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伝説のアイテム
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俺が古文書に二枚のカードをセットしたのは、三ページ目の枠だ。
そしてこのページが持っている力は合成だ。
合成は二枚のカードを一枚にすることで、より強力なカードを産み出すことができる。
使うのはこれが初めてだけど、合成以外にルビーさんを助けられる方法は思い浮かばない。
俺は一縷の望みをかけながら、カードを合成する。
するとセットしたカードは光輝き合わさると、一枚のカードに生まれ変わった。
「カードよ! ルビーさんの傷を癒してくれ!」
そして俺は合成されたカードを手に取り、ルビーさんへと投げる。
カードの表面には体力を全快させ、如何なる傷も治すことができると記載してあった。
これならきっと⋯⋯いや、必ずルビーさんの傷を治療することが出来るはず。
カードがルビーに触れると、先程の最上級ポーションの時とは比べ物にならない程、周囲が光に包まれる。
「何なのこの光は!」
「眩しくて目を開けることができんのじゃ!」
俺は咄嗟に目を閉じて、光から自分の瞳を守る。
そしてやがて光が収まり、少しずつ周囲の様子がわかるようになってきた。
「ルビーさん、傷はどう?」
俺は恐る恐るルビーさんに尋ね、首筋に目を向ける。
するとそこには大きな傷はなく、ルビーさんの綺麗な首が見えるだけだった。
「し、信じられんのじゃ! 何をしても治らなかった傷がないのじゃ!」
良かった。これでダメだったらもう打つ手がなかった。
俺はルビーさんの喜ぶ姿を見て、思わず地面に座り込んでしまう。
「本当に⋯⋯本当に良かった」
そしてルリシアさんはルビーさんの傷が治って嬉しいのか、感極まって涙を流していた。
「ユートよ。我はこのまま命を散らすことを覚悟していた。じゃがお主のお陰で我は生き延びることができた。感謝するぞ」
「これはルリシアさんのお陰だから」
「私の? そういえばユートくんが使ったカードって何だったの?」
「僕が使ったカードは⋯⋯エリクサーだよ」
「エリクサー!?」
「エリクサーじゃと!?」
ルリシアさんとルビーさんの驚きの声が、辺りに響き渡る。
「最上級ポーションと最上級ポーションを合成して作ったんだ」
この国宝級のアイテムがあったからこそ、エリクサーを作ることができた。だからルビーさんを治療することが出来たのは、ルリシアさんのお陰だ。
「エリクサーは女神が作ったと言われる奇跡の秘薬じゃ! それを合成して作ったじゃと? そのようなスキル聞いたこともない!」
「ユートくんは遂に伝説のアイテムを作り出してしまったのね。もう凄すぎて何て言えばいいのかわからないよ」
そういえばトアの治療法を探す時に、本でエリクサーを見たことあった。
でも病を治すのではなく、傷と体力を回復するだけだったから特に気にしてなかったな。
でもルビーさんの傷が治って本当に良かった。
「それでは約束通り、お主の妹を助けるために我の血を授けよう」
「あ、ありがとうございます」
これで⋯⋯これでトアの病を治すことが出来る! 全部の症状がなくなる訳ではないけど、大きく前進したことは間違いないだろう。
「少しここで待っておれ。我の血を瓶に詰めてくる」
ルビーはこの場を離れる。
正直どうやって血を瓶に詰めるのか気になるが、ここはルビーに任せよう。あまり痛い方法じゃなきゃいいんだが。
「ユートくん良かったね」
「うん。でもルリシアさんが国宝級のアイテムを僕にくれたからだよ。本当にありがとう」
「ふふ⋯⋯私ばっかりユートくんのお世話になっていたから、役に立てたなら嬉しい」
ルリシアさんは本当に良い人だ。爵位が高い人が下位の者を見下すなどよくある話だ。だけどルリシアさんは初めて会った俺にも偉ぶることはなく、普通に接してくれた。
彼女ならきっとこれからもルビーさんと良い関係を築いてくれそうだ。
「またせたのう」
俺とルリシアさんが話をしていると、ルビーさんが戻ってきた。
手には小瓶を持っており、赤ワインのようなルビー色をしたものが入っている。
あれが竜の血なのかな?
どうやら人の血のようにどす黒い色をしている訳じゃなさそうだ。
「これが竜の血じゃ。受け取るがいい」
「ありがとうございます」
「良かったね。トアちゃんに早く飲ませてあげよ」
「うん」
俺はルビーさんに改めて頭を下げる。
そして急ぎセレノアの街へと駆け出そうとするが⋯⋯
「なんじゃ? 急いでおるのか?」
「はい。早くトアに飲ませたくて」
「なら我の背中に乗るがよい」
ルビーさんはそう口にすると、再び竜の姿へと戻った。
「どこまで送ればいいのじゃ? 我の翼なら一瞬で目的地にたどり着くことが出来るぞ」
「本当ですか? ありがとうございます」
俺とルリシアさんは、ルビーの背中に乗らせてもらう。
「さあ行くぞ。ちゃんと掴まっておれ」
そしてルビーさんは翼をはためかせて、空高く舞い上がるのであった。
そしてこのページが持っている力は合成だ。
合成は二枚のカードを一枚にすることで、より強力なカードを産み出すことができる。
使うのはこれが初めてだけど、合成以外にルビーさんを助けられる方法は思い浮かばない。
俺は一縷の望みをかけながら、カードを合成する。
するとセットしたカードは光輝き合わさると、一枚のカードに生まれ変わった。
「カードよ! ルビーさんの傷を癒してくれ!」
そして俺は合成されたカードを手に取り、ルビーさんへと投げる。
カードの表面には体力を全快させ、如何なる傷も治すことができると記載してあった。
これならきっと⋯⋯いや、必ずルビーさんの傷を治療することが出来るはず。
カードがルビーに触れると、先程の最上級ポーションの時とは比べ物にならない程、周囲が光に包まれる。
「何なのこの光は!」
「眩しくて目を開けることができんのじゃ!」
俺は咄嗟に目を閉じて、光から自分の瞳を守る。
そしてやがて光が収まり、少しずつ周囲の様子がわかるようになってきた。
「ルビーさん、傷はどう?」
俺は恐る恐るルビーさんに尋ね、首筋に目を向ける。
するとそこには大きな傷はなく、ルビーさんの綺麗な首が見えるだけだった。
「し、信じられんのじゃ! 何をしても治らなかった傷がないのじゃ!」
良かった。これでダメだったらもう打つ手がなかった。
俺はルビーさんの喜ぶ姿を見て、思わず地面に座り込んでしまう。
「本当に⋯⋯本当に良かった」
そしてルリシアさんはルビーさんの傷が治って嬉しいのか、感極まって涙を流していた。
「ユートよ。我はこのまま命を散らすことを覚悟していた。じゃがお主のお陰で我は生き延びることができた。感謝するぞ」
「これはルリシアさんのお陰だから」
「私の? そういえばユートくんが使ったカードって何だったの?」
「僕が使ったカードは⋯⋯エリクサーだよ」
「エリクサー!?」
「エリクサーじゃと!?」
ルリシアさんとルビーさんの驚きの声が、辺りに響き渡る。
「最上級ポーションと最上級ポーションを合成して作ったんだ」
この国宝級のアイテムがあったからこそ、エリクサーを作ることができた。だからルビーさんを治療することが出来たのは、ルリシアさんのお陰だ。
「エリクサーは女神が作ったと言われる奇跡の秘薬じゃ! それを合成して作ったじゃと? そのようなスキル聞いたこともない!」
「ユートくんは遂に伝説のアイテムを作り出してしまったのね。もう凄すぎて何て言えばいいのかわからないよ」
そういえばトアの治療法を探す時に、本でエリクサーを見たことあった。
でも病を治すのではなく、傷と体力を回復するだけだったから特に気にしてなかったな。
でもルビーさんの傷が治って本当に良かった。
「それでは約束通り、お主の妹を助けるために我の血を授けよう」
「あ、ありがとうございます」
これで⋯⋯これでトアの病を治すことが出来る! 全部の症状がなくなる訳ではないけど、大きく前進したことは間違いないだろう。
「少しここで待っておれ。我の血を瓶に詰めてくる」
ルビーはこの場を離れる。
正直どうやって血を瓶に詰めるのか気になるが、ここはルビーに任せよう。あまり痛い方法じゃなきゃいいんだが。
「ユートくん良かったね」
「うん。でもルリシアさんが国宝級のアイテムを僕にくれたからだよ。本当にありがとう」
「ふふ⋯⋯私ばっかりユートくんのお世話になっていたから、役に立てたなら嬉しい」
ルリシアさんは本当に良い人だ。爵位が高い人が下位の者を見下すなどよくある話だ。だけどルリシアさんは初めて会った俺にも偉ぶることはなく、普通に接してくれた。
彼女ならきっとこれからもルビーさんと良い関係を築いてくれそうだ。
「またせたのう」
俺とルリシアさんが話をしていると、ルビーさんが戻ってきた。
手には小瓶を持っており、赤ワインのようなルビー色をしたものが入っている。
あれが竜の血なのかな?
どうやら人の血のようにどす黒い色をしている訳じゃなさそうだ。
「これが竜の血じゃ。受け取るがいい」
「ありがとうございます」
「良かったね。トアちゃんに早く飲ませてあげよ」
「うん」
俺はルビーさんに改めて頭を下げる。
そして急ぎセレノアの街へと駆け出そうとするが⋯⋯
「なんじゃ? 急いでおるのか?」
「はい。早くトアに飲ませたくて」
「なら我の背中に乗るがよい」
ルビーさんはそう口にすると、再び竜の姿へと戻った。
「どこまで送ればいいのじゃ? 我の翼なら一瞬で目的地にたどり着くことが出来るぞ」
「本当ですか? ありがとうございます」
俺とルリシアさんは、ルビーの背中に乗らせてもらう。
「さあ行くぞ。ちゃんと掴まっておれ」
そしてルビーさんは翼をはためかせて、空高く舞い上がるのであった。
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