姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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正直者が馬鹿をみる

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 俺はコト姉の命令に従ってその場に正座する。

「リウトちゃん? 何をしているのかな?」
「コト姉が正座しろっていうから」
「誰がそこで正座って言ったの?」
「えっ?」

 ちょっと何を言ってるかわからないんですけど。今の俺は国民的人気芸人の相方の気分だ。
 そしてコト姉は人差し指を下に向けている。だから床に正座って意味じゃないのか?

「下」
「下?」
「一階で正座」
「一階で!?」

 一階で正座することに何の意味があるんだ? だけど今下手に反論でもしようものなら、お仕置きがさらに厳しくなる可能性があるので俺は黙って従うことにする。
 そして俺は部屋を出て階段を降りて廊下で正座をする。
 床が冷たいな。さっきは俺の部屋だったから絨毯があったけど、今は熱を持たない木の上だ。
 まさかこれがコト姉の狙いだったのか!
 だがエロ本をみられた今、このお仕置きを甘んじて受けるしかないな。

「リウトちゃんどこに座っているの? そこじゃないよ」
「えっ? ここじゃないの? それじゃあ俺はどこに⋯⋯」
「ここだよ」

 俺はコト姉が指差す場所を見たらそこは⋯⋯玄関の土間だった。

「こ、ここですか⋯⋯」
「そうだけど何か言いたいことがあるのかな?」
「いや、いくら何でもここは⋯⋯」

 さ、さすがに石の土間の上に正座はきつくないですか。

「ふ~ん」

 するとコト姉は何を思ったのか財布から500円玉を取り出す。
 どういうことだ? 実はエロ本を燃やして申し訳なかったから俺にくれるとか? もしかしたらコト姉はそんなに怒っていないのかもしれない。
 俺は心の中で少しホッとしたが、この後その考えは見当違いであったことを思いしらされる。
 なんとコト姉は親指と人差し指を使って500円玉をまるで柔らかいマシュマロを潰すようにひしげるのだった。

「ひぃっ!」

 ゆ、指で500円玉を曲げるなんて人間業じゃないぞ!

「どうしたの⋯⋯リウトちゃん?」

 そしてさらにコト姉はその曲げた500円玉を意図も容易く元に戻して見せた。
 う、嘘だろ!? 女性でそんなことできる人がいるのか! いや男でも普通無理だろ!
 もしあの500円玉が俺の身体だったとしたら⋯⋯。恐ろしくて声に出すことも出来ない。

「な、何でもありません。ここに座らせて頂きます」

 俺はその人外のパワーを目にして、自ら進んで土間の上に正座するしか選択肢はなかった。

「兄さん何をしているんですか?」

 そして俺のコレクションを燃やし終えたユズと瑠璃が玄関から戻り、俺の姿を見て哀れむような視線を送ってきた。
 おもいっきり他人事のように見ているが誰のせいでこんなことになったと思っているんだ!

「何か文句があるのかな?」
「い、いえ⋯⋯ない⋯⋯です」

 だが俺はコト姉に言われるとそう答えることしか出来ない。

「ちょっと椅子を持ってくるから待ってて」

 そしてコト姉はリビングへと向かう。
 椅子を持ってくるってそんなに長時間俺はこの硬い石の上で正座しなきゃならないの! 何故こんなことになってしまったのか。本当に勘弁してしてほしい。

「御愁傷様です」
「悪は滅びるってやつですね」
「2人ともよくも俺を裏切ってくれたな」
「3人殺られてしまうより1人に罪を着せた方が犠牲が少ないと思いまして」
「ここはタンク役の先輩にお任せします。私とユズユズを守って下さいね」
「こ、この野郎」
「安心して下さい。私達もお姉ちゃんが怒らないように説得するから」
「本当か?」

 だが2人ともさっき俺を裏切ったから信用できないな。

「私達をどこぞの怪盗三世に出てくるセクシーなお姉さんキャラだと思って信じて下さい」
「それって裏切るき満々じゃん」
「そんなことより琴音先輩が戻ってきましたよ。先輩は反省している振りをしないと」

 反省してる振りって。
 だがここは瑠璃の言うとおりなので俺は俯き、申し訳なさそうな雰囲気を醸し出すことにする。

「ユズちゃんと瑠璃ちゃんの椅子も持ってきたから座って。これから裁判を行うから」

 弁護士のいない裁判は不当だ。もうこれはただ俺を断罪するだけの裁判になることは間違いないだろう。後は裁判官側にいるユズと瑠璃が俺の味方になってくれることを願うしかない。そうすれば多数決で何とか無罪を勝ち取れる可能性がある。

「死刑ですね」
「後輩に無理矢理エッチな本を読ませて、その様子をニヤニヤ見ているなんて悪の諸行です」

 そして予想通りこの2人は速攻で俺を裏切りやがった。だが俺も今のコト姉に逆らえる自信がない。もし同じ立場だったら俺もユズや瑠璃のように自分の保身に走っただろう。

「とりあえず2人も座って。まだ裁判は始まっていないから」
「わかりました」
「了解です」

 椅子に座り、玄関の土間で正座させられた俺を見下ろす3人。何ともシュールな光景だ。
 だがこれから起こることはとても笑えるような話じゃない。何とかコト姉の機嫌を取り、怒りを抑えてもらわないと。
 今日の夜はコト姉の好きなものでも作るか。いや、それだけだと弱いな。何かプレゼントするのもありかもしれない。とにかくこれ以上嘘をつくのはよくない。これからは誠実に対応するのが助かる道になるだろう。
 この時俺はどうすればこの場を凌げるか真剣に考えていた。だが俺はそのことより重要なことに気づいてしまう。

「ではこれからリウトちゃんが持っていたエッチな本についての裁判を始めたいと思います」
「ちょっと待ってくれ。本当に正座をしたままでいいのか?」
「どういうこと? リウトちゃんはこの期に及んで言い訳をするつもりなのかな?」
「そうじゃない。そうじゃないけど⋯⋯」
「歯切れが悪いですね。ここは男らしく先輩の思いの丈を叫んでみたらどうですか?」
「いいのか? 後悔することになるかもしれないぞ?」
「どうせ兄さんのことだから、エッチな本を持っていた言い訳を考えるための時間稼ぎだと思います」
「そこまで言うなら真実を話そう。3人とも下着が見えているぞ」

 左から青と白のストライプ、白、薄ピンク。
 瑠璃、コト姉、ユズが椅子に座り、俺が土間で正座をしていることで目線が下がっているため、3人の下着が太腿の隙間から見えてしまっている。
 ここは正直に言うべきか迷ったが、誠実に行くと決めたので話させてもらった。
 そして俺が下着が見ていることを指摘すると、3人は瞬時に立ち上がってスカートを抑え、顔を真っ赤にしてワナワナと震えていた。

「リウトちゃん最低!」
「兄さんエッチです!」
「先輩いやらしいです!」

 そして3人は涙目になりながらこちらに拳を放つ。

「ぐはっ!」

俺は正座していたこともあってその拳をもろに顔面に食らってしまい、玄関のドアまで吹き飛ばされる。

「お姉ちゃんはリウトちゃんをそんなエッチな子に育てた覚えないよ!」
「先輩の性欲はオーク並みだということを忘れていました」
「これはお仕置きした方がいいですね。剣山の上に正座させましょう」

 3人は好き勝手なことを言っていたが、この時の俺は殴られてドアに後頭部をぶつけ気絶してしまい、何も聞こえていなかった。
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