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リリシアの結末
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「結果から言うと、フリーデン王国は帝国によって滅ぼされる」
「どうして? あの王女と婚姻を結んで、友好国になるんじゃなかったのですか?」
争いがあった国の王女と皇子の結婚。両国の民は平和な世の中がくると誰もが思っただろう。しかし結果は⋯⋯
「リリシアが帝国に行ってからすぐに皇帝が死んだ」
「それってまさか⋯⋯」
「ああ⋯⋯殺されたんだ。そしてその場で生きていたのがリリシアしかいなくて、皇帝殺しの犯人にされたんだ」
剣の技術が優れていることが災いとなったのだろう。
実際皇帝の護衛二人も死んでいたことから、余程の手練れでなければ犯行は不可能だということになり、リリシアが殺したということになった。
これが日本だったら、現場検証をされて濡れ衣を晴らせたかもしれない。いや、敵国であった犯行だ。司法の決定権は相手にある。フリーデン王国を陥れるために、自分達の都合の良いように結果を動かすに違いない。
「単身で敵国の皇帝を殺すなんて、なかなかやりますね」
「物騒なことを言うな。それが本当にリリシアの犯行だったらそうかもしれないけど、犯人はリリシアが結婚するはずの相手だったスロバスト帝国の第一皇子であるルドルフだからな」
「えっ? それでは婚姻事態が嘘で、あの王女は嵌められたってことですか?」
「そういうことだ。そしてリリシアは帝国の兵に追われる中、何とか王国にたどり着いたんだが⋯⋯」
「なるほど。それで両国が戦争をすることになったのですか」
「いや、すぐには戦争にはならなかった。だけど王国に戻ったら、今度は王国の兵から追われることになったんだ」
「どうしてですか? 自国の王女が戻ったのなら受け入れるのが普通ですよね?」
「帝国が王国に圧力をかけたんだ。もしリリシアをかくまったりすれば王国に攻めこむと。世間的に見ればリリシアは皇帝を殺した大罪人、現状帝国は王国の倍程の戦力を持っていることもあり、民のためを考えるならその条件を飲むしかなかったという訳だ。結果、リリシアは敵からも味方からも追われることとなった」
「そう⋯⋯ですか。それはなかなか重い人生になってしまいましたね」
ルルがリリシアの未来を聞いてしおらしくなってしまった。苦手な相手でも、悲劇的な結末を迎えることに同情したのだろうか。
「安心してくれ。そうならないために俺が過去に戻ってきたんだ」
「べ、別に心配などしていません。人間がどうなろうと私には関係ありませんから」
ルルは憎まれ口を叩いているが、リリシアを心配している気持ちが俺の頭の中に入ってくる。
この猫はツンデレか! とツッコミたくなってきた。
「す、少し散歩に行ってきます」
頭の中を読まれたことが恥ずかしいのか、ルルは急いで部屋から出ていってしまった。
こういう時、考えが読まれるのは確かに恥ずかしいな。
けどどちらかというと、俺の考えの方が読まれているからおあいこか。
そしてこの日、ルルは俺の部屋に戻ってくることはなかった。
時は流れ、夕食時。リリシアは笑みを浮かべながら鼻歌を歌っていた。
「何だか機嫌がいいね。何かいいことでもあった?」
「わかりますか? 実はユート様と手合わせをした後、ルルちゃんが私の部屋を訪ねてきてくれました」
「そうなの?」
「はい。一緒にいれてとても幸せな気持ちになれました。あっ、でも⋯⋯ユート様のお部屋にお返しした方がよろしいでしょうか」
「いや、ルルに任せるよ。リリシアの部屋から出ていかないなら、そのままお願いしてもいいかな」
「わかりました。とても嬉しいです」
どこにもいないと思っていたらリリシアの所にいたのか。もしかしてさっきの話を聞いて、リリシアの所に行ってくれたのかな?
良いところもあるじゃないか。
ルルのことを見直したぞ。少し人間嫌いかなと思ったけどそんなことないのかもしれない。
今度新鮮な魚を用意してあげるか。
食事は終わり自分の部屋に戻ったが、やはりルルはこの日俺の所に帰ってくることはなかった。
そして夜が明けた。
―――――――――――――――
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「どうして? あの王女と婚姻を結んで、友好国になるんじゃなかったのですか?」
争いがあった国の王女と皇子の結婚。両国の民は平和な世の中がくると誰もが思っただろう。しかし結果は⋯⋯
「リリシアが帝国に行ってからすぐに皇帝が死んだ」
「それってまさか⋯⋯」
「ああ⋯⋯殺されたんだ。そしてその場で生きていたのがリリシアしかいなくて、皇帝殺しの犯人にされたんだ」
剣の技術が優れていることが災いとなったのだろう。
実際皇帝の護衛二人も死んでいたことから、余程の手練れでなければ犯行は不可能だということになり、リリシアが殺したということになった。
これが日本だったら、現場検証をされて濡れ衣を晴らせたかもしれない。いや、敵国であった犯行だ。司法の決定権は相手にある。フリーデン王国を陥れるために、自分達の都合の良いように結果を動かすに違いない。
「単身で敵国の皇帝を殺すなんて、なかなかやりますね」
「物騒なことを言うな。それが本当にリリシアの犯行だったらそうかもしれないけど、犯人はリリシアが結婚するはずの相手だったスロバスト帝国の第一皇子であるルドルフだからな」
「えっ? それでは婚姻事態が嘘で、あの王女は嵌められたってことですか?」
「そういうことだ。そしてリリシアは帝国の兵に追われる中、何とか王国にたどり着いたんだが⋯⋯」
「なるほど。それで両国が戦争をすることになったのですか」
「いや、すぐには戦争にはならなかった。だけど王国に戻ったら、今度は王国の兵から追われることになったんだ」
「どうしてですか? 自国の王女が戻ったのなら受け入れるのが普通ですよね?」
「帝国が王国に圧力をかけたんだ。もしリリシアをかくまったりすれば王国に攻めこむと。世間的に見ればリリシアは皇帝を殺した大罪人、現状帝国は王国の倍程の戦力を持っていることもあり、民のためを考えるならその条件を飲むしかなかったという訳だ。結果、リリシアは敵からも味方からも追われることとなった」
「そう⋯⋯ですか。それはなかなか重い人生になってしまいましたね」
ルルがリリシアの未来を聞いてしおらしくなってしまった。苦手な相手でも、悲劇的な結末を迎えることに同情したのだろうか。
「安心してくれ。そうならないために俺が過去に戻ってきたんだ」
「べ、別に心配などしていません。人間がどうなろうと私には関係ありませんから」
ルルは憎まれ口を叩いているが、リリシアを心配している気持ちが俺の頭の中に入ってくる。
この猫はツンデレか! とツッコミたくなってきた。
「す、少し散歩に行ってきます」
頭の中を読まれたことが恥ずかしいのか、ルルは急いで部屋から出ていってしまった。
こういう時、考えが読まれるのは確かに恥ずかしいな。
けどどちらかというと、俺の考えの方が読まれているからおあいこか。
そしてこの日、ルルは俺の部屋に戻ってくることはなかった。
時は流れ、夕食時。リリシアは笑みを浮かべながら鼻歌を歌っていた。
「何だか機嫌がいいね。何かいいことでもあった?」
「わかりますか? 実はユート様と手合わせをした後、ルルちゃんが私の部屋を訪ねてきてくれました」
「そうなの?」
「はい。一緒にいれてとても幸せな気持ちになれました。あっ、でも⋯⋯ユート様のお部屋にお返しした方がよろしいでしょうか」
「いや、ルルに任せるよ。リリシアの部屋から出ていかないなら、そのままお願いしてもいいかな」
「わかりました。とても嬉しいです」
どこにもいないと思っていたらリリシアの所にいたのか。もしかしてさっきの話を聞いて、リリシアの所に行ってくれたのかな?
良いところもあるじゃないか。
ルルのことを見直したぞ。少し人間嫌いかなと思ったけどそんなことないのかもしれない。
今度新鮮な魚を用意してあげるか。
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そして夜が明けた。
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