猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ

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恥ずかしい称号

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 俺はフィーナの肩に手を置いたまま、その目を真っ直ぐに見据える。

「大地の恵みのスキルを持っているのはフィーナだよ」
「えっ?」

 フィーナは俺の言葉を聞いて呆然としていた。

「な、何をバカなことを言ってるの? 頭大丈夫?」
「至って正常だから安心してくれ」
「私がそんなに凄いスキルを持っている訳ないじゃない。そもそもユートはどうやって⋯⋯私すら知らないことを知ってるの?」

 いきなり突拍子もないことを言われ、フィーナは動揺しているように見える。どうすれば信じてもらえるのか。
 するとフェリから、助言の言葉が上がった。

「ユートよ。フィーナと接触しながら真実の目を使うのじゃ」
「それって何か意味があるのか?」
「なんじゃ。やはり知らなかったのか。誰かと接触しながら真実の目を使うと、接触した者も能力を見ることが出来るのじゃ」
「そんなこと初めて知ったよ。フィーナ、手を握るよ」
「あっ!」
「ん?」
「ううん、突然だったから驚いただけ」

 女の子に対して、許可を得る前に触れたのが不味かったか。
 と、とにかく能力を確認してみよう。

真実の目ヴァールハイト

 俺はスキルを口にすると、立体映像となってフィーナの能力が見えてきた。

 名前:フィーナ・フォン・ガーディアンフォレスト
 性別:女
 種族:エルフ
 レベル:35/120
 好感度:A- 
 力:91
 素早さ:329
 防御力:95
 魔力:701
 HP:193
 MP:400
 スキル:魔力強化D・弓技B 大地の恵み
 魔法:水魔法ランク5
 称号:ガーディアンフォレスト王国王女・森に愛されし者・ツンデレ

「わわっ! 何か出てきた! これが私の能力? って! み、見ないで!」

 フィーナは狼狽えながら自分の能力を隠し始める。
 隠しているのは称号の部分だな。
 チラリと見たが新たにツンデレの称号が追加されてた。
 確かにこれは恥ずかしい。フィーナが隠したくなる気持ちもわかる。

「どれどれ、我にも見せてくれ」

 フェリが後ろから俺の肩に触れる。

「なるほど。これはおもしろい称号を持っておるな。それに大地の恵みのスキルもあるではないか」
「ちょ、ちょっと! 勝手に見ないで! ユートももうやめてぇぇ!」

 フィーナの悲痛の叫びが周囲に鳴り響く。
 さすがに可哀想なので、真実の目ヴァールハイトを解除する。

「はあ⋯⋯はあ⋯⋯」

 フィーナは叫んだせいか肩で息をしている。
 そして深呼吸をするとこちらを振り向き、満面の笑みを浮かべて話しかけてきた。

「大地の恵みのスキルがあることは確認出来たわ。これは使うにはどうすればいいの?」

 どうやら称号のことはなかったことにするようだ。笑みを浮かべているが、称号のことには絶対に触れるなと言っているように感じた。

「私にも、フィーナさんにどのような称号があるのか教えて下さい」

 だが天然が入っているリズにはその意図が読めなかったのか、称号の話を蒸し返す。

「ユート、フェリ⋯⋯絶対に言ったらダメよ」

 俺とフェリはフィーナの圧に負けて、思わず頷いてしまう。

「リズ⋯⋯いくら友達でも踏み込んではいけないことがあるのよ。友達だから言えないことってあるでしょ?」

 フィーナは真剣な表情で語りかける。
 すると何故かリズは俺の所に来て、手を握ってきた。
  
「ユート様! 私やりました!」
「な、何が?」

 リズが興奮気味に語りかけてくる。

「フィーナさんが私のことをお友達と認めて下さいました」
「良かったね」
「はい! え~と⋯⋯以前マシロさんに教わったのですが、懐いてくれなかった方が、突然懐いてくれることをツンデレって言うんですよね?」
「「プッ!」」

 俺とフェリは、リズの狙ったかのような指摘に、思わず吹いてしまった。

「くくっ⋯⋯リズリットは面白いのう」
「フェリ⋯⋯笑ったらダメだろ」
「ユートこそ声には出してはおらんが、笑っているではないか」

 自分で言っておいてなんだけど、この状況面白すぎるだろ。
 俺とフェリの笑いは止まらない。

「も、もうこの話は終わり! それより早くレーベンの実を復活させる方法を教えてよ!」

 フィーナの言葉に一理あるため、俺達は笑いを堪えることにする。そしてフェリの口から大地の恵みについて語られるのであった。


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