この異世界は理不尽で残酷で儚く、そして竜を狩り、国を護り、獣が吠えた。

白井伊詩

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神ノ22話「未知への一手」

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 骨が砕ける音がした。
 
 痛い――
 アジサイが顔は歪めた。頭も脳ミソをミキサーにかけられたように痛む。

「痛いってえ……」
「ミオリアは何処にいる?」

 右手の人差し指を確認すると、見るに堪えないおぞましい形に変貌していた。
 赤い肉の隙間から粉々に砕けた骨がちらちらと顔を見せている。
 両手はテーブルの上にベルトと台で指を一本一本丁寧に固定されている。金属製の台からはひんやりとした感触がまだ感じられた。

「答えろ」
「さぁてね――」

 右手中指が同じように、砕けた。

 アジサイの指先の神経は幾度となくアジサイの脳みそに鈍痛を響かせた。

「次は薬指だ」
「ってえな……勘弁してくれよ」
「では教えろ、ミオリアは何処にいる?」

 アジサイは痛みというノイズが走る思考回路で冷静に覚悟を決める。

「さぁね、王城でマスでもかいてんじゃねえか?」
「ふざけたことを!」
 
 薬指がつぶれる。必死に痛みを悲鳴でかき消そうと叫ぶ。
 
 ダブルピーは万力のような握力でアジサイの喉を押しつぶす。
「答えろ」

 万力が緩む。

「嫌だと言ったら?」


 打撃音と共に小指の感覚がなくなった――

 
「次は左だ、あまり時間を取らせるな」
「ほんとに知らねえ」

 見え透いた嘘を平然とアジサイは吐き出す。
 アジサイの精神はこの時点でかなり疲弊していた。慣れない状況、慣れない拷問、慣れない痛み、それら全てが狂ったように押し寄せている。
 正直に居場所を吐いてしまえばダブルピーはアジサイを解放するだろう。淡い期待がアジサイの中に芽生えつつあった。

「嘘、だな」

 アジサイはその言葉を聞いて鼻で笑う。

「嘘、だよ」

 ダブルピーを煽り、ほくそ笑む。
 
 
 このままダブルピーに拷問されることで、牢屋を手薄にし既に捕まっているエレインとネフィリを安全に脱出させる。
アジサイの影武者としてアンラをミオリアの元へ向かわせる。
 拷問を受けながらダブルピーを探る。
 これらがアジサイの目的である。

「貴様、それがどういうことかわかっているだろう?」
「いやいや、俺にこんなことしてどうなるなわかってんのか?」
「ふん、哀れな人間に与するただの愚者であろう?」
「愚者ね……」
「そうだ、人間は私のこの力で導いてやらねばならぬ、より強き神への信仰を持ってこの国を強い国に変えなければならない」
「政治論か、面白い、聞かせてくれよ、テメエの思想をさ、そうすりゃちっとは話す気もおきるかもしれねえ」
「お前のような教養のない奴に私の崇高な思想を教える必要がどこにある?」

 ダブルピーは一蹴した。
 アジサイはそれを聞いて酷く落胆した。

「だが人間の大方九割はその教養がない人間だ。お前が崇高と思っているのはどうやらお前の中にしかない空っぽの思想、主義だ」
「なんだと?」
「お前のその言葉からわかったよ。政治の理念がない、空っぽのやつ、見ていて哀れだ。本質を誰にも教えられなかったんだろ?」
「教養がない奴にわからないと言っているだけだ」
「では聞こうかな、人が神への信仰を今まで以上に強く持った後、その次はどうする?」
「信仰があれば神が助けて下さ――」
「神が助けてくれるなら信仰は薄れないし、助けなかったから神は信仰されなくなったんだろ」

 アジサイは呆れながらそう吐き捨てた。
 
「貴様に何が分かる!」
 
 怒りに身を任せてダブルピーはアジサイの左の指にハンマーを五回振り下ろした。
 
「――――ッ!」

 激痛の声が叫びとなって拷問室に響いた。

「失礼します」

 ダブルピーの部下と思われる奴が拷問室に入ってくる。

「なんだ?」
「ヘロットテリトリーから使者が参りました」
「シーエムか、いいだろうすぐに向かう」
「はっ!」

 アジサイはこの数秒の会話を聞き洩らさなかった。この瞬間をアジサイは待ち望んでいた。
 


 これは三日間の拷問が続いたうちのまだ一晩目に過ぎなかった――
 
 
 
 目を開ける、最悪の朝だ。アジサイはため息を付きながら自分の両手を見る。
 ダブルピーの解剖から三日が経過した。
 朝食をアンタレスと共にし、それから食休みをした後、病院の外の出た。
 
 
「なるほど、なるほど」
「あの、流石に骨を眺めながらにやけているとちょっと……」

 アンタレスは引き気味に言った。

「あ、うん、申し訳ないです」
「それで、どうしました?」
「これはダブルピーの骨格なのですが、全ての骨にナンバリングがされています。それに通常人間の肋骨は十二対の合計二十四本ですが、ダブルピーは十三対、つまり肋骨が二十六本あって通常の人間より肋骨が二本多いです」
「そういう方もおられるのですか」
「うん、事例で聞いたことはあるから、これだけでは人外判定はできないですが、肩甲骨が異常に発達しており、まるで羽みたいです。加えて腓骨は通常二股に分かれて終着でつながっているような形状ですが、ダブルピーは一本の太い骨になっていますね。明らかに骨格異常です。アンラの人間が血液を判別できるというところの見解と、この骨格、そして筋肉の発達も明らかに人間のそれではないということからこいつは人間という種から離れた存在かもしれないというわけです」
「それを知ってどうするのですか?」
「色々なことがわかりますよ」

 アジサイは骨格の観察を終え、資料を黙々とまとめる。

「……」

 アンタレスはそれを静かに見守っていた。

「……死体を辱めていると思っていますか?」
「少しは」
「そうですか、それは正しい考えだと思います」
「ではなぜあなたはこんなことを?」
「……ウィズアウトは謎の連中です。今回はたまたま勝てたというだけの話かもしれません、もっとよく調べる必要があります。私は専門家ではないですし、遺体科学を専門にしている人間はここにはいない。しかし、もしもある日、遺体から様々なことを知ることが出来る人間が現れた時、この記録は財産になります。それに骨格だけでも、この人間の弱点が探すことが出来ます」

 アジサイは静かな目で骨を眺めていた。

「そうかもしれないですが」
「それにこいつは、私に相応酷いことをしました。まぁ、お互いさまでしょう?」

 最後に毒をひとつ吐いて、アジサイは資料をまとめ終える。

「記録は終わりです、この骨はしばらくこのままにして乾燥させて病院の地下に収容されます。医者たちも興味があるようで喜んで骨を引き取りました」
「もしも、私が人間じゃなかったらダブルピーと同じようにしますか、殺して内臓を保存してバラバラにするのでしょうか?」

 不意にアンタレスはアジサイに聞いた。

「ちょっと違います。私は骨や内臓が見たいから生き物を殺したりはしません。死んでしまった者からわかる情報を調査しているだけです。もしも……アンタレス様が死んでしまったら、骨にするかもしれません」

「…………」

 アンタレスは怪訝な顔をした。

「ですがそれ以上に、悲しいでしょうね」
「悲しいのに、供養せず、解剖するのですか?」
「ええ、何故死んだのかをきっちり調べて、研究して考察して出た結論が誰かを救うことができるかもしれませんからね」

 アジサイは静かに立ち上がると、アンタレスを後にした。

「あの、私、何か勘違いを――」

 アジサイは無言のまま背を向け、左手を肩のあたりまで持ち上げて返事をした。
 
 
 
 アジサイは王室の扉の前に辿り着く。論装『怜青』を着たアジサイは目の前に出るウィンドウ画面を視線で操作し温度や脈拍や動体を感知できるようにする。
 グロックを取り出し、マガジンを引き抜き弾が装填されていることを確認し、遮光帯を目に巻く。それから三回深呼吸をする。
 
 扉をノックして返事が返ってきたのを確認し部屋に入る。

「失礼します」
 
 扉を静かに閉め、深々と頭を下げてからアクバ王の顔を拝謁する。

「傷の方はどうだ?」
「お陰様で快方に向かっております」

 王の私室であるこの部屋にはアクバ王とアジサイのだけのはずだったが、ベッドの上に見知らぬ顔の女がいた。

「恐縮ですが、そちらは?」
「妾だ」
「妾……ですか……席を外して頂いても」
「それは私が女だからですか?」
 
 アジサイの心境を一言で示すならこうである。
 うっわ、くっっっっっっそめんどくせえ女が居やがる。
 
「そういうわけではないですが」
「ふむ、アジサイ、良いではないだろうか?」

 アクバ王も妾の女側に付く。

「御意に」

 アジサイはそう答えるしかなかった。

「ウィズアウトの件であろう、それならミオリアたちから聞いている」
「話が早くて助かります。対処は既に?」
「うむ、魔道騎士部隊を編成している。部隊長の選任を誰にするか迷っているといったところだ」
「それなら適任者に心当たりがあります」
「ほう、新参者のお前にあえてそれを任せてみるのも一興かも知れぬな」
「御戯れでも私に裁量権を下さる慈悲感謝致します」
「ところでその適任者は誰なのですか?」

 妾の女は王の後ろに立ち、静かに問いかけた。
 アジサイは妾の方に視線を合せる。暫時の沈黙を保った後、アジサイは口角を挙げた。

「どうせお戯れになるなら誰が選ばれるかお楽しみにしておくのは如何でしょうか?」
「ほう、仕事をこなしつつ遊び心を持って王であるこの私に提案するその姿勢、面白い、では任せたぞ」
「御意のままに」
「待っておれ、一筆添えてやろう」
「はっ! ありがたき幸せ」

 アジサイは懸念を心に残しつつ、アクバ王から書状を受け取った。
 
「では行って参れ」
 
 アクバ王のセリフと共にアジサイは書状を持ってある場所に向かった。
 
 
 
「入るぞい!」

 ドアをぶち破るような勢いで開いてズカズカと部屋に押し入る。

「なっ、何用だ貴様!」
「まぁそう怒るなって、話がある」

 アジサイは家主の前にある、椅子に座ると欠伸をしながら気怠そうにする。

「お前のせいで俺は今謹慎中なんだぞ」
「いや、それはあんたの自爆じゃねえか、それよりさ、ちょっといい話を持ってきたんだ」
「信じるわけないだろう、お前、俺を――」
「いや、殺そうと思ってんなら夜な夜な忍び込んでナイフで一突きよ」
「チッ……わかった、それで話は?」

 無精ひげに無造作な髪を揺らしながら男は怪訝そうにアジサイに聞いた。

「ウィズアウトという組織が懐刀のミオリア、エレイン、ネフィリを急襲、構成員の一人をミオリアが討伐したんだが、どうやらウィズアウトは一枚岩の組織じゃないらしい」
「結論から言え」
「あ、はい、あんたにはウィズアウト討伐部隊の部隊長をやってもらいたい」
「なっ――」
「これは勅命でもある、受けるなら王から頂いたこの書状を渡す」
「なにか裏があるな、話が美味過ぎる」
「あんたにもう一つやってもらいたいのは王城内にウィズアウトの内通者がいる、そいつの特定だ」
「内通者の特定?」

 アジサイは静かに頷いた。

「できないなら他所に頼むけど」
「いや……できる。だが俺がそのウィズアウト側の人間でないとなぜ言い切れる?」
「直感さ」
「白々しい」
「しょうがないにゃあ……あんたは俺を一度暗殺しようとした。と言うことは今後俺に警戒されるのは当然、もしもあんたがウィズアウトで狙いを手に入れるために王城にいたとしても、暗殺未遂と目立つ行為と処罰を受けてしまった。ウィズアウトもバカじゃないだろうそんな奴はさっさと切り離して別な奴を送り込むはずだ」
「なるほど、俺がウィズアウトの人間だったとしても、既に足切りされてしまっているから、ひとりになった俺をお前が回収して仲間にする。それなら俺がどちらの組織の人間であってもお前を裏切らないという訳か」
「そういうこと、話が早くて助かるよ」
「食えない奴だな」
「昔は油が乗っていたんだけどねぇ」
「ふん、なんとでも言え、だがその仕事、乗った」
「お、マジか、助かるよ」

 男は握手を要求した。アジサイはそれに笑顔で応えた。

「これからお前の手足になってやろう、好きなように使え」
「グッド、じゃあ、これから酒盛りでもするか」
「馬鹿野郎、俺は謹慎中だ」
「おっと、失敬、じゃあ今度俺が王城に戻ったらだな」
「まぁ、飲みも仕事だ付き合ってやる」
「エリュール・タンドレッサ、任せたぜ内通者を探せ」
「……仕方がないとは言え、若造に命令されるのはやはり抵抗があるな」
「まぁ、そう言うな」

 アジサイはまだインクが乾いて間もない書状をタンドレッサに渡す。

「じゃあな」

 アジサイは立ち上がってドアに手を掛ける。
 
「最後に一つ」
「なんだ?」
「この話は誰が知っている?」

 アジサイは心の中でガッツポーズをした。なぜならタンドレッサがアジサイの期待通りの仕事をこなす裏付けを得られたからだ。

「アクバ王、俺、あんた、そして王の妾だ」
「妾……そうか……そういうことか」
「馬鹿じゃない奴が仲間になって良かったよ」

 アジサイは王城で自分がやらなければならないことを終わらせ、あとはアンタレスと共に旅に出るだけとなった。
 

「これでまぁ、俺も旅に出れるな」
 
 
 安心しきった顔でアジサイは病室に戻ることにした。

「いたぞお! アジサイだ!」

 大声で迫りくる筋骨隆々の男たちがアジサイを追いかけて来る。

「げ、工房連中!?」
「テメェ、病室から逃げやがって、金払え!」

 アジサイはリローディングマシンと弾薬の製作費用の支払いをすかっかり忘れており、工房連中に追いかけられる羽目になった。不意の出来事であっさり捕まり、アジサイは費用の精算を行うために工房へ連行された。
 
 
 工房連中はアジサイの手持ちの金を全部奪い精算に当てる。

「よし、支払いを完了した」
「ちゃんと払うつもりだったんだ」
「ふん、そう言って踏み倒した貴族を俺らは何人も知っておる」
「マジかよ……」
「だがまいい、意外とたんまり持っていたな、これは釣銭だ」

 丸々と金貨で太っていた財布が随分とスリムになった状態で帰ってきた。それでもまだ十分な金がアジサイの手元には残っている。

「はいよ、実際に何発か練習したけど中々悪くない出来だったぜ」
「ハッ、当たり前だ。バカにするんじゃねえ」

 白鬚を蓄えたおやじ、棟梁が自信を持ってアジサイに返した。

「んじゃ、また弾は発注かけるよ」
「おう、いつでも用意しといてやる」
「期待してるぜ」

 アジサイはそう言いながら、財布から金貨を三枚取り出す。
 取り出された金貨を工房の棟梁に渡す。

「なんだ?」
「これで一杯やってけ」

 工房連中はきょとんした顔をした後、ガハハと豪胆な笑い声を上げた。

「よし、お前ら、今日の仕事は仕舞にしろ!」

「「おうよ!」」

「じゃあ、楽しんで来ると良い」

 それを聞いた棟梁はアジサイの背中を叩いた。叩いたと言うより鈍器で殴られたような衝撃だった。

「お前さん、あんなおもしれえもん俺らに作らせておいて、おまけに酒代も出しておいて逃げられると思うなよ?」
「飲むのはいいが、知らねえぞ?」
「うるせえ、まだケツの青い餓鬼がほざいてんじゃねえ」
「おお、言ったな?」
「ああ、言ったぜ?」
 
 
 この後、アジサイは朝まで酒盛りをしてアンタレスにこっぴどく説教されたのは言うまでもない。
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