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|漆黒の牙《シュヴァルツファング》討伐戦後編
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「ゴホッゴホッ! ゴホッゴホッ!!」
長く漆黒の牙との攻防を繰り広げたせいか、俺は激しく咳き込んでしまう。
そして終には、その場に膝をついてしまった。
「ユート!」
「ユートさん!」
マシロとノアの悲痛の叫びが聞こえてくる。
漆黒の牙《シュヴァルツファング》はその隙を見逃さなかった。
魔素で肺をやられた俺を仕留めようと、猛然と迫ってくる。
おそらく漆黒の牙の真の狙いは、魔素で俺の身体が蝕まれていくのを待っていたのだろう。
そして激しく咳き込み、地面に膝をついた俺を見て、殺せると判断したのだ。
漆黒の牙は俺の頭を目掛けて右の爪を振り下ろす。
この攻撃をまともに食らえば、勝敗は決したようなものだ。
弱っている獲物など余裕で狩れると思っているのだろう。
しかしそうはさせない。
俺は向かってきた爪に対してカウンターで、神剣を下段から振り上げる。
「ぐあっ!」
俺は右の爪を避けきれず、左肩を切り裂かれてしまう。
だが左肩を代償に、漆黒の牙の左前足と黒の法衣を斬り払い、ダメージを与えることに成功した。
黒の法衣は神剣で斬られたことで、完全に消滅した。
これで神剣以外の攻撃も通るようになったはずだ。
しかし黒の法衣は、また復活することが出来るかもしれない。
だからこのチャンスを逃す訳にはいかないのだ。
俺は右手に持った神剣で追い討ちをかけるため、斬り払う。
「うっ!」
だが切り裂かれた左肩の痛みが邪魔して、僅かに動作が遅れる。
漆黒の牙がその隙を見逃すはずがなかった。
漆黒の牙は神剣から逃れるため、後方へとジャンプする。
このままでは代償を払ってまで作った隙が、無駄になってしまう。
だが俺達の攻撃は終わっていない。
「氷拘束魔法」
突然背後から声が聞こえると地面が凍りつき、後方へとジャンプした漆黒の牙の動きを止める。
これは黒の法衣が消滅したから出来たことだ。
「稲妻魔法」
そして再び背後から声が聞こえると、漆黒の牙に向かって天から稲妻が落ちる。
「ガアァァッ!」
稲妻は漆黒の牙に直撃すると、その身を焦がした。だがまだ奴の目はまだ生きている。
しかしこちらの追撃はまだまだ終わってはいない。
後方から風を切りながら、凄まじいスピードで光輝く矢が飛んできた。
矢は漆黒の牙の額を撃ち抜くと、そのまま後ろへ吹き飛ばした。
作戦通りだな。
黒の法衣を破った瞬間にノアには漆黒の牙の動きを止めることを、マシロとフィーナには追撃で攻撃することをお願いしていた。
結果、漆黒の牙は吹き飛び、地面にのたうち回っている。
だがさすがと言うべきか。漆黒の牙は予想外の出来事がいくつも起きたのに、直ぐに持ち直し、距離を取ろうとしていた。
「だけど遅かったな」
俺も皆が攻撃をしてくれていた時、ただ何もせず見ていた訳じゃない。
フィーナが放った神樹の矢で漆黒の牙が吹き飛んだ後、とどめを刺すために距離を詰めていたのだ。
「これで終わりだ!」
俺は漆黒の牙の頭を狙って、神剣を上段から振り下ろす。
すると漆黒の牙は神剣をまともに食らい、断末魔を上げる暇もなく、真っ二つに斬り裂くことに成功するのであった。
長く漆黒の牙との攻防を繰り広げたせいか、俺は激しく咳き込んでしまう。
そして終には、その場に膝をついてしまった。
「ユート!」
「ユートさん!」
マシロとノアの悲痛の叫びが聞こえてくる。
漆黒の牙《シュヴァルツファング》はその隙を見逃さなかった。
魔素で肺をやられた俺を仕留めようと、猛然と迫ってくる。
おそらく漆黒の牙の真の狙いは、魔素で俺の身体が蝕まれていくのを待っていたのだろう。
そして激しく咳き込み、地面に膝をついた俺を見て、殺せると判断したのだ。
漆黒の牙は俺の頭を目掛けて右の爪を振り下ろす。
この攻撃をまともに食らえば、勝敗は決したようなものだ。
弱っている獲物など余裕で狩れると思っているのだろう。
しかしそうはさせない。
俺は向かってきた爪に対してカウンターで、神剣を下段から振り上げる。
「ぐあっ!」
俺は右の爪を避けきれず、左肩を切り裂かれてしまう。
だが左肩を代償に、漆黒の牙の左前足と黒の法衣を斬り払い、ダメージを与えることに成功した。
黒の法衣は神剣で斬られたことで、完全に消滅した。
これで神剣以外の攻撃も通るようになったはずだ。
しかし黒の法衣は、また復活することが出来るかもしれない。
だからこのチャンスを逃す訳にはいかないのだ。
俺は右手に持った神剣で追い討ちをかけるため、斬り払う。
「うっ!」
だが切り裂かれた左肩の痛みが邪魔して、僅かに動作が遅れる。
漆黒の牙がその隙を見逃すはずがなかった。
漆黒の牙は神剣から逃れるため、後方へとジャンプする。
このままでは代償を払ってまで作った隙が、無駄になってしまう。
だが俺達の攻撃は終わっていない。
「氷拘束魔法」
突然背後から声が聞こえると地面が凍りつき、後方へとジャンプした漆黒の牙の動きを止める。
これは黒の法衣が消滅したから出来たことだ。
「稲妻魔法」
そして再び背後から声が聞こえると、漆黒の牙に向かって天から稲妻が落ちる。
「ガアァァッ!」
稲妻は漆黒の牙に直撃すると、その身を焦がした。だがまだ奴の目はまだ生きている。
しかしこちらの追撃はまだまだ終わってはいない。
後方から風を切りながら、凄まじいスピードで光輝く矢が飛んできた。
矢は漆黒の牙の額を撃ち抜くと、そのまま後ろへ吹き飛ばした。
作戦通りだな。
黒の法衣を破った瞬間にノアには漆黒の牙の動きを止めることを、マシロとフィーナには追撃で攻撃することをお願いしていた。
結果、漆黒の牙は吹き飛び、地面にのたうち回っている。
だがさすがと言うべきか。漆黒の牙は予想外の出来事がいくつも起きたのに、直ぐに持ち直し、距離を取ろうとしていた。
「だけど遅かったな」
俺も皆が攻撃をしてくれていた時、ただ何もせず見ていた訳じゃない。
フィーナが放った神樹の矢で漆黒の牙が吹き飛んだ後、とどめを刺すために距離を詰めていたのだ。
「これで終わりだ!」
俺は漆黒の牙の頭を狙って、神剣を上段から振り下ろす。
すると漆黒の牙は神剣をまともに食らい、断末魔を上げる暇もなく、真っ二つに斬り裂くことに成功するのであった。
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