姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

文字の大きさ
22 / 147

美味しい物を食べると誰もが笑顔になる

しおりを挟む
「私に⋯⋯天城くんが作ったこのハートの絵が書かれたオムライスを食べろと?」

 紬ちゃんにリクエストされたとはいえ、何だか無性に恥ずかしくなってきたぞ。

「お姉ちゃん食べないの? 材料が無駄になっちゃうよ? いつもご飯は残さないようにって言ってるよね」
「うっ! 確かにそうね。このオムライスには罪はないわ」

 その言い方だとまるで俺に罪があるような⋯⋯。

「天城くんいただきます」

 神奈さんは俺のことが嫌いだけど、しっかりと頭を下げる所が彼女の性格の良さを表している。

「私もいただきます」

 そして神奈姉妹がスプーンでオムライスをすくい口の中へと入れる。

「「お、美味しい!」」

 オムライスを食べると、神奈さんの少し不機嫌だった顔が至福の表情へと変わっていく。

「何ですかこれは! 卵がとろとろで⋯⋯まるでお店の味です」
「お姉ちゃんが作ってくれたオムライスと同じ料理とは思えないよ!」
「くっ! 確かにその通りですから否定はできないわ」

 良かった。どうやら2人とも俺の作ったオムライスを気に入ってくれたようだ。

「いいなあ、私も食べたいなあ」

 神奈姉妹がオムライスを美味しそうに食べている姿を見て、どうやらちひろの空腹感を刺激してしまったみたいだ。

「ちひろお姉さんには私のを上げるよ。あ~ん」

 紬ちゃんはオムライスをスプーンですくって、ちひろの口元へと持っていく。

「あ~ん⋯⋯う~ん本当に美味しい。これはお金が取れるレベルだわ」

 ちひろは俺のオムライスに最大の賛辞をくれる。女の子にご飯を美味しいって言ってもらえるなんて、料理を作れて本当に良かったと思う瞬間だ。

 それにしても美味しそうだな。そういえば俺達はラーメン屋に行こうとしていたんだっけ。
 そう考えると俺も急速に腹が減ってきた。そしてそれはぐ~っと音を出して周りにも主張し始めた。

「お兄さんもお腹が減っているの? それならお姉ちゃんの分をお兄さんにあげて」
「わ、私があげるの?」
「そうだよ。だってこのオムライスはお兄さんが作ったんだから」
「た、確かにそうね」

 どうやら神奈さんはオムライスを俺にくれるようだ。
 俺はこの時、新しいスプーンをもらって自分ですくって食べるものだと思っていた。だが神奈さんは、先程の紬ちゃんとちひろのように、自分が使っていたスプーンでオムライスをすくい、照れながら俺の前に持ってきた。

「あ、あ~ん」

 しかも男なら一度は彼女にやってほしいランキングベスト10に入る「あ~ん」までつけて。
 えっ? これは食べていいの? しかもこれは⋯⋯。

「間接キスじゃ⋯⋯」

 俺はボソッと思っていることを口に出してしまった。
 すると神奈さんの顔が一瞬で真っ赤になり、勢いよくオムライスを食べ始めた。

「えっ? ちょっと」

 しかし俺の声は届かず、神奈さんはこちらを無視するかのように、一心不乱にオムライスを口の中に入れていく。そしてオムライスはあっという間に神奈さんの胃の中に消えてしまうのだった。

「ご、こちそうさま。残念ですがオムライスはもうないので天城くんにあげることはできませんね」

 まさか神奈さんは俺と間接キスをするのが嫌で、オムライスを急いで食べたのか。
 くそう! 何で俺は余計な一言を言ってしまったんだ! せっかく神奈さんにあ~んをしてもらえるチャンスだったのに。
 もし俺がモテ男だったら間接キスを気にすることなく、今頃ドキドキをプラスしたオムライスを食べることができたと思うと、悔しくてしょうがない。

「お姉ちゃん食べるのはや~い。リウトお兄さんが作ったオムライスがよっぽと美味しかったんだね」

 紬ちゃんが感心しながら検討違いの言葉を口にしている。

「本当にそうかな~、別に理由があったりして」

 ちひろは、何故神奈さんが急いでオムライスを食べたのかわかっているようで、ニヤニヤしていた。何だか俺の気持ちも見透かされているようで少し恥ずかしいぞ。

 こうして俺は作ったオムライスを神奈姉妹に喜んでもらえたが、余計な一言を言ってしまったせいで神奈さんとの間接キスの機会を逃してしまうのであった。

―――――――――――――――

【読者の皆様へお願い】

 作品を読んで少しでも『面白い、面白くなりそう』と思われた方は、作品フォロー、応援等もして頂けると嬉しいです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

処理中です...