猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ

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ディバインブレード

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「邪魔が入ったが、ユートよ。よくぞ神剣を抜いてくれたな」
「ありがとうございます」
「我は神剣が封印された状態では、動くことが出来なくてな」

 そういえぱフェリアリア様は五千年ぶりの自由と言っていたな。ん? もしかして封印されていたなら、フェリアリア様はあまり良くないものなのか? 封印を解いて大丈夫なのか、少し心配になってきたぞ。
  
「何か今失礼なことを考えておらんか?」
「そ、そんなことありません」

 まさか頭の中を読まれたのか? これは余計なことを考えない方がよさそうだ。

「我の寿命も無限ではないのじゃ。セレスティア様から神剣を持つ者を見定めて欲しいと言われておってな」
「セレスティア様に?」
「そうじゃ。もし神剣に相応しくない者なら⋯⋯」
「者なら? まさか始末しろとか?」
「いや、神剣を持つ資格を取り上げろと言われておる」

 よ、良かった。フェリアリア様は転移魔方陣が使える。もし寝ている時に転移魔方陣で来られて、そのまま剣でぶすりと刺されたら、抵抗する間もなくやられてしまうぞ。

「そもそも一つ疑問があるんですけど、どうして俺が剣を抜くことが出来たんですか? 正直全然力を入れてなかったですよ」
「それはわしも聞いておきたい」

 最長老様も俺の質問に興味津々のようだ。

「やれやれ。前の神剣所有者から伝わっておらんのか。神剣を抜くために必要なことは二つじゃ。一つは神樹の妖精である我に認められること」

 ん? ということは俺はフェリアリア様に認められているってことか?

「それともう一つは、神に選ばれし者であることじゃ」

 確か以前フィーナが同じことを言っていたな。でもそれはどうやって確認するんだ? 称号か?

「フェリアリア様は誰が神に選ばれし者かわかるということでしょうか?」

 俺が疑問に思っていることをフィーナが質問する。
 フェリアリア様も真実の目ヴァールハイトを持っているということなのか?

「いや、我にはわからん。じゃがその条件は知っておる」
「条件ですか」
「そう。その条件は神の魔法である、神聖魔法が使えることじゃ」

 まさか神聖魔法が神剣を抜く条件になっていたとは。だけど確かにセレスティア様に選ばれていないと、教えてもらえない魔法だ。

「この神剣の名前はディバインブレード」
「ディバインブレード⋯⋯」
「この神剣を使ってエルフの里を守ってくれるか? ユートよ」
「もちろんです。必ずや漆黒の牙シュヴァルツファングを倒してみせますよ」
「頼もしい言葉じゃのう。若い者はこうでなくては」

 フェリアリア様は満足げに頷く。
 若い者って⋯⋯フェリアリア様は見た目だけなら俺より若いけどな。でも喋り方からしてかなり年齢は高そうだ。だけどさすがに女性に対して歳を聞くなど、俺はバカじゃない。

「それにしてもユートは前の神剣の所有者に似ているのう」
「えっ? それはカッコいい所がですか?」

 リズは俺に対する評価が高いからなあ。そんなことを言われると照れてしまうぞ。

「いや、八方美人で誰にでも優しくしてそうな所とか、優柔不断な所じゃな。後、女性の気持ちが理解出来ない鈍感そうな所もそうじゃ」
「そうね⋯⋯確かにそういうところがありそうに見えるわ」
「ユート様はとてもお優しいです。そのことに異論はありません」

 えっ? 何? 俺って今ディスられている?
 しかもマシロは頷くんじゃないよ。

「そこが良いところでもある。じゃがあやつはそのせいで大変な目にあったからな。ユートも同じ目に遭わなければいいが⋯⋯」
「怖いことを言わないで下さいよ。大変なことってなんですか?」
「いや、それは聞かない方が身のためじゃ。もし聞いたらユートはきっと⋯⋯」

 嫌な所で言葉を切るなあ。いったい前の神剣の所有者はどんな目にあったのだろうか。

「ともかく暗い話はここまでにして、下に降りるとするか。腹が減って倒れそうじゃ」
「でしたら私の家にお越し下さい」
「確かに昨日の夕食は美味しそうに見えた。今日はフィーナの所で厄介になるとしよう」

 この神樹の妖精は、昨日の俺達の食事を覗いていたのか? プライバシーもあったもんじゃないな。

 こうして俺は神剣ディバインブレードを手に入れ、食事をするためにフェリアリア様を連れて、転移魔方陣に足を踏み入れるのであった。
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