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王国のお姫様
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「これは天がわたくしに授けてくれた千載一遇のチャンス! 今日こそあなたにギャフンと言わせてみせますわ!」
な、何だこの人は。しゃべり方がお嬢様っぽいけどルリシアさんの知りあいなのか?
「ギャフン」
「えっ?」
突然ルリシアさんが、意味不明なことを口にし始めた。
「⋯⋯ルリシアさん? あなた何を仰っていますの?」
「カレンちゃんは私にギャフンって言わせたかったんでしょ? だから言ってみたの」
「そうじゃないですわ! 私があなたに勝って思わず口にするギャフンが聞きたいのです!」
「そうなの?」
「そうです!」
カレンと言う人は悔しいのかわからないが、地団駄を踏んでいた。
「ルリシアさんこの人は⋯⋯」
「カレンちゃん。こう見えてアイゼンシュッツ王国のお姫様なの」
「こう見えては余計です」
「褒め言葉よ。凄く親しみやすいからお姫様っぽくなくて話しやすいの」
「そ、それなら最初からそう言って下さいな」
この人王族なのか?
確かに少し上から目線的なところは王族っぽいな。
「私は今までの人生で、ルリシアさんに勝ったことがありせんでした」
何かこの人、いきなり現れて語り始めたぞ。
「そんなことないよ。お庭でだんご虫を捕まえるのは、カレンちゃんの方が上手だったじゃない」
「そのようなことはどうでもいいですわ! 私は勉強とか運動とか一般教養のことを言ってるのよ!」
「え~私は虫を触れるカレンちゃんは凄いって尊敬してたのに」
「そんなことで尊敬されたくありません!」
さっきから話が進んでいない。このままだと⋯⋯
「席に座れ!」
講堂の前の扉からスーツを着た男性が現れ、教壇へと向かう。
「もう! ルリシアさんが余計なお話をするから時間がなくなってしまいましたわ!」
「私はカレンちゃんと久しぶりにお話が出来て嬉しかったよ」
「⋯⋯ま、まあ私も少しは嬉しかったですわ」
ツンデレか!
どうやらカレンさんはルリシアさんが大好きだけど、素直になれないだけの人のようだ。
「そこっ! 早く席につけ!」
「は、はいぃ!」
そしてカレンさんは教員らしき人に叱られ、席に座るのであった。
講堂は静寂に包まれ、視線が教壇にいる男性に注がれる。
「私は教員のダインだ。まず最初に話したいことがある⋯⋯合格おめでとう。君達は二週間後にブレイヴ学園の一員となる。知っての通りこの学園を卒業することは大変名誉なことだ。国から破格の待遇で士官の誘いもあるだろう。だがだからこそ、君達には武や知力だけではなく規律も学んでほしい。例えどんなに強かろうが、規律を守れない奴はこの学園には必要ない。そのような生徒には退学も辞さないつもりだ」
確かに規律を守れない奴は、組織の雰囲気を悪くする。そういう生徒はいなくなってもらった方がいいだろう。
「そしてわかっていると思うが、ここでは自分や親の肩書きは通用しない。もし肩書きを利用して規律を乱す者がいたら、それなりの処分を受けてもらう」
ルリシアさんが皇族だからといって、好き勝手に振る舞うことは出来ないということか。まあルリシアさんはそんなことしないけど。
「それではブレイヴ学園の規則について講義を始める」
そしてダイン先生の講義が始まった。
内容は門限や食事の時間について、人に迷惑をかけるななど、俺に取っては当たり前のことだった。
だけどこの当たり前のことを守れない奴がいるから、ダイン先生は講義をしているんだろうな。
ダイン先生の講義は一時間程で終わり、休憩の時間となった。
そして再びカレンさんがルリシアさんの元へとやってくる。
「先程は話の途中でしたけど、ルリシアさんがブレイヴ学園の試験を受けると聞いて、私も受験することを決意しました。そしてとうとうルリシアさんに勝利する時が来たのです!」
まさかこの人はルリシアさんと競うために、ブレイヴ学園の試験を受けたのか。どれだけルリシアさんのことが好きなんだ。
「どういうことなの?」
「入学試験の結果はどうでしたか? わたくしは三席でした。これで私はルリシアさんより上、ひいてはヴィンセント帝国よりアイゼンシュッツ王国の方が上ということになるのです」
そんなバカな。試験の結果一つでどうして王国の方が上になるんだ?
カレンさんの言っている意味が俺には理解できない。
「私はもうルリシアさんが気軽に話していい存在ではないのです。悔しかったら私に勝ってみせなさい」
「う~ん⋯⋯試験の結果でどっちが上とか決まらないと思うけど、カレンちゃんの理論なら、帝国の方が⋯⋯私の方が上ということになるけど」
「ど、どういうことですか?」
「私、試験の結果は次席だったから」
「そ、そんなあ⋯⋯今日こそ勝ったと思ったのに⋯⋯ですわ」
カレンさんは敗北を知り、その場に泣き崩れるのであった。
な、何だこの人は。しゃべり方がお嬢様っぽいけどルリシアさんの知りあいなのか?
「ギャフン」
「えっ?」
突然ルリシアさんが、意味不明なことを口にし始めた。
「⋯⋯ルリシアさん? あなた何を仰っていますの?」
「カレンちゃんは私にギャフンって言わせたかったんでしょ? だから言ってみたの」
「そうじゃないですわ! 私があなたに勝って思わず口にするギャフンが聞きたいのです!」
「そうなの?」
「そうです!」
カレンと言う人は悔しいのかわからないが、地団駄を踏んでいた。
「ルリシアさんこの人は⋯⋯」
「カレンちゃん。こう見えてアイゼンシュッツ王国のお姫様なの」
「こう見えては余計です」
「褒め言葉よ。凄く親しみやすいからお姫様っぽくなくて話しやすいの」
「そ、それなら最初からそう言って下さいな」
この人王族なのか?
確かに少し上から目線的なところは王族っぽいな。
「私は今までの人生で、ルリシアさんに勝ったことがありせんでした」
何かこの人、いきなり現れて語り始めたぞ。
「そんなことないよ。お庭でだんご虫を捕まえるのは、カレンちゃんの方が上手だったじゃない」
「そのようなことはどうでもいいですわ! 私は勉強とか運動とか一般教養のことを言ってるのよ!」
「え~私は虫を触れるカレンちゃんは凄いって尊敬してたのに」
「そんなことで尊敬されたくありません!」
さっきから話が進んでいない。このままだと⋯⋯
「席に座れ!」
講堂の前の扉からスーツを着た男性が現れ、教壇へと向かう。
「もう! ルリシアさんが余計なお話をするから時間がなくなってしまいましたわ!」
「私はカレンちゃんと久しぶりにお話が出来て嬉しかったよ」
「⋯⋯ま、まあ私も少しは嬉しかったですわ」
ツンデレか!
どうやらカレンさんはルリシアさんが大好きだけど、素直になれないだけの人のようだ。
「そこっ! 早く席につけ!」
「は、はいぃ!」
そしてカレンさんは教員らしき人に叱られ、席に座るのであった。
講堂は静寂に包まれ、視線が教壇にいる男性に注がれる。
「私は教員のダインだ。まず最初に話したいことがある⋯⋯合格おめでとう。君達は二週間後にブレイヴ学園の一員となる。知っての通りこの学園を卒業することは大変名誉なことだ。国から破格の待遇で士官の誘いもあるだろう。だがだからこそ、君達には武や知力だけではなく規律も学んでほしい。例えどんなに強かろうが、規律を守れない奴はこの学園には必要ない。そのような生徒には退学も辞さないつもりだ」
確かに規律を守れない奴は、組織の雰囲気を悪くする。そういう生徒はいなくなってもらった方がいいだろう。
「そしてわかっていると思うが、ここでは自分や親の肩書きは通用しない。もし肩書きを利用して規律を乱す者がいたら、それなりの処分を受けてもらう」
ルリシアさんが皇族だからといって、好き勝手に振る舞うことは出来ないということか。まあルリシアさんはそんなことしないけど。
「それではブレイヴ学園の規則について講義を始める」
そしてダイン先生の講義が始まった。
内容は門限や食事の時間について、人に迷惑をかけるななど、俺に取っては当たり前のことだった。
だけどこの当たり前のことを守れない奴がいるから、ダイン先生は講義をしているんだろうな。
ダイン先生の講義は一時間程で終わり、休憩の時間となった。
そして再びカレンさんがルリシアさんの元へとやってくる。
「先程は話の途中でしたけど、ルリシアさんがブレイヴ学園の試験を受けると聞いて、私も受験することを決意しました。そしてとうとうルリシアさんに勝利する時が来たのです!」
まさかこの人はルリシアさんと競うために、ブレイヴ学園の試験を受けたのか。どれだけルリシアさんのことが好きなんだ。
「どういうことなの?」
「入学試験の結果はどうでしたか? わたくしは三席でした。これで私はルリシアさんより上、ひいてはヴィンセント帝国よりアイゼンシュッツ王国の方が上ということになるのです」
そんなバカな。試験の結果一つでどうして王国の方が上になるんだ?
カレンさんの言っている意味が俺には理解できない。
「私はもうルリシアさんが気軽に話していい存在ではないのです。悔しかったら私に勝ってみせなさい」
「う~ん⋯⋯試験の結果でどっちが上とか決まらないと思うけど、カレンちゃんの理論なら、帝国の方が⋯⋯私の方が上ということになるけど」
「ど、どういうことですか?」
「私、試験の結果は次席だったから」
「そ、そんなあ⋯⋯今日こそ勝ったと思ったのに⋯⋯ですわ」
カレンさんは敗北を知り、その場に泣き崩れるのであった。
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