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不穏な手紙
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シズル先生からダンジョンの話をされた翌日。Sクラスの教室にて
「それでは各グループは指定された場所へと移動しろ」
ダンジョンの入口は学園の北西、北、北東、南西、南、南東にある転移魔方陣から入れるらしい。
どのグループがどの転移魔方陣を使うかは決められている。ルリシアさん達は北東の転移魔方陣を指定されたようだ。
ちなみに学園の北東は旧校舎がある場所で、普段は人が寄り付かない所だ。そのため仮面の者達がダンジョンに入るには打ってつけの場所だった。
「三人共気をつけて」
「うん。がんばるね」
「ユート様もお気をつけて」
「今の私にかかればかめん⋯⋯コホンッ! ダンジョン攻略など余裕ですわ」
カレンさんは思わず仮面の者達のことを口にしようとしてたな。
一応三人には、昨日シズル先生から言われたことをそのまま伝えてある。
普通の女の子なら囮にされることに恐怖すると思うけど、三人はむしろ決着をつけるんだとやる気に燃えていた。
仮面の者達に襲われる覚悟でダンジョンに向かったのだ。
「お前達二人は十分後だ。北東の入口を使ってダンジョンへ向かえ」
「わかりました」
そしてシズル先生はSクラスの教室から出ていき、ここには俺とフリードさんだけとなる。
「二人だけになっちゃいましたね」
フリードさんはこちらの問いかけに反応しない。ずっと俯いたままだ。
正直この人は何を考えているのかわからない。取り巻き達ですら最低限しか話をしていないし、親戚のカレンさんともほとんど会話がない。
出来ればダンジョンに行く前に、フリードさんの真意を知っておきたい。そう思って話しかけたが無視とは。
もうこのまま時間が来たらダンジョンに向かって、怪しい行動をしたら拘束すればいいや。
俺はそう結論付けてフリードさんと話すことを諦めた。
だがこの後、予想外のことが起きた。
「なあ」
なんとフリードさんが俺に向かって話しかけて来たのだ。
「何?」
「シズル先生との戦いは見ていた。お前は何故強い⋯⋯どうやってその力を手に入れた」
「どうやって? 努力したからかな」
「では何故努力し続けることが出来た」
「それは⋯⋯助けたい人がいたからね」
「そうか⋯⋯」
えっ? それで終わり?
フリードさんは強くなりたいということなのか?
強くなる方法の話でもしたら、もっと会話が弾むのか?
でもまた無視されたら嫌だしなあ。
俺はフリードさんから話しかけられるのを待ったが、何も言って来ない。
仕方ないな。ここは年長者として俺から話題を振るとしよう。
「フリードさんは強くなりたいの? それは何か叶えたい目標とか夢があるから?」
「⋯⋯」
また無視か。まあ返事が返ってこないことも想定していたから、別にいいけど。
「⋯⋯そのようなものあっても意味がない。私の人生は他人が決めることだからな」
無視されたと思ったけど、初めてフリードさんが俺の問いに答えてくれた。
それにしても他人が決める人生とはどういうことだ?
俺は疑問に思ったので問いかけようとするが⋯⋯
「無駄話は終わりだ。そろそろ行くぞ」
フリードさんが話を切ってしまったので、聞くことが出来なかった。
そして俺達はダンジョンの入口がある、学園北東部へと向かう。
すると旧校舎に近づくにつれて、人の気配がなくなってきた。
これはもし仮面の者達がこの辺りに侵入してても、誰も気づかないな。
俺は三人のことが心配になり、少し早足になる。
後ろにいるフリードさんが気になったが、俺の後ろを離れずついてきていた。
それならこのペースで行かせてもらう。
そしてSクラスの教室を出て十分程経った頃、目的の転移魔方陣へとたどり着いた。
転移魔方陣は旧校舎の一室にあった。
後はこの魔方陣の上に乗れば、自動的にダンジョンに転移するはずだ。
俺は魔方陣へと移動する。
「ちょっと待て」
しかしフリードさんに呼び止められので、足を止めた。
「どうしたの?」
「これを見てくれ。そこに落ちていた」
フリードさんが手に持っていたのは一枚の紙だ。
あれ? そんな紙あったか? 俺は気づかなかったぞ。
とりあえず俺はフリードさんが持っている紙を見せてもらう。
するとそこには思いがけないことが書いてあった。
「それでは各グループは指定された場所へと移動しろ」
ダンジョンの入口は学園の北西、北、北東、南西、南、南東にある転移魔方陣から入れるらしい。
どのグループがどの転移魔方陣を使うかは決められている。ルリシアさん達は北東の転移魔方陣を指定されたようだ。
ちなみに学園の北東は旧校舎がある場所で、普段は人が寄り付かない所だ。そのため仮面の者達がダンジョンに入るには打ってつけの場所だった。
「三人共気をつけて」
「うん。がんばるね」
「ユート様もお気をつけて」
「今の私にかかればかめん⋯⋯コホンッ! ダンジョン攻略など余裕ですわ」
カレンさんは思わず仮面の者達のことを口にしようとしてたな。
一応三人には、昨日シズル先生から言われたことをそのまま伝えてある。
普通の女の子なら囮にされることに恐怖すると思うけど、三人はむしろ決着をつけるんだとやる気に燃えていた。
仮面の者達に襲われる覚悟でダンジョンに向かったのだ。
「お前達二人は十分後だ。北東の入口を使ってダンジョンへ向かえ」
「わかりました」
そしてシズル先生はSクラスの教室から出ていき、ここには俺とフリードさんだけとなる。
「二人だけになっちゃいましたね」
フリードさんはこちらの問いかけに反応しない。ずっと俯いたままだ。
正直この人は何を考えているのかわからない。取り巻き達ですら最低限しか話をしていないし、親戚のカレンさんともほとんど会話がない。
出来ればダンジョンに行く前に、フリードさんの真意を知っておきたい。そう思って話しかけたが無視とは。
もうこのまま時間が来たらダンジョンに向かって、怪しい行動をしたら拘束すればいいや。
俺はそう結論付けてフリードさんと話すことを諦めた。
だがこの後、予想外のことが起きた。
「なあ」
なんとフリードさんが俺に向かって話しかけて来たのだ。
「何?」
「シズル先生との戦いは見ていた。お前は何故強い⋯⋯どうやってその力を手に入れた」
「どうやって? 努力したからかな」
「では何故努力し続けることが出来た」
「それは⋯⋯助けたい人がいたからね」
「そうか⋯⋯」
えっ? それで終わり?
フリードさんは強くなりたいということなのか?
強くなる方法の話でもしたら、もっと会話が弾むのか?
でもまた無視されたら嫌だしなあ。
俺はフリードさんから話しかけられるのを待ったが、何も言って来ない。
仕方ないな。ここは年長者として俺から話題を振るとしよう。
「フリードさんは強くなりたいの? それは何か叶えたい目標とか夢があるから?」
「⋯⋯」
また無視か。まあ返事が返ってこないことも想定していたから、別にいいけど。
「⋯⋯そのようなものあっても意味がない。私の人生は他人が決めることだからな」
無視されたと思ったけど、初めてフリードさんが俺の問いに答えてくれた。
それにしても他人が決める人生とはどういうことだ?
俺は疑問に思ったので問いかけようとするが⋯⋯
「無駄話は終わりだ。そろそろ行くぞ」
フリードさんが話を切ってしまったので、聞くことが出来なかった。
そして俺達はダンジョンの入口がある、学園北東部へと向かう。
すると旧校舎に近づくにつれて、人の気配がなくなってきた。
これはもし仮面の者達がこの辺りに侵入してても、誰も気づかないな。
俺は三人のことが心配になり、少し早足になる。
後ろにいるフリードさんが気になったが、俺の後ろを離れずついてきていた。
それならこのペースで行かせてもらう。
そしてSクラスの教室を出て十分程経った頃、目的の転移魔方陣へとたどり着いた。
転移魔方陣は旧校舎の一室にあった。
後はこの魔方陣の上に乗れば、自動的にダンジョンに転移するはずだ。
俺は魔方陣へと移動する。
「ちょっと待て」
しかしフリードさんに呼び止められので、足を止めた。
「どうしたの?」
「これを見てくれ。そこに落ちていた」
フリードさんが手に持っていたのは一枚の紙だ。
あれ? そんな紙あったか? 俺は気づかなかったぞ。
とりあえず俺はフリードさんが持っている紙を見せてもらう。
するとそこには思いがけないことが書いてあった。
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