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冤罪をしてはいけない

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「それ以上は許さないわ!」
「兄妹ですることではありません!」

 突然勢いよくドアが開く。

「な、なんだなんだ!」
「お姉ちゃん?」

 エミリアとサーシャ? 二人は疲れて寝たんじゃなかったのか?
 エミリアならまだしも、サーシャがノックもせずに部屋に入ってきたことに驚きを隠せない。

「あ、あれ?」
「お、お二人は何をなさっているのですか?」
「マッサージだよ。お兄ちゃんが疲れてたから」

 それ以外何に見えたのだろうか。
 二人の意図が全く読めない。何のために俺の部屋に来たんだ?
 そして二人は俺とノノちゃんから背を向けて、何やらヒソヒソ話をし始める。

「ちょ、ちょっと! 何が如何わしいことよ!」
「エミリアこそやらしいことをしているって言ってましたよね?」
「それとノノが積極的だとか勝手に決めつけないで」
「リック様は小さい胸が好きだと決めつけていた人に言われたくありませんね」

 二人はいつものように言い合いを始める。

「でも⋯⋯」
「ですが⋯⋯」
「「よかった~」」

 リックが妹に手を出すロリコンでなかったことに、安堵するのであった。


 とりあえずマッサージをしている状況ではなさそうなので、ノノちゃんには俺の上からどいてもらう。
 それにしても二人ともルナさん程ではないが、すごい格好だな。
 エミリアは可愛らしいネグリジェで露出が少し多い。そしてサーシャはショートパンツのパジャマで美しい手足の肌が惜しみ無く出されている。勇者パーティーにいた頃は、こんなセクシーなパジャマは見たことなかったぞ。何か心境の変化でもあったのだろうか。とりあえず年頃の男に取っては目に毒だな。

「リック様、もしお疲れでしたら私がマッサージをいたしましょうか?」
「サーシャも疲れているだろ? 悪いよ」
「それなら私のマッサージをさせてあげるわ」
「何故そうなるのですか。それに⋯⋯エミリアにはマッサージは必要ないですよね? 肩がこることはなさそうですし」

 俺はサーシャの言わんとすることを瞬時に理解した。
 おそらくエミリアの胸は残念な大きさなので、肩がこることはないと言いたいのだろう。
 そう考えると、むしろサーシャのマッサージをした方が良いような気がしてきた。

「それはどういう意味かしら」
「いえ、あなたはその⋯⋯鍛えているからマッサージは必要ないかなと」
「絶対に違うわよね? 私の胸が小さいと言いたいのかしら?」
「そのようなことはけして⋯⋯ですが自覚があったのですね」
「サーシャは少し運動することを進めるわ。無駄な肉がつきすぎてるんじゃないの?」

 二人の間で火花が飛び散る。
 頼むから就寝前に喧嘩するのは勘弁して欲しいところだ。
 だが今ここには二人の弱点と呼べる人物がいる。

「お姉ちゃん達! 喧嘩をしちゃ⋯⋯めっ! だよ」
「喧嘩? 私達は喧嘩なんかしてないわよ」
「そうですよ。私達は仲良しですから」

 ノノちゃんの仲裁により、二人は手を取り合って仲良しアピールをし始める。
 やはり二人が喧嘩した時には、ノノちゃんがいれば何とかなるな。
 今後も二人のことで何かあった時は、ノノちゃんにお願いするとしよう。

「とりあえず触れたくないもの触れてしまったから、すぐにお風呂に入りたいわ」
「同感です」
「ノノは眠くなってきちゃった」

 ノノちゃんは瞼が落ちそうになっており、いかにも眠そうな感じだ。

「そうですね。夜も遅いですし部屋に戻りましょう」

 そして

「おやすみ」
「リック様、ノノさんおやすみなさい」
「エミリアお姉ちゃん、サーシャお姉ちゃんおやすみなさい」

 そして二人を見送りドアを閉めると、部屋には俺とノノちゃんだけになる。
 やれやれ、まるで嵐のような騒がしさだったな。
 だけどノノちゃんがマッサージをしてくれたから身体は軽いし、今日は気持ちよく寝れそうだ。

「ノノちゃん、マッサージしてくれてありがとう」
「お兄ちゃんの役に立てたなら良かったよ」
「それじゃあ寝ようか」
「うん」

 そして灯りを消して、俺とノノちゃんはいつも通り手を繋いでベッドに横になる。

「おやすみノノちゃん」
「おやすみお兄ちゃん」

 後は瞳を閉じるだけ⋯⋯のはずだったが、この時再び部屋のドアが勢いよく開けられるのだった。

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