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ミミ
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「行っちゃったよ」
パステトの姿はもうどこにもない。神界という所に帰ったのだろうか。
「ミーミー」
子猫は鳴きながら器用に俺の肩に乗ってきた。
「う~ユート様羨ましいです。私の肩も空いているので乗ってもいいですよ?」
しかし子猫は明後日の方を向いてしまい、リリアは拒否された。
「とっても悲しいです。ですがいつかきっとデレてくれることを信じています」
子猫よりリリアがデレデレだな。
正直な話、子猫もとい神獣を飼うのはどうかと思ったけどリリアがここまで喜んでいるなら、面倒を見てもいいかな。
これまでリリアは辛い人生を送ってきたんだ。これからは楽しめることをやらせてあげたい。
「とりあえずまずは名前をつけようか」
「名前ですか!? 私に任せて下さい」
俺は今まで動物とか飼ったことがないから、名前もつけたことがない。
それに自分にセンスがあるとは思えないので、ここはリリアに任せよう。
「う~ん⋯⋯それではゲジクロはどうでしょうか」
「えっ?」
ゲジクロ? クロは見た目が黒いからわかるけど、ゲジってなに? 何かゲジゲジみたいで嫌だなあ。
「ミーミー! シャーッ!」
子猫もリリアがつけた名前が気に入らないのか、威嚇して嫌がっているように見える。
「こ、個性的な名前だね。けどもう少し考えた方がいいんじゃない」
「そうですか。猫さんは喜んでくれてますけど」
「そうかなあ」
いや、子猫はどう見ても嫌がっているように見える。
「でしたらクロタロウはどうでしょうか」
「ミャミャミャー!」
「ふふ⋯⋯そんなに喜んでくれるなんて嬉しいです」
子猫は全力で首を横に振っている。
そして子猫は俺の方を上目遣いで見ており、何とかしてくれと言っているように感じた。
「さっきよりマシ⋯⋯じゃなくて、ゲジクロよりは良いと思うけど、そもそもこの子猫は男の子なのか?」
「そうですね。確認して見ましょう」
リリアは子猫を抱き上げて、股の所を確認する。
「う~ん⋯⋯たぶんメスだと思います」
「それならクロタロウは可哀想な気が」
「ではゲジクロで」
「シャーッ! シャーッ!」
「その名前からは離れよう」
子猫はやんのかステップでリリアを威嚇している。この子猫、リリアのことが相当嫌いなようだ。
「それではユート様が名前をつけて下さい」
「俺が?」
名前をつけるセンスなんてないけど、ゲジクロとクロタロウになるよりはマシか。
子猫も俺に名前をつけてほしいのか、激しく頷いている。
真っ黒な子猫か⋯⋯クロだと安易だし男の子っぽいか。
「ミーミー」
そういえばこの子猫、さっきからミーミー鳴いているよな。
「それならミミはどうかな?」
「ミミですか? 可愛らしい名前ですね」
とりあえずリリアからオッケーが出た。後は⋯⋯
「どうかな? ミミ」
「ミーミー」
ミミは俺の肩に乗り、頬をペロペロと舐めてきた。
「おっ? 気に入ってくれたか?」
「ミーミー」
どうやら子猫からもオッケーが出たようだ。
それにしても、この子猫は俺達の言葉がわかっているぽいな。パステトも話していたし、さすが神獣の子供だな。
「ミミちゃ~ん。それじゃあ私が抱っこして連れていってあげますね」
プイッ。
しかしリリアには目もくれず、ミミは俺の肩から降りる気配がない。
「あ~ん意地悪です。でもそこがまた可愛い」
リリアも本当に懲りないな。ここまで嫌われていたら普通ならへこむ所だ。メンタルが強いのか、それともそれだけミミのことが好きなのかもしれない。
いつかその想いが届けばいいが。
「それじゃあ村に戻ろうか」
「はい」
こうして俺は神獣パステトの子供、ミミを引き取ることになり、ノアの村へと戻るのであった。
そしてこの時、レガーリア王国では聖女の力がなくなることで、新たな動きを見せていたが、今の俺は知るよしもなかった。
パステトの姿はもうどこにもない。神界という所に帰ったのだろうか。
「ミーミー」
子猫は鳴きながら器用に俺の肩に乗ってきた。
「う~ユート様羨ましいです。私の肩も空いているので乗ってもいいですよ?」
しかし子猫は明後日の方を向いてしまい、リリアは拒否された。
「とっても悲しいです。ですがいつかきっとデレてくれることを信じています」
子猫よりリリアがデレデレだな。
正直な話、子猫もとい神獣を飼うのはどうかと思ったけどリリアがここまで喜んでいるなら、面倒を見てもいいかな。
これまでリリアは辛い人生を送ってきたんだ。これからは楽しめることをやらせてあげたい。
「とりあえずまずは名前をつけようか」
「名前ですか!? 私に任せて下さい」
俺は今まで動物とか飼ったことがないから、名前もつけたことがない。
それに自分にセンスがあるとは思えないので、ここはリリアに任せよう。
「う~ん⋯⋯それではゲジクロはどうでしょうか」
「えっ?」
ゲジクロ? クロは見た目が黒いからわかるけど、ゲジってなに? 何かゲジゲジみたいで嫌だなあ。
「ミーミー! シャーッ!」
子猫もリリアがつけた名前が気に入らないのか、威嚇して嫌がっているように見える。
「こ、個性的な名前だね。けどもう少し考えた方がいいんじゃない」
「そうですか。猫さんは喜んでくれてますけど」
「そうかなあ」
いや、子猫はどう見ても嫌がっているように見える。
「でしたらクロタロウはどうでしょうか」
「ミャミャミャー!」
「ふふ⋯⋯そんなに喜んでくれるなんて嬉しいです」
子猫は全力で首を横に振っている。
そして子猫は俺の方を上目遣いで見ており、何とかしてくれと言っているように感じた。
「さっきよりマシ⋯⋯じゃなくて、ゲジクロよりは良いと思うけど、そもそもこの子猫は男の子なのか?」
「そうですね。確認して見ましょう」
リリアは子猫を抱き上げて、股の所を確認する。
「う~ん⋯⋯たぶんメスだと思います」
「それならクロタロウは可哀想な気が」
「ではゲジクロで」
「シャーッ! シャーッ!」
「その名前からは離れよう」
子猫はやんのかステップでリリアを威嚇している。この子猫、リリアのことが相当嫌いなようだ。
「それではユート様が名前をつけて下さい」
「俺が?」
名前をつけるセンスなんてないけど、ゲジクロとクロタロウになるよりはマシか。
子猫も俺に名前をつけてほしいのか、激しく頷いている。
真っ黒な子猫か⋯⋯クロだと安易だし男の子っぽいか。
「ミーミー」
そういえばこの子猫、さっきからミーミー鳴いているよな。
「それならミミはどうかな?」
「ミミですか? 可愛らしい名前ですね」
とりあえずリリアからオッケーが出た。後は⋯⋯
「どうかな? ミミ」
「ミーミー」
ミミは俺の肩に乗り、頬をペロペロと舐めてきた。
「おっ? 気に入ってくれたか?」
「ミーミー」
どうやら子猫からもオッケーが出たようだ。
それにしても、この子猫は俺達の言葉がわかっているぽいな。パステトも話していたし、さすが神獣の子供だな。
「ミミちゃ~ん。それじゃあ私が抱っこして連れていってあげますね」
プイッ。
しかしリリアには目もくれず、ミミは俺の肩から降りる気配がない。
「あ~ん意地悪です。でもそこがまた可愛い」
リリアも本当に懲りないな。ここまで嫌われていたら普通ならへこむ所だ。メンタルが強いのか、それともそれだけミミのことが好きなのかもしれない。
いつかその想いが届けばいいが。
「それじゃあ村に戻ろうか」
「はい」
こうして俺は神獣パステトの子供、ミミを引き取ることになり、ノアの村へと戻るのであった。
そしてこの時、レガーリア王国では聖女の力がなくなることで、新たな動きを見せていたが、今の俺は知るよしもなかった。
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