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決闘の儀(4)

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 審判の開始と同時に皇帝時間インペリアルタイムが発動し、世界が止まる。
 そして古文書が現れ、最後のページに入っていたのカードが裏表示で重なった。
 俺はカードを引くとパワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)×2枚だった。
 何故保管用のページに入っていたカードが五枚だったのか。それは最初のドローで絶対に引きたいカードがあったからだ。
 そのため、今回大岩のカードは具現化して外しておいたのだ。
 俺は五枚のカードをバトル用のページにセットする。
 すると時が再び動き出す。

 俺は直ぐ様一枚カードを引き宣言する。

「身体能力をあげよ! パワーブースター!」

 パワーブースターのカードをルリシアさんに向かって投げる。

「これが⋯⋯ユートくんの力⋯⋯」

 これでルリシアさんの身体能力は大幅に上がったはず。そう簡単にやられることはなくなるだろう。

「それじゃあルリシアさん、作戦通りに」
「うん」

 パワーブースターを使った後、俺はジクルドに、ルリシアさんはデルカルトと対峙する。

「ほう⋯⋯それでいいのか? こちらとしても好都合だが」
「あなたは私が倒すわ」
「いいだろう⋯⋯ルリシア姫の望み通り戦ってやろうじゃないか。ジクルド! その小僧を足止め⋯⋯いや、さっさと殺してしまえ!」
「承知しました」

 ルリシアさんとデルカルトが一対一で戦い始める。
 そして俺は⋯⋯

「子供が決闘の儀に出てくるとは。だが手加減はしない」
「どうぞ。負けた時に子供だから手加減したと、言い訳しないで下さいね」
「ほざけ!」

 ジクルドは大剣を横一閃になぎ払ってきた。
 大剣という重い武器なのに速い! さすがはヴィンセント帝国の騎士団長だ。
 避けるのは不可能なため、俺は剣を縦にして防ぐ。
 剣と大剣がぶつかり合うと、鈍い音が辺りに響きわたる。
 大剣は防いだ。だけど俺の筋力と体重が軽いため、後方に吹き飛ばされてしまう。

「くっ!」

 俺は吹き飛ばされながら、ネコのように後方宙返りをして着地する。
 思ったより鋭い一撃だ。剣を使わないと防ぐのは無理だな。だがその度に俺の手は痺れ吹き飛ばされる。
 パワーブースターを使っていれば、こんなことにはならなかったけど、今はルリシアさんの身の安全が優先だ。
 ルリシアさんは以前デルカルトと戦った時、ギリギリで負けたと言っていた。だからパワーブースターがあれば負けることはないだろう。

「俺の剣を止めるとは、なかなか見所があるではないか」 
「それはどうも」
「身体が大きくなれば、いずれ俺と良い勝負ができるかもしれん」
「ねえ、一つだけ聞いていい?」
「いいだろう。冥土の土産に答えてやる」
「デルカルトが悪いことをしてるってわかってて協力しているの?」
「それがどうした? 俺は騎士団長で終わる男ではない。デルカルト様が皇帝になれば地位も名誉も思いのままだ」
「そのためならルリシアさんやフィリア様が不幸になってもいいってこと?」
「俺の野望を邪魔するなら、排除するだけだ」

 どいつもこいつも好き勝手言いやがって。ドイズやバッツ達みたいな素晴らしい子供達がいて、少しはこの世界を見直したのに。
 デルカルトやジクルドみたいな奴は排除しなくちゃダメだ。
 もうこいつと話すことはない。後は粛々と始末する。

「おじさんの考えはわかったよ。もう声を聞くの嫌だから死んでくれる?」
「貴様のような子供が俺を倒すというのか?」
「でも簡単には殺さないよ。フィリア様や皇帝陛下と同じ苦しみを味わってから殺すから」
「面白い⋯⋯やってみろ!」

 ジクルドは猛然とこちらに迫ってくる。
 バカな奴だ。その一歩一歩が死へのカウントダウンになっていることに気づかないなんて。

 俺は古文書から一枚のカード取り出す。

「バカめが! そんなカードで何が出来る!」

 ジクルドは完全に俺のことを舐めているのか、警戒もせず突っ込んできた。

「お前を殺すことが出来るよ」

 俺は手に取ったカードをジクルドに投げつける。
 するとカードは一瞬光り、液体へと変貌を遂げるのだった。

「な、なんだこの液体は!」

 ジクルドは不用意に接近してきたため、液体を避けることが出来ず、身体全体に浴びてしまう。

「それはポイズンスネークの毒だよ」
「ポ、ポイズンスネークだと!?」
「フィリア様や皇帝陛下は、水で薄めた奴を飲んでいたけどそれは原液なんだ。全身にかかったらどうなるかわかるよね?」
「なっ! ぐあぁぁっ! か、身体が動か⋯⋯な⋯⋯い」

 ポイズンスネークの毒は筋力の低下、しびれ、呼吸困難の症状が出る。薄めたものならともかくこれは原液だ。早期に症状が出てやがて死に至るだろう。

「た、たす⋯⋯けて⋯⋯」

 ジクルドはポイズンスネークの毒によってよろけ始め、遂には立つことが出来ず、地面に崩れ落ちる。
 そして倒れた後、痺れた手や足を動かし、必至に立ち上がろうとするがやがてそれもなくなり、事切れるのであった。
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