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こんな時のための創聖魔法

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 俺はベッドに寝そべると、ノノちゃんは躊躇なく腰の上に乗ってきた。

 うっ! 柔らかい⋯⋯それに軽い。 
 ノノちゃんのぷにぷにのお尻が、ダイレクトに腰に伝わってきたぞ。
 これは意識するなというのが無理な話だ。
 そしてノノちゃんは宣言通りに俺の肩を揉み始める。

「どう? 気持ちいい?」

 ノノちゃんが純粋な心で俺に問いかけてくる。
 くっ! ノノちゃんは俺の疲れを取ろうと頑張ってくれているのに⋯⋯俺は妹にやましいことを考えてしまった。
 落ち着け。ここは冷静になるんだ。
 腰に乗っているものはノノちゃんのお尻じゃない。ただの重りだ。
 そう認識していればなんてことはない⋯⋯

 そんなわけあるか!

 十六才の青年に聖人君子のようになれと言われても無理な話だ。
 どうしても俺の意識は揉まれている肩より、お尻が密着している腰にいってしまう。

「どう? どう? 気持ちいい?」
「き、気持ちいいです」
「何で敬語なの? お兄ちゃんおもしろ~い」

 やれやれ。人の気もしらないで無邪気なものだ。

 だがどうする。
 このままノノちゃんの無邪気な誘惑に堪えなくちゃならないのか。

「うんしょ、うんしょ⋯⋯あっ!」

 この状況をどうしようか考えていると、突然ノノちゃんが声をあげ、俺の背中抱きついてきた。
 も、もしかしてこれは⋯⋯エミリアより大きい胸の感触はじゃないか!

「ごめんね。手が滑っちゃった」
「だ、大丈夫だよ。もう疲れたなら終わりでいいよ」
「ううん。ノノまだがんばるよ」

 ノノちゃんは身体を起こし、再びマッサージを始める。

 腰にはお尻の感触、背中には発展途上の胸の感触。まさかわざとやっているんじゃないだろうな。
 いや、むっつりスケベのルナさんじゃあるまいし、天真爛漫のノノちゃんがそんなことをするはずがない。
 だがそろそろ俺の理性が限界突破してしまいそうだ。この状況を打開する方法は何かないのか?
 ノノちゃんのマッサージをやんわり断る? いや、それはノノちゃんが悲しんでしまう。
 ここは素直に俺の気持ちを伝えるか。いや、そんなことをしたらノノちゃんに嫌われてしまい、俺が世界に絶望してしまう。
 それならあれを使うしかないな。
 幸いなことにMPはまだ残っている。

 俺は右手に魔力を込めて魔法を唱えた。

「クラス5・創聖魔法ジェネシススキル作成⋯⋯」

 そして創聖魔法で新たなスキルを作成し、さっそく使う。
 すると先程まで感じていたやましい感情が、一瞬で消え去った。

「あれ? お兄ちゃん今何かした?」
「いや、何もしてないよ」
「そう? 何か変な感じがしたけど、気のせいだったみたい」

 どうやらノノちゃんは創聖魔法を使ったときの魔力を感じたようだ。
 とにかくこれで何が起こっても冷静に対処することができる。

 俺がこの試練を乗り越えるために造ったスキル⋯⋯それは【冷静沈着】だ。
 これでスキルを使用している時は、どんなことが起きても動じないだろう。
 今の俺はノノちゃんの柔らかいお尻の感触を認識しても、特に感情が沸き上がってくることはない。
 一つ懸念事項があるとすれば、後でアルテナ様に何を言われるかわからないことだ。
「あなたの欲望を抑えるために創聖魔法を授けたわけじゃないです」と、からかわれそうだ。
 だが最悪アルテナ様に知られるのはまだいい。頼むから今回の件をハルナには言わないでくれよ。
 妹に邪な感情を抱いたなんてことが同級生に知られたら、俺は一人で逃亡の旅に出るしかないぞ。

「お兄ちゃんもっと強くした方がいい?」
「ああ⋯⋯頼むよ」
「わかった。これがノノの愛情パワーだよ」

 ノノちゃんの肩を押す力が一層強くなる。

「すごく気持ちいいよ⋯⋯もっとお願い」

 肩を程よい力で圧されて、何だか身体がとろけてしまいそうだ。
 このままだと俺の瞼が⋯⋯
 急激に眠気が襲ってきて目が開けられなくなってきた。
 もう⋯⋯眠って⋯⋯しま⋯⋯お⋯⋯う⋯⋯
 夢の世界へ邪魔するものはいない。後は流れに身体を任せるだけだ。

 バンッ!

 だが突如部屋のドアが勢いよく開き、俺の眠気は一気に消し飛ぶのであった。
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