姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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妹の機嫌を取るのは難しい

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「ちょっと兄さん勝手に入らないで!」

 ユズはまだ素直になれないようなので、俺は皿に乗ったパンケーキをユズの顔の近くに持っていく。

「食べるだろ?」
「し、仕方ないですね。食べ物に罪はありませんから」

 ほんと我が妹は素直じゃないな。いったい誰に似たのやら。
 とりあえず俺はユズの部屋に入る許可を得たのでテーブルにパンケーキが乗った皿を置き食べるよう促す。

「どうぞ召し上がれ」
「こんなことで誤魔化せるとは思わないで下さいね」
「わかってるよ」

 ユズは口では苦言を呈しているが、目を輝かせながらフォークを取りパンケーキに集中していた。そしてフォークでパンケーキを切り口に運ぶと⋯⋯。

「う~ん美味しい。兄さんが作るパンケーキは絶品です」

 ユズは顔をほころばせながらパンケーキをパクパクと食べていく。ここで敢えて指摘することはしないが、先程までの不機嫌な顔はもうどこにもなかった。

「あれ? そういえば兄さんは小腹が空いたって言ってましたが、兄さんの分のパンケーキがありませんね」
「俺は大丈夫だよ。ユズが全部食べていいぞ」

 元々ユズの機嫌を治すために作った物だしな。

「いいえ、私だけで頂くのは申し訳ないです⋯⋯あ、あ~ん」

 ユズは顔を真っ赤にしながら、パンケーキを乗せたフォークを俺の口元へと運んできた。
 そんなに恥ずかしいならやらきゃいいのに。
 だが妹が恥ずかしいのにしてくれた行動を無にすることはできない。
 俺は目の前にあるパンケーキにかぶりつく。

「う、うまい⋯⋯これを作った奴は天才だな」

 ふわふわした程よい甘さのパンケーキが口の中でとろけるようになくなっていく。自分で言うのも何だか上手くできたと思う。

「何言ってるんですか。けど兄さんの料理やお菓子作りの腕だけは私も認めていますけど」
「そこに誠実と真面目という言葉を付け足してくれ」
「さっき女性の下着を、某忍者漫画の瞳術並にガン見していた人の言う台詞ですか」

 しまった! せっかくパンケーキでユズの機嫌が戻ったのに、自分から台無しにしてしまった。
 くそっ! 何か他にユズの気を紛らす話題はないのか!

 俺は何かないかとユズの部屋の中を見渡す。
 すると⋯⋯。
 こ、これは!

 ユズのベッドの上にカラフルに彩られた桃源郷が目に入った。

「兄さん何を見て⋯⋯ああっ!」

 ユズは叫ぶような声を上げ、両手で俺の視界を塞いできた。

「みみ見ました?」

 答えはもちろんイエス。一瞬の出来事であったがまたしても俺の動体視力が活躍してしまった。ユズが顔を赤くして慌ててるのには理由がある。何故ならベッドの上には色とりどりの下着が散乱していたからだ。
 これはまさかとは思うが、さっき1人懺悔している時に、下着がどうのこうの言っていたが実物を出していたのか?
 ちなみに出されていた下着は5枚。オーソドックスの白、薄い水色、白と黒のストライプ。ここまではいい⋯⋯15歳のユズには年相応の下着といっていいだろう。だが残りの2枚は違う。赤と黒の下着だった。
 子供だと思っていたユズがまさかあんなに大人の下着を持っていたとは⋯⋯俺は驚きを隠せない。
 いや、今はそのことよりユズからの問いに答えねば。ここはやはり嘘をつかず誠実に答えるべきか。俺は指の隙間から涙目になり、顔を赤くしたユズに向かって宣言する。

「もちろん見た。とても素敵下着だった思うが、背伸びするのも程々にな」
「いやぁぁっ!」  

 突然ユズが発狂して俺の目を押し潰そうとしているのか、力を入れてくる。

「ユ、ユズ⋯⋯痛い、痛いから!」
「こ、こうなったらもう壁ドンで兄さんの記憶を消すしか⋯⋯」
「いや、壁ドンはそんな物騒な技じゃない」

 ユズは普段見ない程パニックに陥っていた。このままだと俺の身に危険が降りかかってきそうだ。

「こうなったらもう兄さんの命を奪って私も⋯⋯」
「ユズ、早まるな! 落ち着け! 別に兄に下着を見られても気にすることじゃないだろ?」
「兄さんだから気にするんですよ!」

 家族以外に見られた方がきつい気がするが⋯⋯。ユズの基準がわからない。
 とにかくこのままここにいるのは得策じゃない。
 俺は両手でユズの手を素早く外す。

「あっ!」

 するとユズはベッドに散乱した下着を見られる方が嫌なのか、下着を隠しに向かったのでその隙に俺はこの部屋を脱出する。

「兄さん待ってください! まだ記憶を消去していません」

 背後から恐ろしい言葉が聞こえてきたが、俺は後ろを振り向かずそのまま自室へと逃げ込むのであった。
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