62 / 93
連載
Win-Winな関係
しおりを挟む
「ごめんなさい!」
フェリに治療薬をもらった俺達は、フィーナの両親達をフォラン病から治すために、エルフの里の北東部に向かっていた。
そのような中、フィーナが俺の前で深々と頭を下げる。
「リズに聞いたわ。私がその⋯⋯ユートの手を離さなかったって。そして一晩中椅子に座らせて⋯⋯」
フィーナはうつむき、凄く申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな顔をさせたくて一緒にいた訳じゃないけど、話しても伝わるだろうか。それなら⋯⋯
「いや、自分で望んでいただけだから気にしないでいい」
「でも⋯⋯」
「フィーナの白くて綺麗な手を堪能出来たし、寝顔も好きなだけ見ることが出来だからな」
「なっ! やっぱり不純な動機で私のことを見てたのね!」
やっぱりってひどくね。
フィーナは俺のことをそんな風に思ってたのか。まあでも作戦通りだから別にいいけど。
「だからフィーナが気にやむ必要はない。お互いWin-Winだったからな」
「私が一方的に損しているだけよ!」
フィーナが追いかけ来たので、俺は逃げる。
捕まったら、さっき短剣を投げつけられたように、何をされるかわからない。
「やれやれ。あの二人は何をしているのですか」
「喧嘩する程仲が良いってことですね」
「仲が良くても羨ましいです」
俺とフィーナは、マシロ達に生暖かい目で見られながら、エルフの城へと向かう。
そして一時間程歩くと、俺達は城の城門の側まで来ることが出来た。
「綺麗なお城ですね」
洋風な真っ白な城を見て、リズが感激していた、
ここがフィーナの育った場所か。
リズの時も思ったけど、王族という権力がある立場なのに、フィーナは偉ぶる所がほとんどない。余程両親の教育が良かったのだろうか。
そのような素晴らしい人達を病気で亡くす訳にはいかないな。
俺達は城に近づくと門番と思われる兵士がこちらに近寄ってきた。
「フィーナ様! よくぞ戻られました」
「お父さんとお母さんの容態はどう?」
「⋯⋯危篤状態となっていまして、一兵士の私には詳しい所まではわかりません」
「他の人達は? まだ死者は出てないのよね?」
「はい⋯⋯ですがそれは時間の問題かと。私の姉もフォラン病のステージ四になってしまいもう長くは⋯⋯」
「そうなの? だったらこれをフォラン病の人に配ってくれない?」
俺は異空間から黄色い液体が入った小瓶をを取り出し、フィーナに渡す。
「こ、これはもしや⋯⋯」
「ええ、フォラン病の治療薬よ」
「おお! ついにレーベンの実を手に入れられたのですね! すると漆黒の牙を⋯⋯」
「その話は後よ。里の西部と南部の人達には治療薬を渡してあるから、あなた達は北部と東部をお願い」
フィーナの言う通り最長老様の命令で、里の南と西のエルフ達には治療薬が行き渡っている。後はこの城と東、北にいるエルフ達に治療薬が渡れば、フォラン病で苦しむ人はいなくなるはずだ。
「承知しました! すぐにフォラン病の方々にこの治療薬を配って参ります」
二人の門番は治療薬を受け取ると、急ぎこの場から立ち去っていく。
「さあ、私達も行きましょう」
俺達はフィーナを先頭に、早足で城の中へと入る。
そして長い廊下を進んでいると、前から数人のエルフ達が向かってきた。
エルフ達はこちらをジロジロと見てきた。何だかその視線に悪意を感じるのは気のせいか?
何事もなく終わればいいなと思っていたが、残念ながらそうは行かないようだ。
「なるほど。どうも城の中がゴミ臭いと思っていたが、人族がいたのか」
話しかけてきたのは集団の先頭にいた中年のエルフだ。
問題を起こしたら、フィーナの両親の元へ行く時間が遅くなる。
ここは無視するに限るな。
俺は目を合わせたないようにしていたが、今の言葉に我慢出来ない者がいた。
「ハウアー! ユートやリズに何てことを言うの!」
「これはこれは傾国の姫ではありませんか。城を出ていったあなたが何のために戻ってきたのですか? ああ、そういうことですか。兄上の死に目に会いに来たと」
「不吉なことを言わないで! いくらお父さんの弟だからといって許せないわ」
弟? よく見るとこのエルフ、ジグベルトに似ているな。まさかジグベルトの父親なのか?
俺達はフィーナの両親の元へと向かおうとしたが、ジグベルトに似たエルフに足を止められてしまうのであった。
フェリに治療薬をもらった俺達は、フィーナの両親達をフォラン病から治すために、エルフの里の北東部に向かっていた。
そのような中、フィーナが俺の前で深々と頭を下げる。
「リズに聞いたわ。私がその⋯⋯ユートの手を離さなかったって。そして一晩中椅子に座らせて⋯⋯」
フィーナはうつむき、凄く申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな顔をさせたくて一緒にいた訳じゃないけど、話しても伝わるだろうか。それなら⋯⋯
「いや、自分で望んでいただけだから気にしないでいい」
「でも⋯⋯」
「フィーナの白くて綺麗な手を堪能出来たし、寝顔も好きなだけ見ることが出来だからな」
「なっ! やっぱり不純な動機で私のことを見てたのね!」
やっぱりってひどくね。
フィーナは俺のことをそんな風に思ってたのか。まあでも作戦通りだから別にいいけど。
「だからフィーナが気にやむ必要はない。お互いWin-Winだったからな」
「私が一方的に損しているだけよ!」
フィーナが追いかけ来たので、俺は逃げる。
捕まったら、さっき短剣を投げつけられたように、何をされるかわからない。
「やれやれ。あの二人は何をしているのですか」
「喧嘩する程仲が良いってことですね」
「仲が良くても羨ましいです」
俺とフィーナは、マシロ達に生暖かい目で見られながら、エルフの城へと向かう。
そして一時間程歩くと、俺達は城の城門の側まで来ることが出来た。
「綺麗なお城ですね」
洋風な真っ白な城を見て、リズが感激していた、
ここがフィーナの育った場所か。
リズの時も思ったけど、王族という権力がある立場なのに、フィーナは偉ぶる所がほとんどない。余程両親の教育が良かったのだろうか。
そのような素晴らしい人達を病気で亡くす訳にはいかないな。
俺達は城に近づくと門番と思われる兵士がこちらに近寄ってきた。
「フィーナ様! よくぞ戻られました」
「お父さんとお母さんの容態はどう?」
「⋯⋯危篤状態となっていまして、一兵士の私には詳しい所まではわかりません」
「他の人達は? まだ死者は出てないのよね?」
「はい⋯⋯ですがそれは時間の問題かと。私の姉もフォラン病のステージ四になってしまいもう長くは⋯⋯」
「そうなの? だったらこれをフォラン病の人に配ってくれない?」
俺は異空間から黄色い液体が入った小瓶をを取り出し、フィーナに渡す。
「こ、これはもしや⋯⋯」
「ええ、フォラン病の治療薬よ」
「おお! ついにレーベンの実を手に入れられたのですね! すると漆黒の牙を⋯⋯」
「その話は後よ。里の西部と南部の人達には治療薬を渡してあるから、あなた達は北部と東部をお願い」
フィーナの言う通り最長老様の命令で、里の南と西のエルフ達には治療薬が行き渡っている。後はこの城と東、北にいるエルフ達に治療薬が渡れば、フォラン病で苦しむ人はいなくなるはずだ。
「承知しました! すぐにフォラン病の方々にこの治療薬を配って参ります」
二人の門番は治療薬を受け取ると、急ぎこの場から立ち去っていく。
「さあ、私達も行きましょう」
俺達はフィーナを先頭に、早足で城の中へと入る。
そして長い廊下を進んでいると、前から数人のエルフ達が向かってきた。
エルフ達はこちらをジロジロと見てきた。何だかその視線に悪意を感じるのは気のせいか?
何事もなく終わればいいなと思っていたが、残念ながらそうは行かないようだ。
「なるほど。どうも城の中がゴミ臭いと思っていたが、人族がいたのか」
話しかけてきたのは集団の先頭にいた中年のエルフだ。
問題を起こしたら、フィーナの両親の元へ行く時間が遅くなる。
ここは無視するに限るな。
俺は目を合わせたないようにしていたが、今の言葉に我慢出来ない者がいた。
「ハウアー! ユートやリズに何てことを言うの!」
「これはこれは傾国の姫ではありませんか。城を出ていったあなたが何のために戻ってきたのですか? ああ、そういうことですか。兄上の死に目に会いに来たと」
「不吉なことを言わないで! いくらお父さんの弟だからといって許せないわ」
弟? よく見るとこのエルフ、ジグベルトに似ているな。まさかジグベルトの父親なのか?
俺達はフィーナの両親の元へと向かおうとしたが、ジグベルトに似たエルフに足を止められてしまうのであった。
374
お気に入りに追加
3,107
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。