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素直になれない公爵令嬢
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俺達はドルドランドを出発し、三日でブレイヴ学園があるエスヴィニア領へと到着することが出来た。
本来徒歩で行けば二週間程かかる距離だが、俺達は強化魔法をかけて走って行くことにしたからだ。
理由は簡単で、エミリアが野宿や汚い宿屋には絶対に止まりたくないと口にしたからだ。
そのため、一日目と二日目に夜を過ごした場所は、いずれも大きな街にある宿屋だった。
そして三日目の夕日が沈みかけた頃、俺達はエスヴィニア領へと到着したのだ。
「ふう⋯⋯やっと着いたわね。汗をかいたからシャワーを浴びたいわ」
「不本意ながら同感ですね。さすがに少し疲れました」
「それならさっさと寮に行きましょ」
俺達が寝泊まりする場所は、学園が用意してくれているとのことだが⋯⋯
「さすがにこの時間に学園に行くのは失礼じゃないか? たぶん相手方も、今日俺達が到着することを想定していないと思うし」
「それもそうね⋯⋯ならさっさと宿屋に行きましょ」
二週間以上かかると思った相手が三日で来てしまったんだ。おそらくまだ部屋の準備をしていないと思われる。
そのため学園には明日の朝に訪ねた方がいいだろう。
「宿屋でお泊まり? 一昨日はエミリアお姉ちゃんで昨日はサーシャお姉ちゃんと同じ部屋に泊まったから、今日はお兄ちゃんのお部屋がいいなあ」
「ダメよ!」
「ダメです!」
ノノちゃんの無邪気な提案に、間髪いれずエミリアとサーシャが反対してくる。
「ダメなの?」
ノノちゃんは首を可愛らしく傾げ、上目遣いで問いかけてくる。
俺としては可愛い妹の願いを叶えてあげたい所だが、二人が反対してるからなあ。
本来本当の兄妹でもこの歳になると、一緒のベッドで寝ることはしないだろう。だから二人に強く反論することが出来ない。
「それなら今日は、エミリアお姉ちゃんとサーシャお姉ちゃんと一緒のベッドで寝たい。ガールズトークをしてみたいなあ」
「し、仕方ないわねえ」
「で、でしたら広いベッドがある宿屋にしましょうか」
二人共嫌いな相手と同じベッドで寝るのは嫌だけど、ノノちゃんに言われたら断れないと言った所か。
やはりノノちゃんがいると場が和むな。連れてきて良かったと改めて思う。
そして俺達は宿屋を探しに街の中央通りへと向かった。
「あら? あそこにあるカフェ、内装がまあまあ良さそうね」
中央通りに到着すると、エミリアが一つの店を指差す。確かにレンガで出来た洋風なお店で清潔感もあり、女の子が好きそうな店だった。
「リック。私達ここで休んでいるから、宿を探してきて」
突然エミリアが傍若無人なことを口にするが、その際にチラリとノノちゃんとサーシャの方を見ていた。
「エミリア、あなた何を⋯⋯」
「疲れたから甘いものを食べたいの。悪い?」
一見エミリアのわがままが発動しているように見えるが、たぶんノノちゃんとサーシャが疲れているから出た言葉だろう。
俺やエミリアならともかく、ノノちゃんとサーシャにはいくら強化魔法がかかっていたとはいえ、さすがにこの三日間の旅は大変だったようだ。
やれやれエミリアも素直じゃないな。普通に「二人共疲れたでしょ? 休憩しない?」って言えばいいのに。
これだから女王様気質は困る。それなら俺が代わりに言ってあげるとするか。
「えっ? 何? よく聞こえない。サーシャとノノちゃんが疲れているから店で休んでくって?」
「ちょ、ちょっとリック!」
「わかった。宿は俺が探してくるから三人はここで休んでてくれ」
俺は三人に背中を向け、宿屋を探しに走り出す。
背後からエミリアの叫ぶ声が聞こえてくるが、無視する。
ここで止まったら絶対にエミリアに怒られる。俺は立ち止まることはせず、一気に駆け抜けるのであった。
そして三十分後。俺は宿屋の受付を済ませカフェに戻る。
すると席に座っているノノちゃん達を見つけたが、何だか様子がおかしかった。
何故ならノノちゃん達を取り囲むように三人の男達がいたからだ。
「ねえねえ君、無視しないでよ」
「俺達あの有名なブレイヴ学園の生徒なんだぜ」
「一緒にお茶くらいいいじゃないか」
どうやら三人は男達にナンパされているようだ。
本来徒歩で行けば二週間程かかる距離だが、俺達は強化魔法をかけて走って行くことにしたからだ。
理由は簡単で、エミリアが野宿や汚い宿屋には絶対に止まりたくないと口にしたからだ。
そのため、一日目と二日目に夜を過ごした場所は、いずれも大きな街にある宿屋だった。
そして三日目の夕日が沈みかけた頃、俺達はエスヴィニア領へと到着したのだ。
「ふう⋯⋯やっと着いたわね。汗をかいたからシャワーを浴びたいわ」
「不本意ながら同感ですね。さすがに少し疲れました」
「それならさっさと寮に行きましょ」
俺達が寝泊まりする場所は、学園が用意してくれているとのことだが⋯⋯
「さすがにこの時間に学園に行くのは失礼じゃないか? たぶん相手方も、今日俺達が到着することを想定していないと思うし」
「それもそうね⋯⋯ならさっさと宿屋に行きましょ」
二週間以上かかると思った相手が三日で来てしまったんだ。おそらくまだ部屋の準備をしていないと思われる。
そのため学園には明日の朝に訪ねた方がいいだろう。
「宿屋でお泊まり? 一昨日はエミリアお姉ちゃんで昨日はサーシャお姉ちゃんと同じ部屋に泊まったから、今日はお兄ちゃんのお部屋がいいなあ」
「ダメよ!」
「ダメです!」
ノノちゃんの無邪気な提案に、間髪いれずエミリアとサーシャが反対してくる。
「ダメなの?」
ノノちゃんは首を可愛らしく傾げ、上目遣いで問いかけてくる。
俺としては可愛い妹の願いを叶えてあげたい所だが、二人が反対してるからなあ。
本来本当の兄妹でもこの歳になると、一緒のベッドで寝ることはしないだろう。だから二人に強く反論することが出来ない。
「それなら今日は、エミリアお姉ちゃんとサーシャお姉ちゃんと一緒のベッドで寝たい。ガールズトークをしてみたいなあ」
「し、仕方ないわねえ」
「で、でしたら広いベッドがある宿屋にしましょうか」
二人共嫌いな相手と同じベッドで寝るのは嫌だけど、ノノちゃんに言われたら断れないと言った所か。
やはりノノちゃんがいると場が和むな。連れてきて良かったと改めて思う。
そして俺達は宿屋を探しに街の中央通りへと向かった。
「あら? あそこにあるカフェ、内装がまあまあ良さそうね」
中央通りに到着すると、エミリアが一つの店を指差す。確かにレンガで出来た洋風なお店で清潔感もあり、女の子が好きそうな店だった。
「リック。私達ここで休んでいるから、宿を探してきて」
突然エミリアが傍若無人なことを口にするが、その際にチラリとノノちゃんとサーシャの方を見ていた。
「エミリア、あなた何を⋯⋯」
「疲れたから甘いものを食べたいの。悪い?」
一見エミリアのわがままが発動しているように見えるが、たぶんノノちゃんとサーシャが疲れているから出た言葉だろう。
俺やエミリアならともかく、ノノちゃんとサーシャにはいくら強化魔法がかかっていたとはいえ、さすがにこの三日間の旅は大変だったようだ。
やれやれエミリアも素直じゃないな。普通に「二人共疲れたでしょ? 休憩しない?」って言えばいいのに。
これだから女王様気質は困る。それなら俺が代わりに言ってあげるとするか。
「えっ? 何? よく聞こえない。サーシャとノノちゃんが疲れているから店で休んでくって?」
「ちょ、ちょっとリック!」
「わかった。宿は俺が探してくるから三人はここで休んでてくれ」
俺は三人に背中を向け、宿屋を探しに走り出す。
背後からエミリアの叫ぶ声が聞こえてくるが、無視する。
ここで止まったら絶対にエミリアに怒られる。俺は立ち止まることはせず、一気に駆け抜けるのであった。
そして三十分後。俺は宿屋の受付を済ませカフェに戻る。
すると席に座っているノノちゃん達を見つけたが、何だか様子がおかしかった。
何故ならノノちゃん達を取り囲むように三人の男達がいたからだ。
「ねえねえ君、無視しないでよ」
「俺達あの有名なブレイヴ学園の生徒なんだぜ」
「一緒にお茶くらいいいじゃないか」
どうやら三人は男達にナンパされているようだ。
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