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10話 早すぎる再会 その2 (複数視点あり)
しおりを挟む(デミル公爵視点)
ユリアーナ・サルデリア……婚約破棄をしたその日に、もう一度会うことになるとは夢にもおもわなかったが……まあ、これでドロシーの機嫌が取れると思えば安いものか。
ユリアーナの姉であるシヴィル・サルデリアも同席しているが、所詮は伯爵令嬢よ、公爵である私の相手ではない。ドロシーがどういう話をするかは不明だが、私の可愛い新たな婚約者だ。彼女の機嫌を最優先に考える必要があるからな。
サルデリア伯爵は不在のようだが、問題はない。サルデリア家など、私のウィリー家に比べれば、大した存在でもないからな。ふはははははははっ!
おっと、ドロシーが何やら話すようだ。括目して聞くとしようか。
「あなたがユリアーナ……」
「は、はいそうです……ドロシー様」
「ふん、弱々しく振舞っているのが気に入らないわ。そうやって、デミル公爵の注意を引こうとしているのでしょう?」
なにやら、最初からドロシーは飛ばしているな……まあ、このくらいなら大したことではないが。
「いえ……決して、そのようなことは……」
「はん! どうかしらねっ! なんていうか、自分のことをか弱く見せて、男性を虜にしようという魂胆が丸見えというか……そういうことをしそうな雰囲気が出ているわ!」
「そんな……!」
ドロシーも相当に言う奴だな……まあいい。これがサルデリア家でなく、もっと位の高い家であれば不味いかもしれないが、ユリアーナに八つ当たりをしてドロシーの機嫌が収まるなら、本当に安いものだからな。
ユリアーナ、シヴィル……済まないが、私の為に犠牲になってもらうぞ。
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(ユリアーナ視点)
先ほどから、ドロシー侯爵令嬢から謂れのない暴言を受けている。私は強く反論はしていないけど、それが弱気に振舞っていると見えているのか、彼女の罵声はさらに悪化しているみたい。
どうしよう……私は強く反論した方がいいのか迷っていた。変に反論して、サルデリア家に後から何かがあっても困るし……。私は助けを求めるように、シヴィル姉さまに視線を合わせた。
「……」
私の視線に気付いたのか、姉さまは心配ないというように笑っている。そして……。
「ドロシー令嬢、そろそろいいのではありませんか? もう十分でしょう?」
「はあっ? 何がかしら……?」
シヴィル姉さまの強気な切り返し……まさか、このタイミングで姉さまが本気になるなんて、完全に予想外だった……。
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