没落貴族のやりすぎ異世界転生者は妹の病を治すため奔走する~しかし僕は知らなかった。どうやらこの世界はショタ好きが多いようです~

マーラッシュ

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ルビー

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「お、女の子!?」

 竜が女の子になっちゃったよ。
 いくらファンタジーな世界でもこれは衝撃的な出来事だ。
 しかも女の子は⋯⋯

 突然俺の視界が真っ暗になった。

「み、見たらダメェェっ!!」

 背後からルリシアさんの叫び声が聞こえると共に、両手で目を隠された。
 なぜそんなことをされたのか理由は簡単だ。竜は人間になったのはいいが、服を着ていないのだ。

「絶対に目を開けたらダメよ。ユートくんわかった?」
「うん」
「もし目を開けたら針を一万本飲んでもらうから」

 こわっ! 普通千本じゃないの!?
 でも何故女の子の裸を見てはいけないんだ?
 もちろん倫理的に見てはならないのはわかるけど、今までルリシアさんは俺が風呂に入ってる所に乱入して、散々裸を見せつけてきたじゃないか。
 それなのに何故竜の女の子の裸をダメなのだろう。
 俺はルリシアさんの言動の意味が理解出来なかった。

「人間とは面白い生き物じゃな。こんな脂肪の塊のどこがいいのか理解できん」
「ちょ、ちょっと自分の胸を揉んでないで早く服を着て!」
「わかったわかった。うるさいのう」

 そして竜の気配がここを遠ざかっていく。

「ユートくんまだよ。まだ目を開けちゃダメだからね」
「うん」

 俺はイエスしか許されない答えに頷く。
 数分経つと竜が服を着て戻ってきたため、俺の目も解放された。

 それにしても何でこの竜は服を持っているんだ? もしかして度々人間の姿になっているのか? 

「どうしたんじゃ? これのことか?」

 俺がじっと見つめてたためか、竜はクルリと回ってモデルのように服を見せつけてくる。
 短いスカートに少し肌を出しているトップスで、どこからみても綺麗な女の子といった所だ。これが竜だなんて誰も信じないだろう。

「帝都にはたまに行くんじゃ。どうもここだと美味しい食べ物がなくてのう」

 帝都で買い食いしているのかこの竜は。何だかシュールな光景だ。
 人間嫌い的なことを言っていたけど本当は好きなんじゃないか?
 もしかして帝都に来ている時に、サハディン達のことも知ったのだろうか。
 だけど今はそのことより竜の頼み事だ。

「それで竜様の願いとは何でしょうか」
「竜様はやめい。我はルビーじゃ」
「ルビー様ですか。それは失礼しました」
「様はいらん」

 宝石のルビーから取っているのか? ルビーは赤く輝く宝石で、赤い竜のルビーさんにはお似合いかもしれない。
「我の願いじゃが⋯⋯」

 ルビーさんはクルリとこちらに背を向ける。そして髪をかき揚げ、首筋をこちらに見せてきたが⋯⋯

「なにこれ!」

 ルリシアさんが悲痛の叫び声をあげる。
 無理もない。ルビーさんの首筋はざっくり切れており、骨が見えていた。
 しかも奇妙なことに血が流れていない。
 そもそも竜には血がないとか? いや、そんなことないよな。
 それにしてもこれは酷すぎる。ルビーの身体は大丈夫なのだろうか。

「数日前に背後から突然襲われたんじゃ」
「ルビーを⋯⋯竜を襲うなんていったい誰が⋯⋯」
「わからん。一瞬のことじゃったから。じゃが邪悪な気配だけは感じた」

 邪悪な気配? 魔物のことを言ってるのか?
 だけどただの魔物が、最強種の竜に襲いかかるのか疑問だ。
 それに人間だって邪悪な気配を持っている奴がいるかもしれない。
 もしそうだとしたら、ルビーさんが俺達を警戒していたのも頷ける。

「我にも油断はあった。竜の皮膚を貫ける訳がないと⋯⋯じゃがその結果がこの通りじゃ。今は我の力で血が出るのを止めているが、限界も近い。もしお主らがこの傷を治すことが出来るなら⋯⋯」
「ユートくん! 最上級ポーションをちょうだい」

 ルリシアさんはルビーさんの怪我の状態を知り、急ぎ最上級ポーションを要求してくる。

「お主ら最後まで話を⋯⋯」
「うん。アーカイブ」

 俺はルリシアさんの言葉に従い、直ぐ様古文書より最上級ポーションのカードを取り出した。
 今はバトル中ではないので、カードを犠牲にしなくても使えるはずだ。

「早くルビーの傷を治してあげて」
「わかった」

 俺は最上級ポーションのカードを取り、ルビーへと投げる。
 すると最上級ポーションの効果なのか、ルビーの身体は光輝くのであった。



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