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ユートVSルリシア(4)
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メイド達が逃げ出した後。
ボルゲーノさんにルリシアさんを回収してもらい、俺はベッドで横になる。
さすがにこの後はルリシアさんの襲撃はなく、朝までゆっくり寝ることが出来た。
翌日の朝。
俺は朝食を食べるため、メイドさんに食堂へと案内された。
昨日の夕食の時はルリシアさんの姿があったが、今日は誰もいない。
そしてルリシアさんが不在のまま、料理が運ばれて来る。
「ユート様。どうぞ召し上がり下さい」
「あれ? ルリシアさんは?」
「ルリシア様は本日体調が優れないとのことで、自室におります」
「それは心配ですね。後昨日はくん付けで呼んでくれたのに、何で今日は様をつけているんですか」
「えっ? それはその⋯⋯だって⋯⋯」
だってなんだ。すごく気になるな。
「あっ? 私、ボルゲーノ様に頼まれていた仕事を思い出しました。それでは失礼しますユート様」
「ちょっと」
しかしメイドさんは俺のことを無視して、食堂から出ていってしまう。
「とりあえず食べるか」
一人で食べる食事なんてこの世界では初めてかもしれない。いつも必ずソルトさんかセリカさんと食べていたからな。
俺は少し寂しい気持ちになりならがら、食事をするのであった。
そして朝食が終わった後。俺は自室へと向かっていたが不意に呼び止められる。
「ユート、少しいいか」
「大丈夫ですボルゲーノさん」
何の用だろう。もしかしてルリシアさんのことか?
「実はルリシア様が部屋に引き込もってしまってな」
「メイドさんから聞きました。体調が悪いとか⋯⋯少し心配ですね」
体調が悪いという言葉を聞くと、どうしてもトアのことを思い出してしまう。今は勝負をしているけどそれとは関係なく、元気になってもらいたいと思っている。
「心配なのか?」
ボルゲーノさんが俺の両肩に手を置き、問いかけてくる。
いたたっ! ちょっと力が強くない?
これはイエスかはいしか言えないよな。だがその答えが罠であることに気づかなかった。
「はい」
「ではよろしく頼む」
「えっ?」
「だからルリシア様を元気づけてやってくれ。心配なのだろ?」
「⋯⋯は、はい」
「ルリシア様のお部屋は、階段を上がって右に二つ曲がってすぐの所だ。護衛になるならルリシア様の精神面のケアも必要になる。頼んだぞ」
もうこれはNOと言えないよな。この状況で断れる人がいたら教えてほしい。
だけどルリシアさんが心配なのは確かなので、まあいいか。
俺はボルゲーノさんと別れた後、すぐにルリシアさんの部屋へと向かう。
「え~と⋯⋯階段を上がって右に二つ曲がってすぐ⋯⋯ここか」
トントン
俺はルリシアさんの部屋とおぼしき場所のドアをノックする。
「⋯⋯誰?」
ルリシアさんの返事が返ってきた。
「ユートです」
「ユ、ユートくん!? どうしたの?」
「ルリシアさんの具合が悪いと聞いたので、お見舞いに来ました」
「具合は悪くないけど、このままでいる訳にもいかないもんね⋯⋯ユートくん入っていいよ」
俺は許可を得たので、ルリシアの部屋に入る。
するとベッドにルリシアさんがいたが布団を被っており、頭を隠して尻隠さずの状態だった。
しかもお尻は隠れているけど、ワンピースタイプっぽいネグリジェを着ているため、下着が丸見えだ。
「え~とルリシアさん?」
「何?」
「何をしているのですか」
「ユートくんと顔を合わせるのが恥ずかしいから、布団を被ってるの」
それは見ればわかる。むしろ下着丸出しの今の姿の方が恥ずかしいと指摘したら、益々布団から出てこなくなるから黙っていた方が良さそうだな。
だけどどうするか? 体調は悪くないと言っていたから、昨日の事件を引きずっているだけなのだろう。
ここは子供らしく、説得するしかないか。
「ルリシアさんが恥ずかしがっているのは、ほっぺにキスのことですか?」
「⋯⋯そうだよ」
「それのどこが恥ずかしいの?」
「私に取っては恥ずかしいことなの」
「そうなんだ。僕もルリシアさんみたいな綺麗な人が寝ていたら、ほっぺにキスをして起こしたいって思うかもしれないけど」
「そそ、そうなの!?」
思うけど口に出したりはしないけどね。
「だったら僕も恥ずかしいことを考えていたんだ」
俺は俯き落ち込んだ振りをする。
「そんなことないよ。可愛い子がいたらほっぺにキスをしたいって思うのは、当然のことじゃないかな」
「それならルリシアさんも恥ずかしくないよね?」
「⋯⋯そうね。恥ずかしいことじゃないわ」
ルリシアさんは布団を投げ捨て立ち上がる。
良かった。どうやらルリシアさんは復活したようだ。
「ユートくん、励ましてくれてありがとう。でも勝負は手加減しないから」
「ええ、望むところです」
どうやらこれでボルゲーノさんに頼まれた任務を達成することが出来たようだ。
俺は用が済んだので部屋を出ていこうとするが、ルリシアさんはとんでもない行動を取り始めた。
「ユートくんとの勝負に勝つために、朝食を食べて力をつけないと」
ルリシアさんはそう言ってワンピースタイプのネグリジェを脱ぎ出す。
「ちょっと何をしているんですか!」
俺は咄嗟に後ろを向き、ルリシアさんの肢体を見ないようにする。
「何って着替えているの」
「まだ僕がいるじゃないですか」
「別にユートくんがいても私は平気よ」
ルリシアさんは何を言ってるんだ。目の前にいるのは二十二歳の成人男性だぞ。まあ見た目は子供だけど。
「ふ~ん⋯⋯もしかしてユートくんは、ルリシアお姉ちゃんの裸を見るのが、恥ずかしいのかな? 意外とおませさんなのね」
後ろを振り向けないので、ハッキリしたことはわからないけど、ルリシアさんは勝ち誇った表情をしているのだろう。
「何だか初めてユートくんに勝った気がするわ」
「勝つとか負けるとかじゃなくて。と、とにかく僕は外に行きます」
「えっ? ちょっと待って」
ルリシアさんが呼び止めてきたけど、俺は逃げるように部屋から飛び出すのであった。
ボルゲーノさんにルリシアさんを回収してもらい、俺はベッドで横になる。
さすがにこの後はルリシアさんの襲撃はなく、朝までゆっくり寝ることが出来た。
翌日の朝。
俺は朝食を食べるため、メイドさんに食堂へと案内された。
昨日の夕食の時はルリシアさんの姿があったが、今日は誰もいない。
そしてルリシアさんが不在のまま、料理が運ばれて来る。
「ユート様。どうぞ召し上がり下さい」
「あれ? ルリシアさんは?」
「ルリシア様は本日体調が優れないとのことで、自室におります」
「それは心配ですね。後昨日はくん付けで呼んでくれたのに、何で今日は様をつけているんですか」
「えっ? それはその⋯⋯だって⋯⋯」
だってなんだ。すごく気になるな。
「あっ? 私、ボルゲーノ様に頼まれていた仕事を思い出しました。それでは失礼しますユート様」
「ちょっと」
しかしメイドさんは俺のことを無視して、食堂から出ていってしまう。
「とりあえず食べるか」
一人で食べる食事なんてこの世界では初めてかもしれない。いつも必ずソルトさんかセリカさんと食べていたからな。
俺は少し寂しい気持ちになりならがら、食事をするのであった。
そして朝食が終わった後。俺は自室へと向かっていたが不意に呼び止められる。
「ユート、少しいいか」
「大丈夫ですボルゲーノさん」
何の用だろう。もしかしてルリシアさんのことか?
「実はルリシア様が部屋に引き込もってしまってな」
「メイドさんから聞きました。体調が悪いとか⋯⋯少し心配ですね」
体調が悪いという言葉を聞くと、どうしてもトアのことを思い出してしまう。今は勝負をしているけどそれとは関係なく、元気になってもらいたいと思っている。
「心配なのか?」
ボルゲーノさんが俺の両肩に手を置き、問いかけてくる。
いたたっ! ちょっと力が強くない?
これはイエスかはいしか言えないよな。だがその答えが罠であることに気づかなかった。
「はい」
「ではよろしく頼む」
「えっ?」
「だからルリシア様を元気づけてやってくれ。心配なのだろ?」
「⋯⋯は、はい」
「ルリシア様のお部屋は、階段を上がって右に二つ曲がってすぐの所だ。護衛になるならルリシア様の精神面のケアも必要になる。頼んだぞ」
もうこれはNOと言えないよな。この状況で断れる人がいたら教えてほしい。
だけどルリシアさんが心配なのは確かなので、まあいいか。
俺はボルゲーノさんと別れた後、すぐにルリシアさんの部屋へと向かう。
「え~と⋯⋯階段を上がって右に二つ曲がってすぐ⋯⋯ここか」
トントン
俺はルリシアさんの部屋とおぼしき場所のドアをノックする。
「⋯⋯誰?」
ルリシアさんの返事が返ってきた。
「ユートです」
「ユ、ユートくん!? どうしたの?」
「ルリシアさんの具合が悪いと聞いたので、お見舞いに来ました」
「具合は悪くないけど、このままでいる訳にもいかないもんね⋯⋯ユートくん入っていいよ」
俺は許可を得たので、ルリシアの部屋に入る。
するとベッドにルリシアさんがいたが布団を被っており、頭を隠して尻隠さずの状態だった。
しかもお尻は隠れているけど、ワンピースタイプっぽいネグリジェを着ているため、下着が丸見えだ。
「え~とルリシアさん?」
「何?」
「何をしているのですか」
「ユートくんと顔を合わせるのが恥ずかしいから、布団を被ってるの」
それは見ればわかる。むしろ下着丸出しの今の姿の方が恥ずかしいと指摘したら、益々布団から出てこなくなるから黙っていた方が良さそうだな。
だけどどうするか? 体調は悪くないと言っていたから、昨日の事件を引きずっているだけなのだろう。
ここは子供らしく、説得するしかないか。
「ルリシアさんが恥ずかしがっているのは、ほっぺにキスのことですか?」
「⋯⋯そうだよ」
「それのどこが恥ずかしいの?」
「私に取っては恥ずかしいことなの」
「そうなんだ。僕もルリシアさんみたいな綺麗な人が寝ていたら、ほっぺにキスをして起こしたいって思うかもしれないけど」
「そそ、そうなの!?」
思うけど口に出したりはしないけどね。
「だったら僕も恥ずかしいことを考えていたんだ」
俺は俯き落ち込んだ振りをする。
「そんなことないよ。可愛い子がいたらほっぺにキスをしたいって思うのは、当然のことじゃないかな」
「それならルリシアさんも恥ずかしくないよね?」
「⋯⋯そうね。恥ずかしいことじゃないわ」
ルリシアさんは布団を投げ捨て立ち上がる。
良かった。どうやらルリシアさんは復活したようだ。
「ユートくん、励ましてくれてありがとう。でも勝負は手加減しないから」
「ええ、望むところです」
どうやらこれでボルゲーノさんに頼まれた任務を達成することが出来たようだ。
俺は用が済んだので部屋を出ていこうとするが、ルリシアさんはとんでもない行動を取り始めた。
「ユートくんとの勝負に勝つために、朝食を食べて力をつけないと」
ルリシアさんはそう言ってワンピースタイプのネグリジェを脱ぎ出す。
「ちょっと何をしているんですか!」
俺は咄嗟に後ろを向き、ルリシアさんの肢体を見ないようにする。
「何って着替えているの」
「まだ僕がいるじゃないですか」
「別にユートくんがいても私は平気よ」
ルリシアさんは何を言ってるんだ。目の前にいるのは二十二歳の成人男性だぞ。まあ見た目は子供だけど。
「ふ~ん⋯⋯もしかしてユートくんは、ルリシアお姉ちゃんの裸を見るのが、恥ずかしいのかな? 意外とおませさんなのね」
後ろを振り向けないので、ハッキリしたことはわからないけど、ルリシアさんは勝ち誇った表情をしているのだろう。
「何だか初めてユートくんに勝った気がするわ」
「勝つとか負けるとかじゃなくて。と、とにかく僕は外に行きます」
「えっ? ちょっと待って」
ルリシアさんが呼び止めてきたけど、俺は逃げるように部屋から飛び出すのであった。
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