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入学試験(4)
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古文書が出現し、裏になったカードが俺の前に来る。
今回はパワーブースターを絶対に引きたかったので、保管のページには初めから五枚しかセットしていない。
俺は裏になったカードを引くと、パワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)、そして再びカードにした大岩(⭐1)だった。
俺は五枚のカードをバトル用のページにセットすると、時は動き出した。
そして俺は透かさず一枚のカードを引き宣言する。
「僕に力を貸して! パワーブースター!」
カードの力で、自分の身体能力が飛躍的に上がるのを感じる。
準備は整った。後はトールを倒すだけだ。
「何をしたんだ? だが何をしようとこの俺⋯⋯」
「あなたと話すことはないよ」
俺は口上を垂れているトールの元へ接近する。
奴の武器は槍、中距離で攻撃されると厄介なので、一気に懐へと入る。
「速い! だが!」
トールは俺の頭部を狙って槍を突き刺してきた。
刃が潰れているとはいえ、これは完全に俺を殺す気満々だな。
顔からも笑みがこぼれているし間違いないだろう。
鋭い槍が目前まで迫ってくる。
だけど食らってはやらない。
俺は向かってきた槍を剣でおもいっきり横に払う。
剣と槍が重なり、周囲に金属音が鳴り響いた。
「ぐあっ! 何だこの力は!」
トールは油断していたのか、それとも予想以上の力だったのか、槍を持つことが出来ず、手放してしまう。
「あなたのせいで落ちた人の恨みを食らうがいい」
俺は手が痺れて、苦悶の表情を浮かべているトールの顔面に向かって拳を繰り出す。
するとトールはなす術もなく拳を食らい、もの凄い勢いで吹っ飛んでいく。そしてボロ雑巾のように地面を転がり、壁に当たって止まった。トールはピクリとも動かない。どうやら既に意識はなく、気絶しているようだ。
その様子を見ていた審判や受験生達は、何が起きたのかわからず、ただ呆然としているだけだった。
「あの⋯⋯僕の勝ち、ですよね?」
「あ、ああ⋯⋯勝者六百六十六番!」
審判の人がそう宣言すると、周囲がどよめきに包まれる。
「い、今の見たか?」
「新人クラッシャーのトールが吹っ飛んでいったよな?」
「あの子何をしたの? 動きが見えなかったよ」
トールに何もさせず、一瞬で模擬戦を終わらせた。
気絶しているし、実技試験の評価は最悪の結果だろう。
去年合格しておけば良かったものを。新人イジメなんて下らないことをやってるからだ。
俺は礼をしてこの場を離れる。
すると受験生達が後退り、俺の通る道を開けていく。
「誰だよ。あの子が記念受験だなんて言った奴は」
「もし筆記試験も点数取れてたら合格間違いなしじゃね」
「可愛いのに強いって、私あの子のファンになっちゃうかも」
何だか凄い見られているし、噂されているな。
俺は居心地が悪いので、訓練所の隅へと移動する。
「それではこれから試験官との模擬戦を行う。名前を呼ばれた者は前に来るように」
実技試験は次の段階へと進み、その様子を俺は眺めていた。
どうやら試験官の男性二人が交互に受験生と戦うようだ。
そしてよく見てみると、模擬戦で負けた人も名前を呼ばれていた。受験生同士の戦いで、直ぐに決着がついてしまった子達をもう一度戦わせているようだな。
もしかしたらその対象にトールも入っているかもしれない。せっかく実技試験から脱落させた意味がなくなってしまう。
だが俺の考えは杞憂に終わった。
「受験番号五十七番⋯⋯五十七番はいないか?」
試験官が番号を呼ぶが、トールが出てくる様子はない。どうやらまだ気絶しているようだ。
「では次は六百六十六番」
「はい」
俺の出番が来たので試験官の元へと向かう。
「先程の戦いは見事だった。だが私もそう簡単にやられる訳にはいかない」
「よろしくお願いします」
成績優秀者は大図書館の使用権限が与えられる。試験官だからと言ってこちらも負ける訳にはいかない。
俺と試験官の男性は定位置につく。
そして審判の開始の合図を待つが⋯⋯
「ちょっと待った!」
突然二十歳前後くらいの若い女性が、模擬戦に乱入してくるのであった。
今回はパワーブースターを絶対に引きたかったので、保管のページには初めから五枚しかセットしていない。
俺は裏になったカードを引くと、パワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)、そして再びカードにした大岩(⭐1)だった。
俺は五枚のカードをバトル用のページにセットすると、時は動き出した。
そして俺は透かさず一枚のカードを引き宣言する。
「僕に力を貸して! パワーブースター!」
カードの力で、自分の身体能力が飛躍的に上がるのを感じる。
準備は整った。後はトールを倒すだけだ。
「何をしたんだ? だが何をしようとこの俺⋯⋯」
「あなたと話すことはないよ」
俺は口上を垂れているトールの元へ接近する。
奴の武器は槍、中距離で攻撃されると厄介なので、一気に懐へと入る。
「速い! だが!」
トールは俺の頭部を狙って槍を突き刺してきた。
刃が潰れているとはいえ、これは完全に俺を殺す気満々だな。
顔からも笑みがこぼれているし間違いないだろう。
鋭い槍が目前まで迫ってくる。
だけど食らってはやらない。
俺は向かってきた槍を剣でおもいっきり横に払う。
剣と槍が重なり、周囲に金属音が鳴り響いた。
「ぐあっ! 何だこの力は!」
トールは油断していたのか、それとも予想以上の力だったのか、槍を持つことが出来ず、手放してしまう。
「あなたのせいで落ちた人の恨みを食らうがいい」
俺は手が痺れて、苦悶の表情を浮かべているトールの顔面に向かって拳を繰り出す。
するとトールはなす術もなく拳を食らい、もの凄い勢いで吹っ飛んでいく。そしてボロ雑巾のように地面を転がり、壁に当たって止まった。トールはピクリとも動かない。どうやら既に意識はなく、気絶しているようだ。
その様子を見ていた審判や受験生達は、何が起きたのかわからず、ただ呆然としているだけだった。
「あの⋯⋯僕の勝ち、ですよね?」
「あ、ああ⋯⋯勝者六百六十六番!」
審判の人がそう宣言すると、周囲がどよめきに包まれる。
「い、今の見たか?」
「新人クラッシャーのトールが吹っ飛んでいったよな?」
「あの子何をしたの? 動きが見えなかったよ」
トールに何もさせず、一瞬で模擬戦を終わらせた。
気絶しているし、実技試験の評価は最悪の結果だろう。
去年合格しておけば良かったものを。新人イジメなんて下らないことをやってるからだ。
俺は礼をしてこの場を離れる。
すると受験生達が後退り、俺の通る道を開けていく。
「誰だよ。あの子が記念受験だなんて言った奴は」
「もし筆記試験も点数取れてたら合格間違いなしじゃね」
「可愛いのに強いって、私あの子のファンになっちゃうかも」
何だか凄い見られているし、噂されているな。
俺は居心地が悪いので、訓練所の隅へと移動する。
「それではこれから試験官との模擬戦を行う。名前を呼ばれた者は前に来るように」
実技試験は次の段階へと進み、その様子を俺は眺めていた。
どうやら試験官の男性二人が交互に受験生と戦うようだ。
そしてよく見てみると、模擬戦で負けた人も名前を呼ばれていた。受験生同士の戦いで、直ぐに決着がついてしまった子達をもう一度戦わせているようだな。
もしかしたらその対象にトールも入っているかもしれない。せっかく実技試験から脱落させた意味がなくなってしまう。
だが俺の考えは杞憂に終わった。
「受験番号五十七番⋯⋯五十七番はいないか?」
試験官が番号を呼ぶが、トールが出てくる様子はない。どうやらまだ気絶しているようだ。
「では次は六百六十六番」
「はい」
俺の出番が来たので試験官の元へと向かう。
「先程の戦いは見事だった。だが私もそう簡単にやられる訳にはいかない」
「よろしくお願いします」
成績優秀者は大図書館の使用権限が与えられる。試験官だからと言ってこちらも負ける訳にはいかない。
俺と試験官の男性は定位置につく。
そして審判の開始の合図を待つが⋯⋯
「ちょっと待った!」
突然二十歳前後くらいの若い女性が、模擬戦に乱入してくるのであった。
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