9 / 11
9話 早すぎる再会 その1
しおりを挟む
驚いた……婚約破棄をされたその日に、デミル公爵がサルデリア家の屋敷を訪れるなんて。もしかして、謝罪に来たとか? あの態度を見るに、絶対そんなことをしそうには見えないけど……。
お父様とお母さまは現在は不在。やって来たのはデミル公爵と……これも驚きだけれど、ドロシー・ウィーン侯爵令嬢だった。私と姉さまは二人をもてなし、応接室に案内した。ジスパ王子殿下については、別のところで待機してもらっている。
「ようこそいらっしゃいました、デミル・ウィリー公爵、ドロシー・ウィーン侯爵令嬢」
シヴィル姉さまは儀礼的ではあるけれど、丁寧な挨拶を二人にした。私はとてもそんなことは出来なかったので、姉さまに合わせて軽く頭を下げる程度に留める。
どういう用件かは分からないけれど、デミル公爵とは実に早い再会だった。
「ふむ、出迎えに関してはとりあえず、礼を言っておこう」
「ありがとうございます、デミル公爵」
「それで……ご用件の方をお伺いしてもよろしいですか?」
私に気を遣ってくれているのか、シヴィル姉さまは早速、本題に入った。姉さまも心情的には早く帰ってもらいたいのかもしれない。
「ふむ……用件だがな……」
「用件はあなた、よ」
「ドロシー様? 私ですか……?」
意外にも口を開いたのはドロシー侯爵令嬢だった。私とデミル公爵は今日、婚約破棄になったばかりなので、二人が付き合っていることはないはずだけど……。もしかしたら、以前から浮気をしていたのかもしれないわね。当たり前のようにデミル公爵の隣に座っているし。
そして、明らかに私に敵意を向けていた。
「あなたが一体、どういう人物かを見たくてデミル公爵にお願いして、連れて来てもらったの」
「えっ、ということは……」
「そうだ、用件があるのはむしろ、ドロシーの方になるな」
なるほど……婚約破棄したばかりのデミル公爵訪れた理由も、これではっきりしたわね。同時に、このドロシーという人はとても面倒な性格をしていることも。
私を見る目つきは嫉妬の炎だったから……。
お父様とお母さまは現在は不在。やって来たのはデミル公爵と……これも驚きだけれど、ドロシー・ウィーン侯爵令嬢だった。私と姉さまは二人をもてなし、応接室に案内した。ジスパ王子殿下については、別のところで待機してもらっている。
「ようこそいらっしゃいました、デミル・ウィリー公爵、ドロシー・ウィーン侯爵令嬢」
シヴィル姉さまは儀礼的ではあるけれど、丁寧な挨拶を二人にした。私はとてもそんなことは出来なかったので、姉さまに合わせて軽く頭を下げる程度に留める。
どういう用件かは分からないけれど、デミル公爵とは実に早い再会だった。
「ふむ、出迎えに関してはとりあえず、礼を言っておこう」
「ありがとうございます、デミル公爵」
「それで……ご用件の方をお伺いしてもよろしいですか?」
私に気を遣ってくれているのか、シヴィル姉さまは早速、本題に入った。姉さまも心情的には早く帰ってもらいたいのかもしれない。
「ふむ……用件だがな……」
「用件はあなた、よ」
「ドロシー様? 私ですか……?」
意外にも口を開いたのはドロシー侯爵令嬢だった。私とデミル公爵は今日、婚約破棄になったばかりなので、二人が付き合っていることはないはずだけど……。もしかしたら、以前から浮気をしていたのかもしれないわね。当たり前のようにデミル公爵の隣に座っているし。
そして、明らかに私に敵意を向けていた。
「あなたが一体、どういう人物かを見たくてデミル公爵にお願いして、連れて来てもらったの」
「えっ、ということは……」
「そうだ、用件があるのはむしろ、ドロシーの方になるな」
なるほど……婚約破棄したばかりのデミル公爵訪れた理由も、これではっきりしたわね。同時に、このドロシーという人はとても面倒な性格をしていることも。
私を見る目つきは嫉妬の炎だったから……。
0
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活
ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。
「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」
そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢!
そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。
「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」
しかも相手は名門貴族の旦那様。
「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。
◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用!
◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化!
◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!?
「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」
そんな中、旦那様から突然の告白――
「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」
えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!?
「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、
「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。
お互いの本当の気持ちに気づいたとき、
気づけば 最強夫婦 になっていました――!
のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

【完結】私のことが大好きな婚約者さま
咲雪
恋愛
私は、リアーナ・ムスカ侯爵令嬢。第二王子アレンディオ・ルーデンス殿下の婚約者です。アレンディオ殿下の5歳上の第一王子が病に倒れて3年経ちました。アレンディオ殿下を王太子にと推す声が大きくなってきました。王子妃として嫁ぐつもりで婚約したのに、王太子妃なんて聞いてません。悩ましく、鬱鬱した日々。私は一体どうなるの?
・sideリアーナは、王太子妃なんて聞いてない!と悩むところから始まります。
・sideアレンディオは、とにかくアレンディオが頑張る話です。
※番外編含め全28話完結、予約投稿済みです。
※ご都合展開ありです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる