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前門のサーシャ、後門のエミリア、そして・・・
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「このロリコン男とノノを二人っきりにするわけにはいかないわ」
「そうですね。万が一のことがありますからリスク管理をした方がいいでしょう」
これは二人とも俺のことを完全に異常性癖者だと思い込んでるな。
何でこんなことになった!
でもあの状況でノノちゃんの笑顔を守るためには、こうするしかなかったんだ。
その証拠に今のノノちゃんは顔を赤らめて、とても嬉しそうな表情をしている。
これで⋯⋯これで良かったんだ。
ロリコンだと認めたくはないが、俺はこの状況を仕方なく受け入れるのであった。
「セバス」
そしてエミリアが執事の名を口にすると、天井からセバスさんが降ってきた。
「準備をしなさい」
「はっ!」
セバスさんはエミリアの命令を受けて部屋を出ていく。
「準備? 何をするつもりだ?」
「聞いてなかったの?」
そして部屋のドアが開くと、セバスさんが二人分の掛け布団を手に持っていた。
あれ? 部屋を出てから十秒くらいしか経っていないよな。
それなのにどうやって二人分の掛け布団を用意したんだ。やはりこの人には謎が多すぎる。
俺はセバスさんの行動に驚きを隠せない。
「でも布団なんか持ってきていったい何を⋯⋯」
「こういうことよ」
エミリアはセバスさんが持ってきた掛け布団を、ベッドの上に敷き始めた。
「こういうことってまさか⋯⋯一緒に寝るつもりなのか!」
「そのまさかよ」
「こうすればリック様が邪なお考えを持っても、私達が止めることが出来ます」
いやいや。この二人は何を言ってるんだ!
この肌色が多い寝巻きのまま、俺と一緒に寝るというのか!
余計に邪なことを考えてしまうぞ!
「うわあ、お姉ちゃん達と一緒に寝れるの? 楽しそう~」
ノノちゃんは俺の気も知らないで無邪気にはしゃいでいる。
ダメだ。俺の安眠を守るためにもセバスさんに止めてもらおう。
俺はセバスさんにチラリと視線を向けるが、顔を背けられてしまった。
そんなあ。
「お嬢様は一度言い出したら聞かないことはリック様も御存知ですよね?」
「御存知ですけど⋯⋯」
余程のことがない限りエミリアは意見を曲げたりはしない。
今の俺はその余程の理由を思い付くことが出来なかったので、諦めるしかなかった。
そして右からサーシャ、俺、ノノちゃん、エミリアの順番で寝ることになってしまった。
ちなみにエミリアとサーシャの場所はアミダくじで決まったようだ。
「それでは皆様、おやすみなさいませ」
「おやすみ~」
「サーシャ、リックの隣だからって変なことをするんじゃないわよ」
「大丈夫ですよ。安心して下さい」
「信じられないけど今日だけは信じて上げるわ。それじゃあおやすみ」
そして三人は目を閉じて寝てしまった。
ノノちゃんはともかく、サーシャとエミリアはよく同年代の男が同じベッドにいるのに寝ることが出来るな。
それともこの世界では当たり前のことなのか? 俺がおかしいのか?
とにかく冷静沈着のスキルを使用しておこう。そうじゃなきゃ二人が気になってとてもじゃないが寝ることが出来ない。
それにしてもまさかこのスキルをこんなに早く、また使うことになるとは思わなかったぞ。
だがこれで俺は寝ることが出来るはずだ。寝た後はスキルが解除されてしまうが夢の中なので、問題ないだろう。
俺は疲れもあり、この後すぐに眠りについてしまうのだった。
そして夜が明けた。
朝日が姿を見せたばかりで、多くの人がまだ寝ている頃。
うう⋯⋯何故か身体が動かないぞ。
俺は腕や足に重みを感じたことで目が覚めてしまった。
なんだなんだ。
俺は身体の異常に気づき目を開けると、俺の左腕をがっちりホールドしているサーシャ、俺の右腕をがっちりホールドしているエミリア、そして俺の股を枕がわりで寝ているノノちゃんの姿があるのだった。
「そうですね。万が一のことがありますからリスク管理をした方がいいでしょう」
これは二人とも俺のことを完全に異常性癖者だと思い込んでるな。
何でこんなことになった!
でもあの状況でノノちゃんの笑顔を守るためには、こうするしかなかったんだ。
その証拠に今のノノちゃんは顔を赤らめて、とても嬉しそうな表情をしている。
これで⋯⋯これで良かったんだ。
ロリコンだと認めたくはないが、俺はこの状況を仕方なく受け入れるのであった。
「セバス」
そしてエミリアが執事の名を口にすると、天井からセバスさんが降ってきた。
「準備をしなさい」
「はっ!」
セバスさんはエミリアの命令を受けて部屋を出ていく。
「準備? 何をするつもりだ?」
「聞いてなかったの?」
そして部屋のドアが開くと、セバスさんが二人分の掛け布団を手に持っていた。
あれ? 部屋を出てから十秒くらいしか経っていないよな。
それなのにどうやって二人分の掛け布団を用意したんだ。やはりこの人には謎が多すぎる。
俺はセバスさんの行動に驚きを隠せない。
「でも布団なんか持ってきていったい何を⋯⋯」
「こういうことよ」
エミリアはセバスさんが持ってきた掛け布団を、ベッドの上に敷き始めた。
「こういうことってまさか⋯⋯一緒に寝るつもりなのか!」
「そのまさかよ」
「こうすればリック様が邪なお考えを持っても、私達が止めることが出来ます」
いやいや。この二人は何を言ってるんだ!
この肌色が多い寝巻きのまま、俺と一緒に寝るというのか!
余計に邪なことを考えてしまうぞ!
「うわあ、お姉ちゃん達と一緒に寝れるの? 楽しそう~」
ノノちゃんは俺の気も知らないで無邪気にはしゃいでいる。
ダメだ。俺の安眠を守るためにもセバスさんに止めてもらおう。
俺はセバスさんにチラリと視線を向けるが、顔を背けられてしまった。
そんなあ。
「お嬢様は一度言い出したら聞かないことはリック様も御存知ですよね?」
「御存知ですけど⋯⋯」
余程のことがない限りエミリアは意見を曲げたりはしない。
今の俺はその余程の理由を思い付くことが出来なかったので、諦めるしかなかった。
そして右からサーシャ、俺、ノノちゃん、エミリアの順番で寝ることになってしまった。
ちなみにエミリアとサーシャの場所はアミダくじで決まったようだ。
「それでは皆様、おやすみなさいませ」
「おやすみ~」
「サーシャ、リックの隣だからって変なことをするんじゃないわよ」
「大丈夫ですよ。安心して下さい」
「信じられないけど今日だけは信じて上げるわ。それじゃあおやすみ」
そして三人は目を閉じて寝てしまった。
ノノちゃんはともかく、サーシャとエミリアはよく同年代の男が同じベッドにいるのに寝ることが出来るな。
それともこの世界では当たり前のことなのか? 俺がおかしいのか?
とにかく冷静沈着のスキルを使用しておこう。そうじゃなきゃ二人が気になってとてもじゃないが寝ることが出来ない。
それにしてもまさかこのスキルをこんなに早く、また使うことになるとは思わなかったぞ。
だがこれで俺は寝ることが出来るはずだ。寝た後はスキルが解除されてしまうが夢の中なので、問題ないだろう。
俺は疲れもあり、この後すぐに眠りについてしまうのだった。
そして夜が明けた。
朝日が姿を見せたばかりで、多くの人がまだ寝ている頃。
うう⋯⋯何故か身体が動かないぞ。
俺は腕や足に重みを感じたことで目が覚めてしまった。
なんだなんだ。
俺は身体の異常に気づき目を開けると、俺の左腕をがっちりホールドしているサーシャ、俺の右腕をがっちりホールドしているエミリア、そして俺の股を枕がわりで寝ているノノちゃんの姿があるのだった。
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