没落貴族のやりすぎ異世界転生者は妹の病を治すため奔走する~しかし僕は知らなかった。どうやらこの世界はショタ好きが多いようです~

マーラッシュ

文字の大きさ
上 下
63 / 86

入学試験(4)

しおりを挟む
 古文書が出現し、裏になったカードが俺の前に来る。
 今回はパワーブースターを絶対に引きたかったので、保管のページには初めから五枚しかセットしていない。
 俺は裏になったカードを引くと、パワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)、そして再びカードにした大岩(⭐1)だった。
 俺は五枚のカードをバトル用のページにセットすると、時は動き出した。
 そして俺は透かさず一枚のカードを引き宣言する。

「僕に力を貸して! パワーブースター!」

 カードの力で、自分の身体能力が飛躍的に上がるのを感じる。
 準備は整った。後はトールを倒すだけだ。

「何をしたんだ? だが何をしようとこの俺⋯⋯」
「あなたと話すことはないよ」

 俺は口上を垂れているトールの元へ接近する。
 奴の武器は槍、中距離で攻撃されると厄介なので、一気に懐へと入る。

「速い! だが!」

 トールは俺の頭部を狙って槍を突き刺してきた。
 刃が潰れているとはいえ、これは完全に俺を殺す気満々だな。
 顔からも笑みがこぼれているし間違いないだろう。

 鋭い槍が目前まで迫ってくる。
 だけど食らってはやらない。
 俺は向かってきた槍を剣でおもいっきり横に払う。
 剣と槍が重なり、周囲に金属音が鳴り響いた。

「ぐあっ! 何だこの力は!」

 トールは油断していたのか、それとも予想以上の力だったのか、槍を持つことが出来ず、手放してしまう。

「あなたのせいで落ちた人の恨みを食らうがいい」

 俺は手が痺れて、苦悶の表情を浮かべているトールの顔面に向かって拳を繰り出す。
 するとトールはなす術もなく拳を食らい、もの凄い勢いで吹っ飛んでいく。そしてボロ雑巾のように地面を転がり、壁に当たって止まった。トールはピクリとも動かない。どうやら既に意識はなく、気絶しているようだ。

 その様子を見ていた審判や受験生達は、何が起きたのかわからず、ただ呆然としているだけだった。

「あの⋯⋯僕の勝ち、ですよね?」
「あ、ああ⋯⋯勝者六百六十六番!」

 審判の人がそう宣言すると、周囲がどよめきに包まれる。

「い、今の見たか?」
「新人クラッシャーのトールが吹っ飛んでいったよな?」
「あの子何をしたの? 動きが見えなかったよ」

 トールに何もさせず、一瞬で模擬戦を終わらせた。
 気絶しているし、実技試験の評価は最悪の結果だろう。
 去年合格しておけば良かったものを。新人イジメなんて下らないことをやってるからだ。

 俺は礼をしてこの場を離れる。
 すると受験生達が後退り、俺の通る道を開けていく。

「誰だよ。あの子が記念受験だなんて言った奴は」
「もし筆記試験も点数取れてたら合格間違いなしじゃね」
「可愛いのに強いって、私あの子のファンになっちゃうかも」

 何だか凄い見られているし、噂されているな。
 俺は居心地が悪いので、訓練所の隅へと移動する。

「それではこれから試験官との模擬戦を行う。名前を呼ばれた者は前に来るように」

 実技試験は次の段階へと進み、その様子を俺は眺めていた。
 どうやら試験官の男性二人が交互に受験生と戦うようだ。
 そしてよく見てみると、模擬戦で負けた人も名前を呼ばれていた。受験生同士の戦いで、直ぐに決着がついてしまった子達をもう一度戦わせているようだな。
 もしかしたらその対象にトールも入っているかもしれない。せっかく実技試験から脱落させた意味がなくなってしまう。
 だが俺の考えは杞憂に終わった。

「受験番号五十七番⋯⋯五十七番はいないか?」

 試験官が番号を呼ぶが、トールが出てくる様子はない。どうやらまだ気絶しているようだ。

「では次は六百六十六番」
「はい」

 俺の出番が来たので試験官の元へと向かう。

「先程の戦いは見事だった。だが私もそう簡単にやられる訳にはいかない」
「よろしくお願いします」

 成績優秀者は大図書館の使用権限が与えられる。試験官だからと言ってこちらも負ける訳にはいかない。

 俺と試験官の男性は定位置につく。
 そして審判の開始の合図を待つが⋯⋯

「ちょっと待った!」

 突然二十歳前後くらいの若い女性が、模擬戦に乱入してくるのであった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない

セカイ
ライト文芸
新入社員の『俺』草野新一は入社して半年以上の間、上司である椿原麗香からの執拗なパワハラに苦しめられていた。 しかしそんな屈辱的な時間の中で毎回発生するラッキースケベな展開が、パワハラによる苦しみを相殺させている。 高身長でスタイルのいい超美人。おまけにすごく巨乳。性格以外は最高に魅力的な美人上司が、パワハラ中に引き起こす無自覚ラッキースケベの数々。 パワハラはしんどくて嫌だけれど、ムフフが美味しすぎて堪らない。そんな彼の日常の中のとある日の物語。 ※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...