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初めて見たら誰もが驚く
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「依頼を受けた荷物はここにあるぜ!」
バッツが胸をおもいっきり反りながら宣言する。
「どういうことだ? 私には何もないように見えるが」
「へっ! あんたの目には見えないのか? だったら⋯⋯ぐはっ!」
カリンさんが喋っているバッツの腹部に拳を放つ。バッツはその痛みで膝から崩れ落ち、黙るのだった。
「あんたが偉そうに言うな! 全てユートくんのおかげでしょ!」
しかしカリンさんのストレートが効いたのか、バッツは喋ることが出来ない。
「ユートくん後はお願い」
「わ、わかった」
カリンさんは良い拳をお持ちのようだ。ジョブは接近戦向きではないが、世界を狙える可能性を秘めていた。
「それで? 荷物はどうしたんだ?」
「荷物ならここにあります」
「ここに? 君は何を言ってるんだ」
「え~と⋯⋯荷物はこの部屋に入りきらないので、外に出てもいいでしょうか?」
「どういうことだ? 外に置いてある⋯⋯という訳ではなさそうだな」
ボルゲーノさんは懐疑的な目を向けつつも、屋敷の庭までついてきてくれた。
「ここなら十分な広さがあるだろう。さあ、荷物があるなら出してみたまえ」
「わかりました。アーカイブ」
俺はキーワードを発すると、古文書が姿を見せる。
「なんだそれは? 本に見えるが」
そして古文書の最後のページを開く。
最後のページはジョブレベルが上がったせいか、十二の枠があったが、今は全てカードで埋まっていた。
何故なら元々入っていたパワープースター、フォースブースター、真実の目、大岩に加え、新たに八つの物をカードにしたからだ。
俺はそのうちのカードを一枚手に取り、地面に向かって投げる。
「何をしている。そのカードにいったいどんな意味が⋯⋯何だと!」
冷静沈着で表情を変えないボルゲーノさんが、初めて叫び声をあげるのだった。
◇◇◇
時は遡り、バッツが依頼達成を諦めると決断した時。
「ちょっと待って」
「ユート?」
「一つだけ試したいことがあるんだ」
俺は荷物に向かって手を置く。
そしてまとめられた荷物をカードにするため、言葉を紡ぐ。
「カードとなりて我が手に集え」
言葉を発してから、十秒程経つが何も変化はない。
やはり一つの物しかカードに出来ないのか。この荷物ごとカードに出来ればと思ったけど、残念ながらそこまで万能じゃないらしい。
だけどもう一つだけ試したいことがある。
「カードとなりて我が手に集え」
今度はこの大量の卵、一種類に向かって言葉を紡ぐ。
「おいおいユート。何やってるんだ。そんなことしても無駄⋯⋯なに!! 卵が消えたぞ!」
大量の卵は消え、俺の手に一枚のカードが握られる。
無数の卵(⭐1)か。
どうやら種類が同じ物ならカードに出来るようだ。
それにしても一か八かだったけど成功して良かった。これでボルゲーノさんの依頼を達成することが出来るぞ。
「とりあえず種類別に集めて、カードにしようかな」
だけどその作業は一人では骨が折れる。ここはみんなに手伝ってもらおうと口にするため、背後を振り向くが。
「カードにしようかな⋯⋯じゃねえ!」
「どどど、どういうことなの!」
「卵がなくなった!?」
三人は驚愕の表情を浮かべていた。
あの冷静沈着なテットくんも取り乱しているから、それだけ驚いているということか。
まあいきなり物が消えたんだ。俺も何も知らなければ三人と同じリアクションをしていただろう。
「運ぶのが大変だからカードにしたんだ。これなら簡単に運べるでしょ」
「た、確かに簡単に運べるけど⋯⋯でもカードから元に戻せるの?」
「戻せるよ⋯⋯ほら」
俺はカードにした卵を再び具現化させる。
「ほ、本当に卵が出てきたわ」
「これはお前のジョブスキルか? カードマスターってマジでとんでもねえな。だけどこれで依頼は達成出来そうだ」
「⋯⋯荷物、運ぼう」
「おっさん! 依頼は継続で頼むぜ!」
「わ、わかった」
やると決めたら三人はテキバキと動き、どんどん荷物を仕分けしていく。
そして一時間程で、それそれの荷物を種類別に分けることが出来た。
バッツが胸をおもいっきり反りながら宣言する。
「どういうことだ? 私には何もないように見えるが」
「へっ! あんたの目には見えないのか? だったら⋯⋯ぐはっ!」
カリンさんが喋っているバッツの腹部に拳を放つ。バッツはその痛みで膝から崩れ落ち、黙るのだった。
「あんたが偉そうに言うな! 全てユートくんのおかげでしょ!」
しかしカリンさんのストレートが効いたのか、バッツは喋ることが出来ない。
「ユートくん後はお願い」
「わ、わかった」
カリンさんは良い拳をお持ちのようだ。ジョブは接近戦向きではないが、世界を狙える可能性を秘めていた。
「それで? 荷物はどうしたんだ?」
「荷物ならここにあります」
「ここに? 君は何を言ってるんだ」
「え~と⋯⋯荷物はこの部屋に入りきらないので、外に出てもいいでしょうか?」
「どういうことだ? 外に置いてある⋯⋯という訳ではなさそうだな」
ボルゲーノさんは懐疑的な目を向けつつも、屋敷の庭までついてきてくれた。
「ここなら十分な広さがあるだろう。さあ、荷物があるなら出してみたまえ」
「わかりました。アーカイブ」
俺はキーワードを発すると、古文書が姿を見せる。
「なんだそれは? 本に見えるが」
そして古文書の最後のページを開く。
最後のページはジョブレベルが上がったせいか、十二の枠があったが、今は全てカードで埋まっていた。
何故なら元々入っていたパワープースター、フォースブースター、真実の目、大岩に加え、新たに八つの物をカードにしたからだ。
俺はそのうちのカードを一枚手に取り、地面に向かって投げる。
「何をしている。そのカードにいったいどんな意味が⋯⋯何だと!」
冷静沈着で表情を変えないボルゲーノさんが、初めて叫び声をあげるのだった。
◇◇◇
時は遡り、バッツが依頼達成を諦めると決断した時。
「ちょっと待って」
「ユート?」
「一つだけ試したいことがあるんだ」
俺は荷物に向かって手を置く。
そしてまとめられた荷物をカードにするため、言葉を紡ぐ。
「カードとなりて我が手に集え」
言葉を発してから、十秒程経つが何も変化はない。
やはり一つの物しかカードに出来ないのか。この荷物ごとカードに出来ればと思ったけど、残念ながらそこまで万能じゃないらしい。
だけどもう一つだけ試したいことがある。
「カードとなりて我が手に集え」
今度はこの大量の卵、一種類に向かって言葉を紡ぐ。
「おいおいユート。何やってるんだ。そんなことしても無駄⋯⋯なに!! 卵が消えたぞ!」
大量の卵は消え、俺の手に一枚のカードが握られる。
無数の卵(⭐1)か。
どうやら種類が同じ物ならカードに出来るようだ。
それにしても一か八かだったけど成功して良かった。これでボルゲーノさんの依頼を達成することが出来るぞ。
「とりあえず種類別に集めて、カードにしようかな」
だけどその作業は一人では骨が折れる。ここはみんなに手伝ってもらおうと口にするため、背後を振り向くが。
「カードにしようかな⋯⋯じゃねえ!」
「どどど、どういうことなの!」
「卵がなくなった!?」
三人は驚愕の表情を浮かべていた。
あの冷静沈着なテットくんも取り乱しているから、それだけ驚いているということか。
まあいきなり物が消えたんだ。俺も何も知らなければ三人と同じリアクションをしていただろう。
「運ぶのが大変だからカードにしたんだ。これなら簡単に運べるでしょ」
「た、確かに簡単に運べるけど⋯⋯でもカードから元に戻せるの?」
「戻せるよ⋯⋯ほら」
俺はカードにした卵を再び具現化させる。
「ほ、本当に卵が出てきたわ」
「これはお前のジョブスキルか? カードマスターってマジでとんでもねえな。だけどこれで依頼は達成出来そうだ」
「⋯⋯荷物、運ぼう」
「おっさん! 依頼は継続で頼むぜ!」
「わ、わかった」
やると決めたら三人はテキバキと動き、どんどん荷物を仕分けしていく。
そして一時間程で、それそれの荷物を種類別に分けることが出来た。
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