91 / 93
連載
悩み
しおりを挟む
王都ローレリアの西門を出た後、 先頭を行くリズが後ろを振り向く。
「まずは西にある港街、マーレポルトに行き、そしてそこで船に乗り帝都に向かう予定です」
「ふ、船!?」
リズの言葉に俺の肩に乗っていたマシロが反応する。そして地面に降り、驚愕の表情を浮かべてこちらに視線を送ってきた。
マシロは水が苦手だからな。もしかしたら前に船上で魔物に襲われたことを思い出しているのかもしれない。
あの時は船に穴を開けられて、船が沈没する可能性もあったからな。
濡れることが嫌いなネコ⋯⋯じゃなくて白虎にとってはあまり行きたい場所ではないのだろう。
「なんですか? こちらを見て。まさか何か失礼なことを考えていたのではないですか?」
「い、いや⋯⋯突然声を上げたから気になって見てただけだ」
中々勘の鋭いネコだな。余計なことは考えない方が良さそうだ。
「船が沈没するかもって考えていたのか? たぶん大丈夫じゃないかな」
「その根拠はなんですか?」
「船長のオゼアさんが言ってたぞ。魔物に襲われるなんて滅多にないって」
「あの胡散臭い男がですか? 信用できませんね」
胡散臭い男呼ばわりされるとは。オゼアさんも可哀想に。だけど去り際にリズの正体を告げてきたこともあり、マシロの言いたいこともわからないでもない。
「けど日程も決まっているから、今さら歩いて帝都に行くことは出来ないぞ」
「マシロちゃんごめんなさい」
この予定を組んだのはムーンガーデン王国だから、リズが申し訳なさそうに頭を下げる。
「前にも言ったけど船が沈むようなことがあれば、必ずマシロを助けるから安心してくれ」
「⋯⋯わかりました。ですが船が沈んでからではなく、船が沈まないように努力して下さい」
「わかったわかった」
「返事は一回」
「⋯⋯わかりました」
普段非常識なことを言うマシロに正論を言われて少しイラッとしたが、船に乗ることを了承したので、ここはおとなしく従っておく。
「そ、そうよ。船は沈まないように出来ているの。知らなかった? 大丈夫大丈夫⋯⋯」
「フィーナの言う通りだ」
「夕方までにはマーレポルトの街に着く予定です」
「それじゃあ行こうか」
俺達はマーレポルトへと向かう街道を歩きだす。
そしてマシロがまた俺の肩に乗るが、すぐにその重さが消えた。
「マシロさんはこっち」
「ノアちゃんはこっちです」
マシロはフィーナに、ノアはリズに抱っこされていた。
フィーナとリズの二人は、大好きなマシロとノアに触れることが出来てご満悦だ。
マシロとノアも歩かなくて済むからか、特に抵抗する素振りはない。
こうしてマシロの説得に成功し、俺達はマーレポルトへと歩きだすが、俺は一つだけ気になっていた。それは最後尾を歩くルルの元気がないことだ。
今のやり取りでも会話にいっさい入って来なかったし、ローレリアを出発してから一言二言しか喋ってない。あのお喋りなルルがだ。
でも正直な話、今のおとなしいルルの方が最初に会った時のイメージに合っている。
初めて会った時はネコを被っていたのか。それとも⋯⋯
俺は少し心配になり、ルルの横に移動する。
「ルル⋯⋯もしかして体調が悪いのか?」
「えっ? そ、そんなことないですよ! 私はいつも元気元気です⋯⋯あっ!」
ルルは地面にあった石に躓いてしまい、バランスを崩す。
「大丈夫か?」
俺は倒れないように腕を掴む。そのためルルが倒れることは回避出来た。しかしルルが背負っていたリュックの中身が地面にぶちまけられる。
「だ、大丈夫です」
ルルは慌てた様子で地面に散らばった物をリュックに積め始めた。その際に本のタイトルが目に入る。
ファンタジー小説、武術指南書、地理、経済の本か。色々なジャンルを読んでいるんだな。本好きというのは嘘じゃないようだ。
「え~と⋯⋯何の話でしたっけ?」
「体調は大丈夫かって話だ」
「大丈夫ですよ。ユートさんは心配性ですね」
急に笑顔になって、空元気だということがバレバレだ。
少なくともフェリに騙されて、マシロとノアと契約した時は嬉しそうに見えた。あの後起きたことと言えば一つしか考えられないけど⋯⋯
「ひょっとして帝都に行くのが嫌だ⋯⋯とか?」
「!?」
ルルの表情は変わらないが、身体がビクッと反応していた。わかりやすい奴だな。
もしかしたら父親に会いたくないとか?
先日ルルと共に父親であるダグラス公爵と会ったけど、お世辞にも二人の関係がいいとは思えなかった。
帝都に帰りたくない理由として疑ってもおかしくない。
「そそそ、そんなことないですよ。お兄様やお姉様、パパに会えるかと思うと嬉しくて嬉しくて」
「ん? もしかして兄や姉とも会いたくないのか?」
俺の指摘にルルが慌て始める。
「な、何を言ってるんですかユートさんは! よく見るといつものユートさんと違いますね。鈍感で無自覚すけこまし主人公のユートさんが、こんなに鋭い意見を口にするなんて信じられないです」
このやろう。ルルはいつも俺のことをそんな風に思っていたのか。これは後でお仕置きが必要だな。
でもその前にテンパっているルルを正常に戻さないとな。
「ていっ!」
「あうっ!」
俺はルルの額に軽くチョップを繰り出す。
するとルルは可愛らしい声を上げて額を抑える。
「痛いです⋯⋯いきなり何するんですか」
「少しは落ち着いたか?」
「まさかそのために⋯⋯でも乙女の額を傷つけたことはまた別です。慰謝料を請求します」
「い、慰謝料!?」
「はい」
「軽くやったつもりだけど痛かったか? 回復魔法をかけるから見せてくれ」
「回復魔法でなかったことにするつもりですか?」
た、確かにいきなり女の子の額にチョップするのは良くなかったかもしれない。でも俺とルルの仲じゃないか。
なんか急にいつものルルに戻ったぞ。
「慰謝料ってお金を払えってことか?」
「そうですね。白金貨一枚お願いします」
「は、白金貨⋯⋯だと。ちょっと⋯⋯いや、かなり多くないか?」
「私、こう見えて公爵令嬢なので」
そういえばそうだった。気さくに話しかけてくるから忘れていたけど、ルルは公爵令嬢だ。その公爵令嬢に無礼を働いたんだ。これは相場的にはおかしくないのか?
「払えないんですか?」
「え~と⋯⋯その⋯⋯」
そんな金額払える訳がない。ルルも冗談で言ってるはず⋯⋯たぶん。
「払えないんですね? それなら今日の夜、少しお話を聞いてもらってもいいですか?」
「話? それはもちろん」
「ではよろしくお願いします」
ルルめ。驚かせやがって。
でもここでは話せないってことは、ルルにとって深刻な悩みなのかもしれない。俺は真面目に話を聞くことを心掛け、マーレポルトへと向かうのであった。
――――――
表題につきまして、この度【狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・】改め【猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る】が、アルファポリス様より1月21日に書籍化されることが決定しました!
これも日頃より読者の皆様が応援して下さったおかげです。
書籍化によりマシロやノア、リズの可愛らしい絵が入り、小説の内容もより素敵なものになっております。
書店等で見かけた時、手に取って頂けると幸いです。
今後とも【猫を拾ったら・・・】をよろしくお願い致します。
「まずは西にある港街、マーレポルトに行き、そしてそこで船に乗り帝都に向かう予定です」
「ふ、船!?」
リズの言葉に俺の肩に乗っていたマシロが反応する。そして地面に降り、驚愕の表情を浮かべてこちらに視線を送ってきた。
マシロは水が苦手だからな。もしかしたら前に船上で魔物に襲われたことを思い出しているのかもしれない。
あの時は船に穴を開けられて、船が沈没する可能性もあったからな。
濡れることが嫌いなネコ⋯⋯じゃなくて白虎にとってはあまり行きたい場所ではないのだろう。
「なんですか? こちらを見て。まさか何か失礼なことを考えていたのではないですか?」
「い、いや⋯⋯突然声を上げたから気になって見てただけだ」
中々勘の鋭いネコだな。余計なことは考えない方が良さそうだ。
「船が沈没するかもって考えていたのか? たぶん大丈夫じゃないかな」
「その根拠はなんですか?」
「船長のオゼアさんが言ってたぞ。魔物に襲われるなんて滅多にないって」
「あの胡散臭い男がですか? 信用できませんね」
胡散臭い男呼ばわりされるとは。オゼアさんも可哀想に。だけど去り際にリズの正体を告げてきたこともあり、マシロの言いたいこともわからないでもない。
「けど日程も決まっているから、今さら歩いて帝都に行くことは出来ないぞ」
「マシロちゃんごめんなさい」
この予定を組んだのはムーンガーデン王国だから、リズが申し訳なさそうに頭を下げる。
「前にも言ったけど船が沈むようなことがあれば、必ずマシロを助けるから安心してくれ」
「⋯⋯わかりました。ですが船が沈んでからではなく、船が沈まないように努力して下さい」
「わかったわかった」
「返事は一回」
「⋯⋯わかりました」
普段非常識なことを言うマシロに正論を言われて少しイラッとしたが、船に乗ることを了承したので、ここはおとなしく従っておく。
「そ、そうよ。船は沈まないように出来ているの。知らなかった? 大丈夫大丈夫⋯⋯」
「フィーナの言う通りだ」
「夕方までにはマーレポルトの街に着く予定です」
「それじゃあ行こうか」
俺達はマーレポルトへと向かう街道を歩きだす。
そしてマシロがまた俺の肩に乗るが、すぐにその重さが消えた。
「マシロさんはこっち」
「ノアちゃんはこっちです」
マシロはフィーナに、ノアはリズに抱っこされていた。
フィーナとリズの二人は、大好きなマシロとノアに触れることが出来てご満悦だ。
マシロとノアも歩かなくて済むからか、特に抵抗する素振りはない。
こうしてマシロの説得に成功し、俺達はマーレポルトへと歩きだすが、俺は一つだけ気になっていた。それは最後尾を歩くルルの元気がないことだ。
今のやり取りでも会話にいっさい入って来なかったし、ローレリアを出発してから一言二言しか喋ってない。あのお喋りなルルがだ。
でも正直な話、今のおとなしいルルの方が最初に会った時のイメージに合っている。
初めて会った時はネコを被っていたのか。それとも⋯⋯
俺は少し心配になり、ルルの横に移動する。
「ルル⋯⋯もしかして体調が悪いのか?」
「えっ? そ、そんなことないですよ! 私はいつも元気元気です⋯⋯あっ!」
ルルは地面にあった石に躓いてしまい、バランスを崩す。
「大丈夫か?」
俺は倒れないように腕を掴む。そのためルルが倒れることは回避出来た。しかしルルが背負っていたリュックの中身が地面にぶちまけられる。
「だ、大丈夫です」
ルルは慌てた様子で地面に散らばった物をリュックに積め始めた。その際に本のタイトルが目に入る。
ファンタジー小説、武術指南書、地理、経済の本か。色々なジャンルを読んでいるんだな。本好きというのは嘘じゃないようだ。
「え~と⋯⋯何の話でしたっけ?」
「体調は大丈夫かって話だ」
「大丈夫ですよ。ユートさんは心配性ですね」
急に笑顔になって、空元気だということがバレバレだ。
少なくともフェリに騙されて、マシロとノアと契約した時は嬉しそうに見えた。あの後起きたことと言えば一つしか考えられないけど⋯⋯
「ひょっとして帝都に行くのが嫌だ⋯⋯とか?」
「!?」
ルルの表情は変わらないが、身体がビクッと反応していた。わかりやすい奴だな。
もしかしたら父親に会いたくないとか?
先日ルルと共に父親であるダグラス公爵と会ったけど、お世辞にも二人の関係がいいとは思えなかった。
帝都に帰りたくない理由として疑ってもおかしくない。
「そそそ、そんなことないですよ。お兄様やお姉様、パパに会えるかと思うと嬉しくて嬉しくて」
「ん? もしかして兄や姉とも会いたくないのか?」
俺の指摘にルルが慌て始める。
「な、何を言ってるんですかユートさんは! よく見るといつものユートさんと違いますね。鈍感で無自覚すけこまし主人公のユートさんが、こんなに鋭い意見を口にするなんて信じられないです」
このやろう。ルルはいつも俺のことをそんな風に思っていたのか。これは後でお仕置きが必要だな。
でもその前にテンパっているルルを正常に戻さないとな。
「ていっ!」
「あうっ!」
俺はルルの額に軽くチョップを繰り出す。
するとルルは可愛らしい声を上げて額を抑える。
「痛いです⋯⋯いきなり何するんですか」
「少しは落ち着いたか?」
「まさかそのために⋯⋯でも乙女の額を傷つけたことはまた別です。慰謝料を請求します」
「い、慰謝料!?」
「はい」
「軽くやったつもりだけど痛かったか? 回復魔法をかけるから見せてくれ」
「回復魔法でなかったことにするつもりですか?」
た、確かにいきなり女の子の額にチョップするのは良くなかったかもしれない。でも俺とルルの仲じゃないか。
なんか急にいつものルルに戻ったぞ。
「慰謝料ってお金を払えってことか?」
「そうですね。白金貨一枚お願いします」
「は、白金貨⋯⋯だと。ちょっと⋯⋯いや、かなり多くないか?」
「私、こう見えて公爵令嬢なので」
そういえばそうだった。気さくに話しかけてくるから忘れていたけど、ルルは公爵令嬢だ。その公爵令嬢に無礼を働いたんだ。これは相場的にはおかしくないのか?
「払えないんですか?」
「え~と⋯⋯その⋯⋯」
そんな金額払える訳がない。ルルも冗談で言ってるはず⋯⋯たぶん。
「払えないんですね? それなら今日の夜、少しお話を聞いてもらってもいいですか?」
「話? それはもちろん」
「ではよろしくお願いします」
ルルめ。驚かせやがって。
でもここでは話せないってことは、ルルにとって深刻な悩みなのかもしれない。俺は真面目に話を聞くことを心掛け、マーレポルトへと向かうのであった。
――――――
表題につきまして、この度【狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・】改め【猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る】が、アルファポリス様より1月21日に書籍化されることが決定しました!
これも日頃より読者の皆様が応援して下さったおかげです。
書籍化によりマシロやノア、リズの可愛らしい絵が入り、小説の内容もより素敵なものになっております。
書店等で見かけた時、手に取って頂けると幸いです。
今後とも【猫を拾ったら・・・】をよろしくお願い致します。
100
お気に入りに追加
3,108
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。