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VS魔人戦(4)
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「あんたは私が倒して見せるわ!」
ララさんがクラウソラスを手にヘカテスとの距離を詰める。
「ほう⋯⋯Aランクスレイヤーか。Bランクのスレイヤーといい今日は最高だな」
「残念だけど今日はあなたにとって最低の日になるのよ。私に討たれることによってね」
ララさんはヘカテスに向かって上段から頭を目掛けて斬りつける。
「その神器で斬られたらさすがの私でもダメージを食らいそうだ。あくまで当たればの話だが」
ヘカテスはララさんの攻撃を余裕を持ってかわしていた。
「このっ!」
そして攻撃が当たらないララさんは少し苛立ちを見せながらクラウソラスを振り続ける。
だがそれでもララさんの攻撃は当たらずかわされてしまう。何故なら今のララさんの攻撃は重力のせいでまるで子供が剣を振っているくらいのスピードしか出せていないからだ。
「避けるなあ!」
「互いに滅ぼそうとしている種族同士で争っているのに攻撃を食らうバカはいないだろう」
「速すぎるわ!」
「俺が速いんじゃない。貴様が遅すぎるだけだ」
ヘカテスの言うとおりこのまま剣を振り回しても当たることはないだろう。
「か、身体が重くて⋯⋯こんなの絶対に当たらないわ⋯⋯なんてね」
ララさんの苦悶の表情から突然ニヤリと笑うとクラウソラスから光の玉を生み出しヘカテスへと解き放つ。
「がっ!」
ヘカテスはララさんの光の玉を避けようとするが左腕に当たってしまい、声を上げていた。
「例えあなたの重力があったとしても私の光を遮ることなどできないわ」
「この雌ガキがぁぁ!」
先程まで余裕の表情を浮かべていたヘカテスが激昂して叫んでいる。
ララさんにしては焦っている感じがしたので何か策があると考え手を出さず成り行きを見守ることにしていたが正解だったようだ。
少なくとも今の攻撃でヘカテスの魔力フィールドを削ぐことが出来たのは間違いないだろう。
それにしても普段自信満々なララさんが奇策に走るなんて。それだけヘカテスがヤバい相手だと言うことを認識しているんだ。
「さあどんどん行くわよ!」
ララさんはヘカテスにとどめを刺すために光の玉を形成し解き放つ。
見たところララさんの光玉は重力の影響を受けているようには見えない。
「調子に乗るな!」
もしかしならこのまま一方的にヘカテスを倒すことができるのでは? そう考え始めた頃、突如ヘカテスの怒号が響くと共にこれまで以上の重力がのし掛かる。
「な、何これ⋯⋯立つことができない!」
ヘカテスの重力結界によりララさんは地面に平伏すことは堪えたが、膝をつき動けないでいた。
「2倍の重力から3倍の重力に変えてやったんだ。普通なら地面に這いつくばる所だがまさか立つことができるとはな」
そう言ってヘカテスは俺と⋯⋯そしてルルさんの方へと視線を移す。
「だが3倍の重力の中ではもう動くこともできまい。それに万が一動けたとしても小僧はFランクの、小娘はEランクの魔力しか感じないから俺の脅威にはならんな」
確かにFとEの神器で攻撃しても魔力フィールドには毛筋ほどのダメージしか与えられないため、ヘカテスは俺とルルさんを脅威に感じていないのだろう。
「あ⋯⋯ああっ⋯⋯いや⋯⋯」
それにルルさんはヘカテスに対して恐怖を感じているため、戦える状態ではない。
「つまらんな。せめて逃げ惑うか泣き叫ぶくらいのことを見せてほしいものだ」
「ルルに手出しはさせないわ。あんた何か私が⋯⋯」
ララさんは力を振り絞りクラウソラスの光玉をヘカテスへと発射する。
だがヘカテスは光玉を軽々とかわしてしまう。
「そのように遅い動作で光玉を飛ばしても軌道が丸分かりだ。少しは楽しませてくれると思ったがAランクのスレイヤーと言ってもその程度か」
「何ですって! この私に向かってよくもそんな口を!」
「この私が軽く振るった剣すら避けることができないだろう」
ヘカテスが明らかに手加減した剣でララさんを攻撃すると魔力フィールドが砕け散り、ララさんは地面に崩れ落ちる。
「やめろ!」
俺はその様子を見て思わずララさんの元へと駆け寄りそうになるが何とか堪える。
「小僧が騎士気取りか?」
「お前は俺を殺したかったんだろ? なら相手をしてやる」
俺はサウザンドブレードを手にララさんを護るため重力の結界の中をゆっくりと進む。
「ほう⋯⋯面白いではないか。まさかこの重力の中歩けるものがいるとは思わなかったぞ」
よし。ヘカテスの興味をこちらに移すことに成功した。
あのままララさんを攻撃されたらさすがに俺は⋯⋯。
後は時が来るのを待つだけだ。
「おしいな。その身体能力と持っている神器の魔力が強ければ私と少しは渡り合えたかもしれない。恨むなら神器を渡した神を恨むんだな」
「そんなことはない。このサウザンドブレードでもやれることはたくさんあるさ」
ヘカテスが一歩一歩こちらへと近づいてくる。その距離は5メートル。
「例えその剣に覚醒した力があろうとしょせんはFランク。俺に届くものではない」
俺は重い身体を引きずりヘカテスとの距離を詰める。
「お前を殺したら次は恐怖に怯えた小娘にするか、それともこのAランクの娘にするか。服を切り刻み辱しめて殺すのもありだな」
ヘカテスは自分の間合いに入った俺を殺すために軽く剣を振り上げる。
例え俺が反撃してきたとしても重力によって動きは制限されているし、Fランクの攻撃など避けるに値しないと考えているのだろう。
だがその油断が命取りだ!
俺は手に持ったサウザンドブレードにクラウソラスの力を注ぎ込む。すると先程までFランクの神器かAランクへと変貌する。
「こ、これはどういうことだ!」
ヘカテスはサウザンドブレードの異変に気づいたのか慌てて剣をこちら向かって振り下ろしてくるが遅い。
俺はその剣を軽々とかわして神速の一撃をヘカテスにお見舞いするのであった。
ララさんがクラウソラスを手にヘカテスとの距離を詰める。
「ほう⋯⋯Aランクスレイヤーか。Bランクのスレイヤーといい今日は最高だな」
「残念だけど今日はあなたにとって最低の日になるのよ。私に討たれることによってね」
ララさんはヘカテスに向かって上段から頭を目掛けて斬りつける。
「その神器で斬られたらさすがの私でもダメージを食らいそうだ。あくまで当たればの話だが」
ヘカテスはララさんの攻撃を余裕を持ってかわしていた。
「このっ!」
そして攻撃が当たらないララさんは少し苛立ちを見せながらクラウソラスを振り続ける。
だがそれでもララさんの攻撃は当たらずかわされてしまう。何故なら今のララさんの攻撃は重力のせいでまるで子供が剣を振っているくらいのスピードしか出せていないからだ。
「避けるなあ!」
「互いに滅ぼそうとしている種族同士で争っているのに攻撃を食らうバカはいないだろう」
「速すぎるわ!」
「俺が速いんじゃない。貴様が遅すぎるだけだ」
ヘカテスの言うとおりこのまま剣を振り回しても当たることはないだろう。
「か、身体が重くて⋯⋯こんなの絶対に当たらないわ⋯⋯なんてね」
ララさんの苦悶の表情から突然ニヤリと笑うとクラウソラスから光の玉を生み出しヘカテスへと解き放つ。
「がっ!」
ヘカテスはララさんの光の玉を避けようとするが左腕に当たってしまい、声を上げていた。
「例えあなたの重力があったとしても私の光を遮ることなどできないわ」
「この雌ガキがぁぁ!」
先程まで余裕の表情を浮かべていたヘカテスが激昂して叫んでいる。
ララさんにしては焦っている感じがしたので何か策があると考え手を出さず成り行きを見守ることにしていたが正解だったようだ。
少なくとも今の攻撃でヘカテスの魔力フィールドを削ぐことが出来たのは間違いないだろう。
それにしても普段自信満々なララさんが奇策に走るなんて。それだけヘカテスがヤバい相手だと言うことを認識しているんだ。
「さあどんどん行くわよ!」
ララさんはヘカテスにとどめを刺すために光の玉を形成し解き放つ。
見たところララさんの光玉は重力の影響を受けているようには見えない。
「調子に乗るな!」
もしかしならこのまま一方的にヘカテスを倒すことができるのでは? そう考え始めた頃、突如ヘカテスの怒号が響くと共にこれまで以上の重力がのし掛かる。
「な、何これ⋯⋯立つことができない!」
ヘカテスの重力結界によりララさんは地面に平伏すことは堪えたが、膝をつき動けないでいた。
「2倍の重力から3倍の重力に変えてやったんだ。普通なら地面に這いつくばる所だがまさか立つことができるとはな」
そう言ってヘカテスは俺と⋯⋯そしてルルさんの方へと視線を移す。
「だが3倍の重力の中ではもう動くこともできまい。それに万が一動けたとしても小僧はFランクの、小娘はEランクの魔力しか感じないから俺の脅威にはならんな」
確かにFとEの神器で攻撃しても魔力フィールドには毛筋ほどのダメージしか与えられないため、ヘカテスは俺とルルさんを脅威に感じていないのだろう。
「あ⋯⋯ああっ⋯⋯いや⋯⋯」
それにルルさんはヘカテスに対して恐怖を感じているため、戦える状態ではない。
「つまらんな。せめて逃げ惑うか泣き叫ぶくらいのことを見せてほしいものだ」
「ルルに手出しはさせないわ。あんた何か私が⋯⋯」
ララさんは力を振り絞りクラウソラスの光玉をヘカテスへと発射する。
だがヘカテスは光玉を軽々とかわしてしまう。
「そのように遅い動作で光玉を飛ばしても軌道が丸分かりだ。少しは楽しませてくれると思ったがAランクのスレイヤーと言ってもその程度か」
「何ですって! この私に向かってよくもそんな口を!」
「この私が軽く振るった剣すら避けることができないだろう」
ヘカテスが明らかに手加減した剣でララさんを攻撃すると魔力フィールドが砕け散り、ララさんは地面に崩れ落ちる。
「やめろ!」
俺はその様子を見て思わずララさんの元へと駆け寄りそうになるが何とか堪える。
「小僧が騎士気取りか?」
「お前は俺を殺したかったんだろ? なら相手をしてやる」
俺はサウザンドブレードを手にララさんを護るため重力の結界の中をゆっくりと進む。
「ほう⋯⋯面白いではないか。まさかこの重力の中歩けるものがいるとは思わなかったぞ」
よし。ヘカテスの興味をこちらに移すことに成功した。
あのままララさんを攻撃されたらさすがに俺は⋯⋯。
後は時が来るのを待つだけだ。
「おしいな。その身体能力と持っている神器の魔力が強ければ私と少しは渡り合えたかもしれない。恨むなら神器を渡した神を恨むんだな」
「そんなことはない。このサウザンドブレードでもやれることはたくさんあるさ」
ヘカテスが一歩一歩こちらへと近づいてくる。その距離は5メートル。
「例えその剣に覚醒した力があろうとしょせんはFランク。俺に届くものではない」
俺は重い身体を引きずりヘカテスとの距離を詰める。
「お前を殺したら次は恐怖に怯えた小娘にするか、それともこのAランクの娘にするか。服を切り刻み辱しめて殺すのもありだな」
ヘカテスは自分の間合いに入った俺を殺すために軽く剣を振り上げる。
例え俺が反撃してきたとしても重力によって動きは制限されているし、Fランクの攻撃など避けるに値しないと考えているのだろう。
だがその油断が命取りだ!
俺は手に持ったサウザンドブレードにクラウソラスの力を注ぎ込む。すると先程までFランクの神器かAランクへと変貌する。
「こ、これはどういうことだ!」
ヘカテスはサウザンドブレードの異変に気づいたのか慌てて剣をこちら向かって振り下ろしてくるが遅い。
俺はその剣を軽々とかわして神速の一撃をヘカテスにお見舞いするのであった。
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