没落貴族のやりすぎ異世界転生者は妹の病を治すため奔走する~しかし僕は知らなかった。どうやらこの世界はショタ好きが多いようです~

マーラッシュ

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仮面の集団

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 初日は自己紹介と、今年度の日程についての話で終わった。
 主な内容としてクラス入れ換えの試験は半年後と一年後にあることと、二年に進級する前に、学園の地下にあるダンジョンの攻略をするとのことだった。

「それと最近街に仮面をつけた怪しげな集団がいるらしい。門限があるから大丈夫だとは思うが、あまり遅い時間まで街で遊ばないように」

 えっ? それはさっきのシズル先生のことでは?
 一瞬そのような考えが浮かんだが、シズル先生がこちらを睨んで来たので、口にすることは出来ない。

「だがもしそのような奴らを見つけたら学園⋯⋯私に知らせるように。そしてアジトを発見した者がいたら成績をあげてやろう」 

 この人自分でその怪しい集団をぶちのめすつもりだな。そのために生徒の成績を利用するとは、なんて教師だ。

 そして初日の日程は終わり、俺はルリシアさんと帰路につく。

「ユートくん、少し私に付き合ってもらってもいい?」
「⋯⋯まさかルリシアさん」

 シズル先生の話を聞いて、その怪しい仮面の集団を捕まえようとしているんじゃ。

「違うわよ。ただ街で生活用品を買いたいだけ」
「それなら大丈夫です」
「ユートくんは私を何だと思っているの?」
「え~と⋯⋯ボルゲーノさんが、ルリシアさんは一度言い出したら聞かないって言ってたから、仮面の人達を捕まえるって言い出したらどうしようかなって⋯⋯」
「いくら私でもそんなに無鉄砲じゃないわ」
「だよね。お姫様がそんなことするわけないよね。良かったあ」

 本当に良かった。なるべくなら自分から危険に飛び込むようなことはしたくないからな。
 しかし残念ながら、そうは思わないお姫様がいるようだ。

「さあ行きますわよ! わたくしがSクラスのトップになるチャンスが来ましたわ!」
「お嬢様、自分から危険に飛び込むなんてバカですか?」
「誰がバカですか!」
「申し訳ありません。言葉を間違えました。お嬢様は目先のエサに飛びつくワンちゃんのようですね」
「⋯⋯ワンちゃんと可愛らしく言ってますが、暗にバカと言っているように聞こえるのは気のせいでしょうか?」
「⋯⋯気のせいですよ」
「間があったのが少し気になりますが⋯⋯先程シズル様にお聞きしましたが、仮面の者達は暴行、恐喝、人拐いなどの犯罪を働いているようです。そのような悪徳集団はアイゼンシュッツ王国の王女として、見過ごす訳にはいきません」
「⋯⋯仕方ありませんね。これもお嬢様にお仕えしてしまった者の定めとして諦めます」

 カレンさんとやれやれといった様子のニナさんが、学園の外に出ていく。

 う~ん⋯⋯確かにカレンさんは猪突猛進なところがありそうだけど、正義感もあるように見える。
 だからこそ行動を止めにくい。ニナさんは大変だろうな。
 俺はニナさんの心中を察する。

「え~とユートくん⋯⋯」
「ダメです」
「まだ何も言ってないのにひどいよぉ」
「ルリシアさんも仮面の人達を捕まえたいって言うんでしょ」
「困っている人がいるんだよ。だから⋯⋯」
「そんな怪しい人達が昼間からいる訳ないよ。きっと夜から行動するんじゃないかなあ」
「そうね⋯⋯さすがに門限を破ってまで探す訳にはいかないかあ」

 門限は19時だ。確かに暗い時間に探すならそれ以降じゃないと無理だ。
 それと犯行を及ぶ時だけ仮面をつける可能性もあるけど、そのことを口にしたらルリシアさんがその集団を探すと言い兼ねないので黙ってる。

「今日は生活用品を買いに行くんでしょ。早く行こ」
「あっ! ユートくん待って」

 俺達も学園を出て街へと向かう。
 街へと向かった俺達は、中央区画にある商店街へたどり着いた。
 そしてルリシアさんと生活用品である、シャンプーやボディーソープ、タオルなどを購入した。

「後もう一つ寄りたい所があるけどいい?」
「うん。いいよ」
「ここのお店なんだけど⋯⋯ユートくんの意見も聞いてみたいな」
「えっ? こ、ここですか!」

 ルリシアさんが指定した店は、カラフルな色をした物が多く売っている場所で、俺は思わず声が上擦ってしまうのであった。
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