16 / 86
再び奇妙な依頼
しおりを挟む
「まさか炊き出しってここだったのか」
バッツ達とボルゲーノさん、屋敷の人達数人で訪れた場所は孤児院だった。
そして何故かバッツ達は驚いた表情を浮かべている。
「どうしたの? 三人はここを知っているのかな?」
「知ってるも何も、ここは俺達が住んでいる所だ」
「そうなんだ」
バッツ達もまさか自分の住んでいる場所の炊き出しをするとは、思っても見なかったと言った所か。
「もしかしていつも炊き出しや、服とかの支援をしてくれてたのってボルゲーノさんだったんですか?」
カリンさんの問いに、ボルゲーノさんは顔を逸らしながら頷く。
表情は仏頂面だけどもしかして照れているのか。
「いつもありがとうございます。私達が生きていられるのはボルゲーノさんのおかげです」
「気にするな。私は私の思惑があってやっていることだ」
「それでもお礼は言わせて下さい」
カリンさんはほんとうにしっかりしているな。とても十歳には見えない。
「でもいつまてもお世話になる訳にはいきませんよね。私達は一流の冒険者になって、自分達で孤児院を支えられるがんばります」
もしかしてバッツ達がお金を稼ぎたい理由って、孤児院に寄付するためなのか? 俺は益々この子達が気に入ったぞ。
「そんなことより、子供達がお腹を空かせているんじゃないか? 早く炊き出しの手伝いを頼む」
「わ、わかりました」
カリンさん達は慌てた様子で炊き出しの手伝いに向かう。
さて、俺も行った方がいいよな。一応依頼としては荷物を運び終えたけど、やれることはあるだろう。
俺は炊き出しの手伝いをするため、カリンさん達の方へ向かう。
「待て」
しかし俺の足は、ボルゲーさんの言葉で止められた。
「僕ですか?」
「ああ。ちょっと話がしたい。来てくれるか」
「わかりました」
俺はボルゲーノさんの後についていく。すると人気のない孤児院の建物の裏まで連れて行かれた。
「先程も話したが、私は信頼でき優秀な者を探している。そして君はその条件を満たしている」
「評価してもらえて嬉しいですね」
わざわざここに来て言うことじゃないだろう。本題はこの後かな。
「今後私個人が君に依頼を出したいと思っている。受けてもらえないだろうか? もちろん報酬は弾ませてもらう」
「それは依頼内容によります」
違法な依頼はお断りしたいし、長期間拘束される依頼はごめんだ。俺の目的はあくまでトアの病を治すことだからな。
「依頼は⋯⋯主に護衛の任務だ」
「護衛⋯⋯ですか」
指名して依頼するってことは普通の一般人の護衛じゃないだろう。それならボルゲーノさんの護衛? それとも⋯⋯
「何か護衛に対して、求めているスキルや条件があるのか、もしくは⋯⋯護衛対象の人が高貴な人とか⋯⋯」
「なっ!」
どうやら今のボルゲーノさんの反応からして当りのようだ。おそらく貴族の護衛だと思う。だけど貴族には私設の兵とかいるようなイメージだけど。
「驚いたな。君はとても聡いようだ。子供だと思って話さない方がよさそうだ」
げっ! 余計なことを口にしてしまった。俺が異世界転生者とバレることはないとは思うけど、少し自重した方がよさそうだ。子供だと侮ってくれた方が相手は油断してくれるしな。
「聡い? 聡いってどういう意味?」
「賢いってことだ」
俺は中身が大人だとバレないように演技する。
アカデミー賞ものの演技に、ボルゲーノさんはきっと騙されてくれただろう。
「話が逸れたな。それで依頼を受けてくれるだろうか」
「護衛の対象って誰なんですか?」
「それは依頼を受けてくれないと言うことはできない」
言うことはできない?
貴族でも冒険者を雇うことは普通にある。だけど名前を出せないとなると、よほどの事情があるのかかなり高貴な人⋯⋯まさか皇族とか。
貴族の権力闘争や跡目争いに巻き込まれるのはごめんだ。依頼料はいいかもしれないけど、相手から恨みも買いそうだしな。
「申し訳あり⋯⋯」
「君に取っても悪い話ではないぞ」
俺は断るつもりでいたけど、ボルゲーノさんが気になる言葉を口にしてきた。
「どういうことでしょうか?」
「君の妹についてだ。不治の病にかかっているそうじゃないか」
まさか俺だけではなく、トアのことも調べたのか!
返答次第で、俺はこの人のことを許せなくなるぞ。
「勘違いしないでくれ。別に昨日今日で調べた訳ではない。さっきも話したように、私は信頼でき優秀な者を探すため、常にこの街で情報収集していた。その中で不治の病に犯されている、君の妹のことを知っただけだ」
本当に日頃から情報収集をしていたなら、トアのことを知っていてもおかしくはないけど、どこか釈然としない気持ちになる。
「それで僕がボルゲーノさんの依頼を受けると、何かメリットがあるということですか?」
「ハッキリと約束は出来ないが⋯⋯君の妹の病を治す方法がわかるかもしれない」
「本当ですか!」
俺はボルゲーノさんに詰め寄る。
まだトアの病を治す方法について、何の糸口も見つけられないでいた。
まさか冒険者になって、こんなに早く見つけられるとは思ってもみなかったぞ。
俺は嬉しさで思わずボルゲーノさんの手を握ってしまう。
「それでその方法はなんですか?」
「落ち着け。私が知ってる訳ではない。それに確実にわかる保証もないぞ」
「どんな小さな可能性でもいいです。教えて下さい」
「わかった。だがそのためには私の依頼を受けること、そして炊き出しが終わった後に少し時間をもらえないか」
「わかりました。よろしくお願いします」
こうして俺は、トアの病を治す方法がわかるかもしれないということで、気持ちが高揚しながら炊き出しの手伝いをするのであった。
バッツ達とボルゲーノさん、屋敷の人達数人で訪れた場所は孤児院だった。
そして何故かバッツ達は驚いた表情を浮かべている。
「どうしたの? 三人はここを知っているのかな?」
「知ってるも何も、ここは俺達が住んでいる所だ」
「そうなんだ」
バッツ達もまさか自分の住んでいる場所の炊き出しをするとは、思っても見なかったと言った所か。
「もしかしていつも炊き出しや、服とかの支援をしてくれてたのってボルゲーノさんだったんですか?」
カリンさんの問いに、ボルゲーノさんは顔を逸らしながら頷く。
表情は仏頂面だけどもしかして照れているのか。
「いつもありがとうございます。私達が生きていられるのはボルゲーノさんのおかげです」
「気にするな。私は私の思惑があってやっていることだ」
「それでもお礼は言わせて下さい」
カリンさんはほんとうにしっかりしているな。とても十歳には見えない。
「でもいつまてもお世話になる訳にはいきませんよね。私達は一流の冒険者になって、自分達で孤児院を支えられるがんばります」
もしかしてバッツ達がお金を稼ぎたい理由って、孤児院に寄付するためなのか? 俺は益々この子達が気に入ったぞ。
「そんなことより、子供達がお腹を空かせているんじゃないか? 早く炊き出しの手伝いを頼む」
「わ、わかりました」
カリンさん達は慌てた様子で炊き出しの手伝いに向かう。
さて、俺も行った方がいいよな。一応依頼としては荷物を運び終えたけど、やれることはあるだろう。
俺は炊き出しの手伝いをするため、カリンさん達の方へ向かう。
「待て」
しかし俺の足は、ボルゲーさんの言葉で止められた。
「僕ですか?」
「ああ。ちょっと話がしたい。来てくれるか」
「わかりました」
俺はボルゲーノさんの後についていく。すると人気のない孤児院の建物の裏まで連れて行かれた。
「先程も話したが、私は信頼でき優秀な者を探している。そして君はその条件を満たしている」
「評価してもらえて嬉しいですね」
わざわざここに来て言うことじゃないだろう。本題はこの後かな。
「今後私個人が君に依頼を出したいと思っている。受けてもらえないだろうか? もちろん報酬は弾ませてもらう」
「それは依頼内容によります」
違法な依頼はお断りしたいし、長期間拘束される依頼はごめんだ。俺の目的はあくまでトアの病を治すことだからな。
「依頼は⋯⋯主に護衛の任務だ」
「護衛⋯⋯ですか」
指名して依頼するってことは普通の一般人の護衛じゃないだろう。それならボルゲーノさんの護衛? それとも⋯⋯
「何か護衛に対して、求めているスキルや条件があるのか、もしくは⋯⋯護衛対象の人が高貴な人とか⋯⋯」
「なっ!」
どうやら今のボルゲーノさんの反応からして当りのようだ。おそらく貴族の護衛だと思う。だけど貴族には私設の兵とかいるようなイメージだけど。
「驚いたな。君はとても聡いようだ。子供だと思って話さない方がよさそうだ」
げっ! 余計なことを口にしてしまった。俺が異世界転生者とバレることはないとは思うけど、少し自重した方がよさそうだ。子供だと侮ってくれた方が相手は油断してくれるしな。
「聡い? 聡いってどういう意味?」
「賢いってことだ」
俺は中身が大人だとバレないように演技する。
アカデミー賞ものの演技に、ボルゲーノさんはきっと騙されてくれただろう。
「話が逸れたな。それで依頼を受けてくれるだろうか」
「護衛の対象って誰なんですか?」
「それは依頼を受けてくれないと言うことはできない」
言うことはできない?
貴族でも冒険者を雇うことは普通にある。だけど名前を出せないとなると、よほどの事情があるのかかなり高貴な人⋯⋯まさか皇族とか。
貴族の権力闘争や跡目争いに巻き込まれるのはごめんだ。依頼料はいいかもしれないけど、相手から恨みも買いそうだしな。
「申し訳あり⋯⋯」
「君に取っても悪い話ではないぞ」
俺は断るつもりでいたけど、ボルゲーノさんが気になる言葉を口にしてきた。
「どういうことでしょうか?」
「君の妹についてだ。不治の病にかかっているそうじゃないか」
まさか俺だけではなく、トアのことも調べたのか!
返答次第で、俺はこの人のことを許せなくなるぞ。
「勘違いしないでくれ。別に昨日今日で調べた訳ではない。さっきも話したように、私は信頼でき優秀な者を探すため、常にこの街で情報収集していた。その中で不治の病に犯されている、君の妹のことを知っただけだ」
本当に日頃から情報収集をしていたなら、トアのことを知っていてもおかしくはないけど、どこか釈然としない気持ちになる。
「それで僕がボルゲーノさんの依頼を受けると、何かメリットがあるということですか?」
「ハッキリと約束は出来ないが⋯⋯君の妹の病を治す方法がわかるかもしれない」
「本当ですか!」
俺はボルゲーノさんに詰め寄る。
まだトアの病を治す方法について、何の糸口も見つけられないでいた。
まさか冒険者になって、こんなに早く見つけられるとは思ってもみなかったぞ。
俺は嬉しさで思わずボルゲーノさんの手を握ってしまう。
「それでその方法はなんですか?」
「落ち着け。私が知ってる訳ではない。それに確実にわかる保証もないぞ」
「どんな小さな可能性でもいいです。教えて下さい」
「わかった。だがそのためには私の依頼を受けること、そして炊き出しが終わった後に少し時間をもらえないか」
「わかりました。よろしくお願いします」
こうして俺は、トアの病を治す方法がわかるかもしれないということで、気持ちが高揚しながら炊き出しの手伝いをするのであった。
21
お気に入りに追加
1,214
あなたにおすすめの小説
転生した元剣聖は前世の知識を使って騎士団長のお姉さんを支えたい~弱小王国騎士団の立て直し~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
かつて剣聖として無類の強さを誇っていた剣士ゼナリオは神族との戦争によって崩壊寸前の世界を救うため自らの命を引き換えにし、そして世界を救った。剣で始まり剣で人生を終えたゼナリオは自らの身が亡ぶ直前にある願いを抱く。
だが再び意識を取り戻し、目を覚ますとそこは緑いっぱいの平原に囲まれた巨大な樹木の下だった。突然の出来事にあたふたする中、自分が転生したのではないかと悟ったゼナリオはさらに自らの身体に異変が生じていることに気が付く。
「おいおい、マジかよこれ。身体が……」
なんと身体が若返っており、驚愕するゼナリオ。だがそんな矢先に突然国家騎士の青年から騎士団へのスカウトを受けたゼナリオは、後にある事件をきっかけに彼は大きな決断をすることになる。
これは若返り転生をした最強剣士が前世の知識を用いて名声を高め、再び最強と呼ばれるまでのお話。
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる