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嘘をつくとそれだけ罪が重くなる

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「アーハッハッハ!」

 レッケは我慢することが出来ず、思わず大声で笑ってしまう。
 その様子を見て、ハメードは一瞬呆然としてしまった。

「突然笑い出してどうしました?」

 ハメードは足を止め振り向き、レッケを憐れみの目で見る。

「いや、あまりにもおかしくてな」
「何がおかしい? 思い通りに行かなくて気でも触れましたか?」
「その逆だ。何もかも思い通り過ぎて笑いが込み上げてしまったよ」
「思い通りだと?」
「ああ」
「何が思い通りに行ってるというのだ? 証人もいなくて自分達の企みが上手くいかなかった。そういうことですよね?」
「証人がいない? 証人なら⋯⋯」
「ここにいるぞ!」

 突然一人の青年が声を上げながら、部屋に乱入するのであった。

 ◇◇◇

 俺は機会を見計らって、のドアを開ける。
 あまりにもタイミングよく現れたため、ハメードは驚愕の表情を浮かべていた。

「だ、誰だ貴様は!」
「俺ですか? 俺はユートと言います」
「そのユートが何の用だ。私達は今、大切な会談をしているのだぞ」

 ハメードは会談の内容を聞かれていないと判断したのか、俺を部屋から追い出そうとしている。惚けるとは見苦しい奴だ。それなら真相を教えてやろう。

「ここの壁はとても薄いから声が丸聞こえなんですよ。あれ? 御存知かと思っていましたが」
「貴様⋯⋯我々の話を聞いていたな」

 怒ってる怒ってる。だがクーデターに手を貸した奴を許す訳にはいかない。絶対に逃がしはしないぞ。

「それで? クーデターに手を貸したことと王国を買おうとしたことを認めますか?」

 本当は隣の部屋で待機している予定だった。だがハメードが罪を認めなかったから、追求するために出てきたのだ。
 しかしギアベルがいつ出てくるかわからないため、早急に決着をつけるぞ。
 これでハメードが罪を認めてくれれば、話は早いのだが。

「ふっ⋯⋯小僧一人が聞いていたから何だと言うのだ。私はそのようなことを一言も言ってないぞ」
「この期に及んでまだしらを切るというのか。本当に往生際の悪い奴だな」

 やはりしらばっくれてきたか。そもそももし罪を認めるなら、レッケさんが問い詰めた時に認めていただろう。
 だがハメードはわかってないな。嘘をつき続ければそれだけ信用がなくなり、罪が重くなるということを。

「これが最後通告です。クーデターに手を貸したことと王国を金で買おうとしたことを認めますか?」
「だから何のことだ? 言いがかりをつけると貴様も名誉毀損で訴えるぞ」

 バカな奴だ。罪を認める機会を与えてやったのに反故するとは。
 ならばここからは容赦はしない。お前の罪を暴いていやろう。

「訴える前に一つだけ教えてあげますよ」
「何だ? お前みたいな子供がこの私に何を教えてくれるというのだ」

 ハメードはニタニタと下衆な笑みを浮かべている。
 どうせ俺の言うことなど大したことないと思っているのだろう。
 だがその薄汚い笑いを絶望に変えてやる。

「言い忘れてたけど、この会談の内容を聞いていたのは俺だけじゃないよ」
「何! だが誰が聞いてようが、私は何もしていない」

 他の人も聞いていたと言ってもまだ罪を認めないか。ならば会談を聞いていた人達に登場願おうか。

「この方達を前にして同じセリフを言うことが出来るか楽しみですね」
「クックック⋯⋯誰が来ようが私の無実は変わらない」
「そうですか。では入ってきて下さい」

 俺は隣の部屋で待機していた人達を呼び寄せる。
 すると男性二人と女性一人が部屋に入ってきた。

「ん? 誰だお前達⋯⋯ま、まさかあなた方は!」

 ハメードは部屋に入ってきた人物に視線を向けると、驚愕の表情を浮かべるのであった。
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