔の口元に手を当てながらぶつぶつ言っている。
「なるほど、助かった。こちらとしてもこの件は厳重に調査しよう。協力感謝する」
「……」
先生は握手をするみたいに手を出したけど、狼男さんはそれを見てまた嫌そうに顔を歪めた。
やっぱり、顔は全然違うけど、このしかめっ面は彼にそっくりだ。
でも、まさか?
そんなことあるわけない。
僕は周囲を見渡した。でも、彼の姿を見つけることはできなかった。
「協力感謝する」
「……」
そう言って差し出された手を、俺は睨むように見つめていた。
俺が手を出さないと、冗談が滑った教師は大仰におどけてその手を頭の後ろに持って行く。
「ところで、もう一人生徒を見なかったか? ペアで行動するよう指示していたんだが」
「……冗談もそこまで行くと趣味が悪いですよ?」
「うん?」
腕を組み、大げさに首をひねり、体で『言ってる意味がわからない』を表現する。
やはりこの教師とは水が合わないと感じた。
ハリムが小さい事を茶化すような冗談も気に障る。
「ハリムならここにいます」
「……いや」
「クライヴくん……?」
ハリムが不安そうな声を上げるので、俺はすぐさま彼を見た。
……?
気のせいだろうか、今日のハリムは一段と小さく見える。
「どうかしたか?」
「え……本当に?」
「? 本当とは?」
言葉の意味がわからない。
すると、
「お前、クライヴか!?」
またいちいち声の大きい教師が騒ぎ立てる。
そんなもの見ればわかるだろうに。
「どうしたんだその恰好」
「どうしたって」
どうもしていない。
そう言いかけたが、ハリムも同じような目で俺を見ている。
(なんだ?)
バジリスクの返り血でも浴びただろうか?
もしそうだとしても容姿が極端に変わるようなことはない、はず……
「な……」
二人の視線に促され、改めて自分の姿を見ると、腕がびっしりと毛並みに覆われていた。
上半身も、顔も、触った場所全部が毛並みに覆われいる。
しかも、なんだか体が締め付けられて苦しいと思えば、着ていたはずの運動着がパツパツに広がり、内側から裂けてボロボロになってしまっていた。
「なんじゃこりゃあああああああ!?」
俺の渾身の叫び声は遠く森の中にこだまして、消えていった。
暗い、暗い闇が見えた。
闇だけが、僕を包んでいた。
寒い。寒くて、体が震えだす。
怪物が、目の前に迫っている。
見たことのない怒りの形相に歪んだ顔を僕に向ける、それは……
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
唇が勝手に動いて、同じ呟きを繰り返す。
あの人は、きっと許してくれない。
だから、僕はずっとここにいる。
逃げられない。
怪物の口が見えた。
恐ろしい鋭い牙がびっしりと並んでいた。
その中でもひときわ大きく鋭い二本の牙が、ぬらぬらと光っている。
それに噛まれたら終わりだ、という知識だけが頭の中に呼び起された。
でも、僕は動けない。
(もし、これが本当の終わりなら、僕はもう、一人ぼっちじゃなくなるかな?)
その時感じていたのは、恐怖の先にある、安息への期待。
涙が、頬を伝っていった。
(これで、許してくれるよね? 母さん)
大きく口を開いた怪物の牙が、僕の喉めがけて―――
バジリスクに襲われた者の末路は悲惨だ。
すぐに治療をできたなら良いが、全身に回った毒の治療は非常に長く苦痛を伴う。
万が一巣に連れ去られてしまったら、暗い巣穴の中で身動き一つ出来ず、声を上げることも出来ず、同じように連れ去られた人や動物がすぐ近くで生きたまま食われる様を見続けることを強要される。
自分が食われるその時まで。
それは、人の心を壊すには十分すぎる地獄。
(許さない許さない許さないッ!!)
思考がはじけて、頭も体も炎の中に投げ込まれたように熱かった。
(そいつに手を出すことだけは絶対に許さない!!)
燃え盛る怒りだけが体の全てを支配している。
体の動きが遅い。遅すぎる。
もっと速く動けるはずだ。
怒りに焼かれた足が、信じられない瞬発力を生み出す。
重たい体が邪魔だ。
鈍重な自分の体の全てに腹が立ち、全身が怒りに焼かれていくのを感じた。
一瞬。
たった一瞬で、俺はバジリスクに追いついて、その横腹を山刀で振り払っていた。
体が、信じられないほど軽い。
それはきっと、いつも見る夢だ。
でもそのときからその夢は、違うものになっていた。
暗い部屋に響く女の人の悲鳴。
僕がベッドで震えていると、ついに姿を現したトカゲの怪物が、とうとう僕を食べようと鋭い牙を持つ口を大きく開く。
僕が食べられちゃうんだって諦めたとき、突然黒い狼さんが現れて、怪物を一発で蹴り飛ばすんだ。
「グェゲェッ!」
泥を絞り出したような、汚い怪物の声。
それが、怪物の本当の声なんだって思った。
狼さんは吹き飛んだ怪物にとどめを刺すと、怪物は四本の足と尻尾をバタバタッと痙攣させて、動かなくなる。
怪物が倒されると、狼さんはゆっくり僕のほうを振り向いた。
(せん、せい……?)
一瞬考えてしまうけど、全然違う。
つやつやとした漆黒の毛並みに、二つの小さなお月様。
その色は、先生の毛並みと目の色と同じだ。
でもその姿は、先生よりずっと力強くて堂々としている。
僕は、その目を見たことがあった。
その毛並みを見たことがあった。
(あなたは、だれ……?)
怪物を倒してしまったあなたは、だれなの?
あなたは、僕を助けてくれるの?
狼さんがゆっくりと近づいてくる。
優しい声。何を言っているのだろう。
優しい目。僕をじっと見つめている。
いつの間にか、あたりは明るくなっていた。
狼さんが包んでくれるから、寒さも感じない。
それは、母さんがくれなかった、せんせいがくれたのと同じ、あたたかさ。
僕はすがるように、そのひとに手をのばしていた。
やわらかいけなみがぼくのてにふれて、ぼくをつつんでくれた。
ぼくは―――
「ハリム! ハリム!」
「あ……」
小さな体を揺すっていると、ぼんやりと虚ろだったハリムの目がやっと俺を捉える。
「大丈夫か? 怪我はないか?」
「う、うん……」
「そうか」
ハリムの無事を確認すると、俺は感情のままに彼を抱きしめていた。
「良かった。本当に良かった」
彼を危険にさらした己のふがいなさと、彼が無事だったことの安堵と、彼がここにいる喜びと、様々な感情が入り乱れて、自然と涙が溢れる。
腕の中に収まる小さな体温が、何より愛おしい。
こんな感情は初めてだ。
こんな……こんなにも満たされる感情を、俺は知らない。
ずっとこうやってこの子を抱きしめていたいとさえ思えた。
「あ、あの……」
腕の中で、困惑した声が上がる。
ハッと我に返って、俺は彼を解放した。
「す、すまん。苦しかったか?」
「あの、えっと、その……」
「?」
ハリムは俺の顔や体をジロジロ見て、不思議そうな顔をしている。
俺は首を傾げた。
ハリムは他人行儀に一礼し、
「助けていただいて、ありがとうございました」
「? なにを――」
「おーい! 大丈夫かー? 何があったー!」
俺の言葉をさえぎって、教師の声が聞こえてきた。
いまさらの登場に、俺は顔をしかめる。
明るくて、あたたかい場所……?
そんなの当たり前だ。
まだ日も高いし、季節は夏。
あたたかいどころか蒸し暑い森の中にいる。
なんでそんな当たり前のことを今、気がついたんだろう?
半分夢見心地だった僕の目の前に、いつの間にか知らない人が立っていた。
おおかみおとこ……じゃない。狼族のαの人だ。
バジリスクから僕を助けてくれたその人はフサフサの毛並みで僕を抱きしめてくれて、初対面なのに、なんだかすごく距離が近い。
でも、嫌な感じはない。
むしろずっと前から知っているみたいな、いい匂いがして、すごく落ち着く感じがする。
ちょっと変な言い方だけど、その人の第一印象は『素敵な人だな』って思った。
ふわふわの毛並みに抱きしめられるのが気持ちよくって、助けてもらったのにお礼すら言っていないことを思い出して、慌てて僕は頭を下げる。
「助けていただいて、ありがとうございました」
「? なにを――」
「おーい! 大丈夫かー? 何があったー!」
先生の声が聞こえた。
僕はほっと安堵したけど、目の前の彼は嫌そうな顔をする。
(……?)
この表情、見たことがあるような……
狼男さんは僕を解放すると、やってきた先生に向きなおった。
「魔獣が出ました。バジリスクの、幼体です」
「お、おう……ってバジリスク!? どこだ!? 逃げたのか!?」
「そこに」
狼男さんが示した場所には、緑色の血だまりとその中央で白い腹を見せているバジリスクの死骸、その首に刺さったままの山刀がある。
生々しい生物の死体に、僕は思わず目を背けた。
先生は血に触れないよう注意深く観察して、
「……本物だな。まさか、うむ、だがこれは……」
いつも明るい先生がすごく深刻な顔で、馬そっくりの顔の口元に手を当てながらぶつぶつ言っている。
「なるほど、助かった。こちらとしてもこの件は厳重に調査しよう。協力感謝する」
「……」
先生は握手をするみたいに手を出したけど、狼男さんはそれを見てまた嫌そうに顔を歪めた。
やっぱり、顔は全然違うけど、このしかめっ面は彼にそっくりだ。
でも、まさか?
そんなことあるわけない。
僕は周囲を見渡した。でも、彼の姿を見つけることはできなかった。
「協力感謝する」
「……」
そう言って差し出された手を、俺は睨むように見つめていた。
俺が手を出さないと、冗談が滑った教師は大仰におどけてその手を頭の後ろに持って行く。
「ところで、もう一人生徒を見なかったか? ペアで行動するよう指示していたんだが」
「……冗談もそこまで行くと趣味が悪いですよ?」
「うん?」
腕を組み、大げさに首をひねり、体で『言ってる意味がわからない』を表現する。
やはりこの教師とは水が合わないと感じた。
ハリムが小さい事を茶化すような冗談も気に障る。
「ハリムならここにいます」
「……いや」
「クライヴくん……?」
ハリムが不安そうな声を上げるので、俺はすぐさま彼を見た。
……?
気のせいだろうか、今日のハリムは一段と小さく見える。
「どうかしたか?」
「え……本当に?」
「? 本当とは?」
言葉の意味がわからない。
すると、
「お前、クライヴか!?」
またいちいち声の大きい教師が騒ぎ立てる。
そんなもの見ればわかるだろうに。
「どうしたんだその恰好」
「どうしたって」
どうもしていない。
そう言いかけたが、ハリムも同じような目で俺を見ている。
(なんだ?)
バジリスクの返り血でも浴びただろうか?
もしそうだとしても容姿が極端に変わるようなことはない、はず……
「な……」
二人の視線に促され、改めて自分の姿を見ると、腕がびっしりと毛並みに覆われていた。
上半身も、顔も、触った場所全部が毛並みに覆われいる。
しかも、なんだか体が締め付けられて苦しいと思えば、着ていたはずの運動着がパツパツに広がり、内側から裂けてボロボロになってしまっていた。
「なんじゃこりゃあああああああ!?」
俺の渾身の叫び声は遠く森の中にこだまして、消えていった。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
帝国皇子のお婿さんになりました
クリム
BL
帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。
そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。
「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」
「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」
「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」
「うん、クーちゃん」
「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」
これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
冬の兎は晴の日に虎と跳ねる。【センチネルバース】
古森きり
BL
魑魅魍魎、怪物、半獣が闊歩する魔都、中央無都。
怪物討伐専門株式会社[花ノ宮]事務所の事務員に就職した夜凪冬兎は“ミュート”のはずだった。
とある夜、帰寮した時に怪物に襲われる。
助けてくれたのは、怪物討伐専門株式会社[花ノ宮]事務所最強のセンチネル、華城晴虎だった。
レイタントとして保護された冬兎は、ガイドを持たない晴虎に寄り添ううち「彼のガイドになりたい」と願うようになっていく――。
BLoveに読み直しナッシング掲載。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに掲載。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
俺のソフレは最強らしい。
深川根墨
BL
極度の不眠症である主人公、照国京は誰かに添い寝をしてもらわなければ充分な睡眠を得ることができない身体だった。京は質の良い睡眠を求め、マッチングサイトで出会った女の子と添い寝フレンド契約を結び、暮らしていた。
そんなある日ソフレを失い困り果てる京だったが、ガタイの良い泥棒──ゼロが部屋に侵入してきた!
え⁉︎ 何でベランダから⁉︎ この部屋六階なんやけど⁉︎
紆余曲折あり、ゼロとソフレ関係になった京。生活力無しのゼロとの生活は意外に順調だったが、どうやらゼロには大きな秘密があるようで……。
ノンケ素直な関西弁 × 寡黙で屈強な泥棒(?)
※処女作です。拙い点が多いかと思いますが、よろしくお願いします。
※エロ少しあります……ちょびっとです。
※流血、暴力シーン有りです。お気をつけください。
2022/02/25 本編完結しました。ありがとうございました。あと番外編SS数話投稿します。
2022/03/01 完結しました。皆さんありがとうございました。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい
白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。
村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。
攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる