敗北から始まる物語~神から授かった武器がFランクの俺は決闘で敗れることで覚醒して最強へと至り何故か双子の女の子と同棲することになる~

マーラッシュ

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魔人戦後

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「さて、時期に教師達が来るから先に言っておくけどヘカテスを退けたのララさんということにしてくれないか」
「突然何を言ってるの? やってもいないことを自分の手柄にしたくないわ! いいじゃない、ユウトがやったことを公表すれば、周りのあなたを見る目も変わると思うわ」
「そうかもしれないけどこの眼のことをまだ言いたくないんだ」

 もし世間がこの眼を知ることとなれば、移植をすれば神器が手に入ると考える者が出てきて、おそらく誘拐が多発するだろう。

「ユウトの眼を狙う者が出てくるから?」
「俺の眼だけじゃなく、他の人の神器も狙われる。それは俺が望んだ世界じゃない」

 魔物を倒さなくちゃいけないのに人同士で争うなんて本末転倒だ。

「それに移植したからといって神器が使えるわけじゃないんだ」
「どういうこと?」
「これはスルンさんに聞いた話だけど過去に移植による神器の使用について研究されたことがあったけど結局上手く行かなかったみたいだ」
「ですがユグドラシルの剣が使えるかもしれないならリスクを恐れずトライしてみようと考える人がいるかもしれませんね」
「だけど俺がスルンさんの神器を使えるのは奇跡のようなものだって言われたから無駄になると思う」

 だけどルルさんの言うとおり絶対に俺の眼を奪おうとする者が出てくるだろうな。正直俺はそんな争いに巻き込まれるのはごめんだ。

「でもこのまま隠し通せるものじゃないわ。また魔人が現れた時、ユグドラシルの剣を使わないで戦うき?」
「いや、実際に魔人が出てきたらそうもいかないだろう。今はサウザンドブレードで誰も文句を言えない強さを身につけてそれから公表することを考えている」

 ある程度の地位があれば俺の眼を奪おうとする奴も減るだろう。

「だからヘカテスを退けたことに俺は関与していないことにして欲しい」
「私はユウト様のお言葉に従います。そのような事態になられてしまったのは私が原因ですし⋯⋯あの時は本当にありがとうごさいました。そして申し訳ありません」
「いや、勝手に俺がヘカテスの前に飛び出しただけだし気にしないでほしい」
「そのようなことは出来ません。スルン先生にも後で謝罪致します」

 あの時のことをルルさんのせいにする気はない。俺が弱いくせに飛び出したのが悪いんだ。だから俺がもっと強ければスルンさんの眼をもらうこ
 ともなかったし今日ヘカテスを逃すこともなかった。次こそは1人でヘカテスを倒せるようにまた鍛練をしなくちゃな。

「そして姉さんのことは関係なく、私の一生をかけてユウト様にお仕えすることをここに誓います」
「強制するつもりはないからほどほどにね」
「はい」

 おそらく断ってもルルさんは納得しないだろう。それならしばらく本人の好きにさせた方がいい。ルルさんの気持ちはわかる⋯⋯何故なら俺もスルンさんに対して同じ想いを抱いているからだ。

「ルルはいいかもしれないけど私は嫌よ。ヘカテスを退けたのはユウト。私は何も出来なかったわ」

 ララさんのスレイヤーとしてのプライドが許さないか。それなら⋯⋯。

「3人で戦ったということでいいかな? ただし詳細は隠すということで」
「姉さん、ユウト様は間違っていることは言ってないと思います」
「わかったわ。確かにユウトの眼については人に話す訳にはいかないものね」
「それじゃあ申し訳ないけど眼と神器については秘密で」

 こうしてララさんとルルさんに口止めをお願いした後、教師達がこの場に現れ、負傷したエライソ達を運び29区画を脱出するのであった。

「あなた達が魔人を退けたのね」
「はい。魔人ヘカテスの心臓を潰すことに成功しましたが、もう1人の魔人エレボスの手によって2人には逃げられてしまいました」

 俺達は29区画を出て24区画へと移動するとそこには2-Aのクラスメートとソニア先生、そして理事長であるメディアさんがおり、先程あった出来事を説明していた。

「でもあなた達なら驚きはないわ。私の殺気に対してすぐに臨戦態勢を取ることできたもの」

 メディアさんは安堵のため息をつき、笑顔で俺達を迎えてくれる。

「でも実際に3人で戦ったと言ってもAランクのララさんが中心で、他の2人はおまけみたいなものだろ?」
「称えられるのはララさんだけじゃない?」
「さすがAランクだ。俺達とは違うよ」

 やはりクラスメート達は魔人を追い詰めたのはAランクのララさんだと思っているようだ。

「それは⋯⋯」
「ララさん」
「わかっているわよ。あなたはこうなることを見越していたわね」
「さあ、どうかな」

 ララさんには惚けた態度を取ったがこうなることはわかっていた。いくらエライソに勝ったからといってクラスメート達はその瞬間を見た訳ではないからAランクのララさんを差し置いて俺がヘカテスを追い詰めたとは誰も思わないだろう。

「でもまあいいわ。次に魔人と会った時に私が倒して本当のことにすればいいだけだから」
「そうだね。でもヘカテスを倒すのは俺だ」
「魔人もあなたも必ず私が倒して見せるわ」

 今後俺は魔人にもどんなスレイヤーにも負けるつもりはない。その証明のためにまずは神聖武道祭で必ず優勝してみせるぞ。

 こうして俺はララさんとルルさんの力を借りて魔人を退けることに成功するが、スレイヤーとして一人前になるために再び研鑽する日々が続くのであった。

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