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禁書庫
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俺は禁書庫に行くため、ルリシアさんの後をついていく。
「ここが禁書庫ですか?」
「そうよ」
禁書庫に行くためには厳重な警備を通らなくてはならないことがわかった。
いくつも通った扉の前には、かならず兵士の人達がおり、実際に禁書庫がある場所は地下だった。
これはそう簡単には行けないし、本を持ち出すことは出来なそうだな。
部屋の中は普通の図書室のようになっていて、本の数はざっと見て数千冊はありそうだ。
この中から探すのは骨が折れそうだぞ。
「ユートくんこっちこっち」
俺はルリシアさんに呼ばれて、部屋の隅へと移動する。
「たぶん筋力低下を治療する方法は、この本棚の所にあると思うわ」
「わかりました」
ルリシアさんは本の場所をだいたい覚えていてくれたようで、探す範囲が数千冊から数十冊へと変わった。
「この本棚は皇家について書かれているものが、保管されているのよ」
わざわざこんな所で保管されてる内容ってなんだろう? 皇族の隠された秘密とかじゃないよな。それを知ってしまった俺は、皇帝陛下の手によって始末され⋯⋯なんて未来は勘弁して欲しいぞ。
「その中に何でトアの治療方法があるの?」
「う~んそこまでは覚えてないの。とにかく順番に見ていくわ。ユートくんは退屈かもしれないけどちょっと待ってて」
「ううん⋯⋯僕も探すの手伝うよ」
「本当? ありがとう。でもここにある本は少し難しい文字で書かれているから、ユートくんにちょっとまだ早いかな」
「僕、読めるよ」
俺は一冊の本を取り、タイトルを読み上げる。
「これは皇家の墓って書いてあるよね」
「その通りよ。すごいわユートくん⋯⋯もしかして私より読めるかもしれない」
ルリシアさんがボソッと呟いた言葉が聞こえてきた。
そのせいかルリシアさんが少し落ち込んでしまった。
「そ、それじゃあ手分けして探そうか」
「うん」
ルリシアさんは俺の反対側の本に手を伸ばし、中を確認していく。
俺も今手に持った本を開く。
皇家の墓についてか。タイトルからしてトアの治療方法とは関係なさそうだけど、見逃したら嫌なんで念のため閲覧していく。
書かれている内容は、タイトルどおり皇家の墓についてだ。
皇家の人の墓は、この帝都グランツヴァインにはないらしい。帝都から北にある森の中にあるようだ。
何故わざわざそんなことをと思ったけど、確か徳川家康の墓も江戸にはなく、日光にあったよな。俺にはよくわからないけど何か風水的なものがあって、離れた場所にしたのか? それとも何か理由が⋯⋯
俺は本をさらに読んでいくとその理由にたどり着いた。
どうやら初代の皇帝が、この地に住む竜の子供を助けたことがあるらしい。そして竜はそのことに恩を感じて、初代皇帝が亡くなった後も北の森で皇帝の一族の墓を守ってるということだ。
なんて良い話だ。
確か竜は長命だと聞く。もしかしたら今も竜は初代皇帝の墓を守っているのだろうか?
そして俺は続けて本を読んでいく。
すると見逃せない事実が書かれていることに気づいた。
初代皇帝の奥さん、つまりは皇后が不治の病にかかり、筋力の低下で、身体を動かすことが出来なくてなってしまった。
初代皇帝はあらゆる医者に皇后を診てもらったが、原因が特定出来ず、時間だけが過ぎた。
そして日に日に弱っていく皇后を見て、初代皇帝は竜に相談したらしい。すると竜の祝福を得た皇后は、病が治り筋力も元通りになったということだ。
「こ、これだ!」
「えっ? 何? 見つけたの?」
俺はトアの治療方法に関して書かれている内容を発見し、思わず大きな声をあげてしまう。
「ルリシアさんが前に見つけたのはこれですか?」
俺は内容がまちがっていないか、ルリシアさんに本を渡す。
「ちょっと見せてくれる」
俺は見てほしいページを開きルリシアさんに見せる。
「そうそうこれよ。ユートくん一回で見つけるなんてすごいね」
「運が良かっただけだよ。ルリシアさんはこの皇家の墓って知ってるの?」
「う~ん⋯⋯北に森があって、御先祖様のお墓があるのは知っているけど、実際に行ったことはないかな。北の森は禁止区域になってて、勝手に入ると、死罪になるって以前お父様が言っていたわ」
「それじゃあ皇帝陛下に許可をもらえれば、入ることが出来るのかな?」
「たぶんそうだと思う。私からお父様に頼んでみるね」
「お願いします」
トアの病の治療方法が一つわかった。もし筋力低下の症状がなくなれば、きっとまた歩くことが出来るようになるだろう。そうすればキュアキャットが側にいなくてもトアは生きていくことが出来る。
「それじゃあお父様の所に行きましょう」
「うん」
そして俺とルリシアさんは禁書庫を後にして、地下から地上へと移動する。
早く北の森に行きたい。トアの身体を治してあげたい。俺は今、これ以上ない程興奮していた。
そして階段を昇り、地上にたどり着いた時。
ルリシアさんの足が止まる。
その理由がすぐにわかった。
何故なら階段を昇った所に待ち構えていたのは、昨日父親を斬り殺したデルカルトだったからだ。
「ここが禁書庫ですか?」
「そうよ」
禁書庫に行くためには厳重な警備を通らなくてはならないことがわかった。
いくつも通った扉の前には、かならず兵士の人達がおり、実際に禁書庫がある場所は地下だった。
これはそう簡単には行けないし、本を持ち出すことは出来なそうだな。
部屋の中は普通の図書室のようになっていて、本の数はざっと見て数千冊はありそうだ。
この中から探すのは骨が折れそうだぞ。
「ユートくんこっちこっち」
俺はルリシアさんに呼ばれて、部屋の隅へと移動する。
「たぶん筋力低下を治療する方法は、この本棚の所にあると思うわ」
「わかりました」
ルリシアさんは本の場所をだいたい覚えていてくれたようで、探す範囲が数千冊から数十冊へと変わった。
「この本棚は皇家について書かれているものが、保管されているのよ」
わざわざこんな所で保管されてる内容ってなんだろう? 皇族の隠された秘密とかじゃないよな。それを知ってしまった俺は、皇帝陛下の手によって始末され⋯⋯なんて未来は勘弁して欲しいぞ。
「その中に何でトアの治療方法があるの?」
「う~んそこまでは覚えてないの。とにかく順番に見ていくわ。ユートくんは退屈かもしれないけどちょっと待ってて」
「ううん⋯⋯僕も探すの手伝うよ」
「本当? ありがとう。でもここにある本は少し難しい文字で書かれているから、ユートくんにちょっとまだ早いかな」
「僕、読めるよ」
俺は一冊の本を取り、タイトルを読み上げる。
「これは皇家の墓って書いてあるよね」
「その通りよ。すごいわユートくん⋯⋯もしかして私より読めるかもしれない」
ルリシアさんがボソッと呟いた言葉が聞こえてきた。
そのせいかルリシアさんが少し落ち込んでしまった。
「そ、それじゃあ手分けして探そうか」
「うん」
ルリシアさんは俺の反対側の本に手を伸ばし、中を確認していく。
俺も今手に持った本を開く。
皇家の墓についてか。タイトルからしてトアの治療方法とは関係なさそうだけど、見逃したら嫌なんで念のため閲覧していく。
書かれている内容は、タイトルどおり皇家の墓についてだ。
皇家の人の墓は、この帝都グランツヴァインにはないらしい。帝都から北にある森の中にあるようだ。
何故わざわざそんなことをと思ったけど、確か徳川家康の墓も江戸にはなく、日光にあったよな。俺にはよくわからないけど何か風水的なものがあって、離れた場所にしたのか? それとも何か理由が⋯⋯
俺は本をさらに読んでいくとその理由にたどり着いた。
どうやら初代の皇帝が、この地に住む竜の子供を助けたことがあるらしい。そして竜はそのことに恩を感じて、初代皇帝が亡くなった後も北の森で皇帝の一族の墓を守ってるということだ。
なんて良い話だ。
確か竜は長命だと聞く。もしかしたら今も竜は初代皇帝の墓を守っているのだろうか?
そして俺は続けて本を読んでいく。
すると見逃せない事実が書かれていることに気づいた。
初代皇帝の奥さん、つまりは皇后が不治の病にかかり、筋力の低下で、身体を動かすことが出来なくてなってしまった。
初代皇帝はあらゆる医者に皇后を診てもらったが、原因が特定出来ず、時間だけが過ぎた。
そして日に日に弱っていく皇后を見て、初代皇帝は竜に相談したらしい。すると竜の祝福を得た皇后は、病が治り筋力も元通りになったということだ。
「こ、これだ!」
「えっ? 何? 見つけたの?」
俺はトアの治療方法に関して書かれている内容を発見し、思わず大きな声をあげてしまう。
「ルリシアさんが前に見つけたのはこれですか?」
俺は内容がまちがっていないか、ルリシアさんに本を渡す。
「ちょっと見せてくれる」
俺は見てほしいページを開きルリシアさんに見せる。
「そうそうこれよ。ユートくん一回で見つけるなんてすごいね」
「運が良かっただけだよ。ルリシアさんはこの皇家の墓って知ってるの?」
「う~ん⋯⋯北に森があって、御先祖様のお墓があるのは知っているけど、実際に行ったことはないかな。北の森は禁止区域になってて、勝手に入ると、死罪になるって以前お父様が言っていたわ」
「それじゃあ皇帝陛下に許可をもらえれば、入ることが出来るのかな?」
「たぶんそうだと思う。私からお父様に頼んでみるね」
「お願いします」
トアの病の治療方法が一つわかった。もし筋力低下の症状がなくなれば、きっとまた歩くことが出来るようになるだろう。そうすればキュアキャットが側にいなくてもトアは生きていくことが出来る。
「それじゃあお父様の所に行きましょう」
「うん」
そして俺とルリシアさんは禁書庫を後にして、地下から地上へと移動する。
早く北の森に行きたい。トアの身体を治してあげたい。俺は今、これ以上ない程興奮していた。
そして階段を昇り、地上にたどり着いた時。
ルリシアさんの足が止まる。
その理由がすぐにわかった。
何故なら階段を昇った所に待ち構えていたのは、昨日父親を斬り殺したデルカルトだったからだ。
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