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いざ、パーティーへ

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 翌日の昼食を終えた後。

 何人もメイド達が大きな荷物を持って、リリシアの部屋を訪ねてきた。
 おそらくルドルフの手の者が、ドレスを合わせるために来たのだろう。

 そして二時間程経った頃。
 メイド達が撤収したのでリリシアの部屋を訪ねる。

「大丈夫だった?」
「やはり慣れていない方に肌を見られるのは、少し恥ずかしいですね」
  
 火傷ことを聞いた後、俺とリリシアは今夜開かれるパーティーについて話をした。
 その結果、リリシアはパーティーに出る決断をしたので、俺はその意見を尊重することにした。
 だがルドルフが火傷のことを知っているのか知らないのかわからないが、もし後者だった場合は、到底許せるものではない。その時はリリシアではなくルドルフ⋯⋯お前に恥をかいてもらう。
 そして今後の対応について話をしていると、いつの間にか時は過ぎ、パーティーの時間が迫るのであった。

 ◇◇◇

 ユートとリリシアが話をしている頃、ルドルフの部屋にて

 メイド達はリリシアのドレス合わせを行った時の様子を、ルドルフに報告していた。

「やはり私の手に入れた情報は間違っていなかったか!」
「は、はい⋯⋯」
「王女の背中には火傷の痕があると聞いていたが、予想以上に酷いようだな」
「ルドルフ様の仰る通りです」
「これで王女は、今日のパーティーで醜い姿を晒すことになる」
「し、しかし背中が隠れるドレスを着てこられたら、どうされるのですか?」
「それはない。お前達にパーティーで着るドレスを持っていかせたが、その中には背中が隠れるものは一着もないからな。万が一私の用意したドレスを着てこなかったら、王国は帝国の好意を無視するのかと非難してやる。どちらにせよ王女は恥をかくことになるのだ」

 自分の復讐が確実に成功すると思っているのか、ルドルフの高笑いした声が部屋に響き渡る。

「そ、それでは私達は失礼致します」

 メイド達は狂気染みたルドルフに対して恐れをなし、声を震わせながら部屋から出ていこうとするが⋯⋯

「一番右端にいるお前は初めて見るな⋯⋯ここに残れ。パーティーまでの間、俺が可愛がってやろう」
「い、いえ、私は⋯⋯」
「なんだ? スロバスト帝国第一皇子である私の言うことが聞こえないのか? お前の家族を帝国から追い出すことなど容易にできるのだぞ」
「そんな! わ、わかりました⋯⋯どうか家族だけは⋯⋯」

 帝国で暮らすメイドに取っては、初めから選択できる権利などなかった。悲痛の表情で頷くことしか出来ない。

「それでいい。他の者達はさっさと部屋から出ていくがいい」

 他のメイド達はルドルフの命に従い、部屋から立ち去っていく。

 そして二時間後。
 サディスティックなルドルフの手によって、肉体や精神を犯されたメイドが部屋に一人残されるのであった。

 ◇◇◇

 パーティーが始まる三十分前。
 ルドルフが用意したメイド達の手によって準備が終わったリリシアの元へ向かう。

 トントン

「ユートです。お迎えに参りました。部屋に入っても大丈夫でしょうか」
「はい。どうぞ」

 リリシアの許可を得たので、俺は部屋の中へと入る。するとピンク色の可愛らしいドレスに身を包んだ、リリシアの姿が目に入った。

「⋯⋯⋯⋯」

 リリシアはパーティーのためか、普段と違い、髪をアップにしている。
 まるで美の女神と言っても過言ではない姿に、俺は思わず言葉を忘れてしまう。

「ユート様?」

 俺はリリシアの声で我に返る。
 あまりにも綺麗でつい見とれてしまった。

「あ~⋯⋯その⋯⋯そのドレス、とてもよく似合ってるよ」
「ふふ⋯⋯ありがとうございます」

 その笑顔も反則だ。もしかしてリリシアは自分の可愛らしさを理解していないのか?

「ユート様もそのお姿、とてもカッコいいです」
「ありがとう」

 そう。俺はリリシアをパーティーにエスコートする役目で、フォーマルな服装を着ていた。
 パーティー会場で何が起きるか予想はできるが、万が一のことも考えて、俺だけリリシアに付き添うことにしたのだ。
 ちなみにザインとルルは、留守番をしてもらっている。
 そして数分間リリシアと談笑していると、パーティーの時間が近づいてきた。
 リリシアは背中を隠すために、白いストールを身につける。

「背中は隠れていますか?」
「大丈夫」

 パーティーの最中に、リリシアの背中を見られる訳にはいかないからな。俺は最終チェックをしてオッケーのサインを出す。

「それじゃあ行こうか」
「はい」

 そして俺はリリシアの手を取り、決戦の舞台であるパーティー会場へと向かうのであった。
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