姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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秘密のコレクション

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 勉強を始めてから1時間、意外にも瑠璃は俺が出した問題を真面目に解いていた。俺はこの問題を解くに当たって、解ける問題だけしか解答しないように制限をかけている。なぜなら勘で正解してしまうとその部分が本当に理解できているのかどうかわからないからだ。

「お、終わりました~」

 2人は手に持ったシャープペンシルをテーブルに置くと問題用紙を提出してくる。

「ユズは78点、瑠璃は28点」
「赤点ですね。ユズユズは同じ問題で高得点を取っているのに⋯⋯勉強していなかった自分が悪いとはいえショックです」
「この問題は今の瑠璃の実力が知りたかっただけだから気にしないでいい。この結果でどこを教えればいいかわかったから」
「な、なるほど」
「瑠璃は間違いが多かったから教えがいがあるな」
「そんな~」
「そしてユズはさすがだな。勉強していたのか?」
「それなりには」

 本人は謙遜しているが、ユズは努力の子だからコツコツと勉強していたのだろう。

「それじゃあユズは過去の中間テストを分析して作った問題があるからそれをやってくれ」
「いつの間にそんなものを」
「俺は瑠璃について勉強を教えるから、問題でわからない所があったらその都度質問してほしい」
「わかりました」

 担当の先生が代わっていないなら過去問はかなり有効な手段だ。

「先輩、それを私にも頂ければ勉強しなくても」
「ダメだ。基礎がわかっていないとこれからの授業もわからなくてつまらないものになってしまうし、大学受験の時に苦労するぞ」
「でも私大学に行くかわかりませんよ」
「まあ高校に入学したばかりだからな。だが今やらないと2年、3年になった時に勉強ができないことで進路の選択肢を狭めることになる可能性があるから、今は騙されたと思って俺の言うとおりにしてくれ。付きっきりで教えるからさ」
「先輩が付きっきりで⋯⋯わかりました! 私がんばります」

 とにかく勉強を教えてもやる気スイッチが入らなくては無駄な時間を過ごすことになってしまうが、どうやら瑠璃は大丈夫のようだ。
 とりあえず俺は瑠璃の様子を見て安堵すると、不意に左脇腹の服が引っ張られる。

「兄さんは本当に瑠璃さんには甘いですね。私のことも⋯⋯つき、付きっきりで教えてくださいね」
「わかってるって。俺はユズにも甘いらしいからな」
「わ、私は別に兄さんじゃなくても良いけど、テストで点を取るために仕方なく教わってあげるだけです!」
「はいはい、そうだな。とりあえずパンケーキを作ってくるから一旦休憩にしようか」

 俺はこの後の勉強会を効率よく行うために一階のキッチンへと向かう。

「確かココアも飲みたいって言ってたよな」

 そして俺はキッチンでパンケーキとココアを作り、トレイに乗せて階段を昇る。

 糖分を補給してこの後も頑張って勉強してほしいものだ。ユズはこのまま行けば上位の成績が取れると思うが、瑠璃は赤点を取る可能性があるから真剣にやらないと高校に入学して2ヶ月で退学もありえる話だ。

 俺はトレイの中身を溢さないように階段を昇ると、部屋のドアが僅かに開いていたためか2人の声が微かに聞こえてきた。

「勝手に見てはダメですよ」
「そんなこと言ってユズユズも指の隙間から見ているよね」
「そ、それは」
「素直になろうよ」
「し、仕方ないですね。私は興味ありませんが、兄さんが犯罪に走らないように、どういう趣味を持っているかチェックするために見ます」

 犯罪? 何の話だ。
 俺はトレイを床に置き、足音を消して隠密スキルを使いながら部屋のドアの側まで移動する。

「うわあ、すごいね。こんなにスタイルが良ければ私もこういう服を着れるかも」
「わ、私はちょっと恥ずかしくて無理です。それにしても瑠璃さんは何でそんなに堂々と見ることができるのですか?」
「異世界ものの本ってたまにゴブリンやオーク達に陵辱されるシーンがあるから、それで慣れているの」
「りょ、陵辱! 瑠璃さんは私の想像より大人の階段を昇りすぎです!」

 陵辱? 大人の階段? 何だか男心をくすぐるキーワードだな。
 俺はバレる覚悟でドアの隙間から中の様子を伺う。
 すると肌色の多い本を手に取った2人の姿が目に入った。

 あ、あれは中学時代に親父のアカウントを使ってネット通販で買ったエロ本じゃないですか!
 分厚い少年誌の間に隠していたのに。天城家で少年誌を読むのは俺しかいないから油断していたが、少年漫画も好きな瑠璃なら手に取ってもおかしくない。しかしこの後の瑠璃の発言でその考えは間違っていたことがわかった。

「それにしてもよくエッチな本の隠し場所がわかりましたね」
「先輩の考えなんてお見通しですよ。どうせ琴音先輩やユズユズは少年誌を読まないと思って、ここに隠したのがバレバレです」

 くそっ! 瑠璃ごときに考えを読まれて腹が立つ。だが今部屋に突入すればエロ本のことに対する追及を逃れることができない。それに⋯⋯女の子がエロ本を見て顔を真っ赤にしている姿ってそそられないか? こんな場面に出くわすことなんて滅多にないからここはもう少し様子を見ることにしよう。

「それにしても先輩って⋯⋯」
「うん⋯⋯三冊ともそうですね」
「胸の大きい人が大好きみたい」

 違う! 昔は胸の大きな人が近くにいなかったからなんというか憧れ的な意味もあって買ったんだ。
 今は大から小までいけると反論したいが、見つかってしまうので部屋に突入するわけにはいかない。

「そっかあ⋯⋯先輩は胸が大きい人が好きなんだあ」
「そう⋯⋯ですね」

 各々が自分の胸に視線を送る。
 確かに2人は胸が大きい部類に入るから、普段から野郎の視線を集めて大変だろうなとふと頭に過った。 

「大きくても邪魔なのにね」
「肩も凝るし、可愛い下着も選べないので大変です」

 持つべき者しかわからない悩みを打ち明け、2人は自分の胸を両手で掴みユサユサと揺らす。
 その姿に俺は目を離すことができない。
 いや、2人とも男の俺からするとエロすぎでしょ!

「やっぱり男の子は揺れる胸が好きなのかな?」
「まあ嫌いな奴はいないだろうね」

 この時の俺はユズと瑠璃に全集中していて、背後から聞こえてきた声に自然に答えてしまった。
 ん? 今のって⋯⋯。

 俺はおそるおそる後ろを振り向くと、そこには熊を殴った時以上の殺気を纏ったコト姉の姿があった。
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