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22話 話し合い その2
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ハルト様は穏便に解決する旨をおっしゃっているのだと思う。貴族連合など造られた場合、それは最早クーデターのようなものだし……最悪の場合、国家が分断される可能性もあるのだから……。
民への弊害も考えた場合、ハルト様はなるべく貴族連合への対抗という形にはしたくないのだとわかった。ハルト様の護衛の方々……公爵レベルの方々を使って力で押さえつけることは可能なのかもしれないけれど……。
「王家としての謝罪……それをすることはできない。また、シグマ・ブリーテンの謹慎解除も無理だ。彼は我が婚約者のシエルに無礼を働いたのだからな」
「……ハルト王太子殿下、それでは私の要求は全て否定される、ということでしょうか?」
メリアーナ夫人の眉間には大きくしわが寄っている。ハルト王子殿下に要求を却下された形で相当に苛立っているみたい。このままだと、ハルト様が言った建設的な話し合いはとても無理だと思うけれど……。
「結果的にはそうなるな」
「では、私達は貴族連合を結成いたします。今の王族に断固として対抗させてもらいますわ」
うわ……時期国王であるハルト様の前でなんて大胆な……。これって、下手をすればブリーテン家自体が没落しかねない発言なんじゃないの?
「お待ちください、メリアーナ夫人」
「……あなたは?」
「はい、ハルト王太子殿下の護衛の一人で、シエルお嬢様のメイドをさせていただいております。名をメルレーンと申します」
「メルレーン……」
メリアーナ夫人はメイドのメルレーンの名前を何度か反復していた。多分だけど、自分の記憶上にその名前があるかを確認していたんだと思う。でも夫人の記憶にはなかったみたい、それは彼女の表情が物語っていた。まあ、超有名な貴族ってわけでもないしね、メルレーンは。
「そして……シエル様の身の回りの世話をなんでも行う者にございます」
「ん? なんでも?」
これはメルレーンの冗談なんだろうけど……夫人は真面目に受け取ったようで、顔を赤くしていた。意外と純情なんだこの人。とりあえず私はメルレーンを睨んでおいた。彼女は軽く舌を出しながらスルーしていたけれど。
「ハルト王太子殿下は和解案も考えておられます……ですが、まずは現状をお考えいただきたいのです」
「現状を……? どういうことかしら?」
「はい、夫人は由緒あるブリーテン家に属するお方のはず。シグマ・ブリーテン様が身勝手な理由でシエル様との婚約を破棄されたことは事実にございます。そのことについて、本当に何も感じられないのですか?」
「……それは……」
ああ、なるほど……メルレーンが語る意味は理解できなかったけれど、ハルト王太子殿下の解決案はなんとなく理解できた。泣き落とし、みたいなものかしら? こちらが優しく順序立てて説明することで、相手に罪を理解してもらう作戦というわけね。
そういう意味では、メルレーンが語り掛ける方が有効だったのかしら?
民への弊害も考えた場合、ハルト様はなるべく貴族連合への対抗という形にはしたくないのだとわかった。ハルト様の護衛の方々……公爵レベルの方々を使って力で押さえつけることは可能なのかもしれないけれど……。
「王家としての謝罪……それをすることはできない。また、シグマ・ブリーテンの謹慎解除も無理だ。彼は我が婚約者のシエルに無礼を働いたのだからな」
「……ハルト王太子殿下、それでは私の要求は全て否定される、ということでしょうか?」
メリアーナ夫人の眉間には大きくしわが寄っている。ハルト王子殿下に要求を却下された形で相当に苛立っているみたい。このままだと、ハルト様が言った建設的な話し合いはとても無理だと思うけれど……。
「結果的にはそうなるな」
「では、私達は貴族連合を結成いたします。今の王族に断固として対抗させてもらいますわ」
うわ……時期国王であるハルト様の前でなんて大胆な……。これって、下手をすればブリーテン家自体が没落しかねない発言なんじゃないの?
「お待ちください、メリアーナ夫人」
「……あなたは?」
「はい、ハルト王太子殿下の護衛の一人で、シエルお嬢様のメイドをさせていただいております。名をメルレーンと申します」
「メルレーン……」
メリアーナ夫人はメイドのメルレーンの名前を何度か反復していた。多分だけど、自分の記憶上にその名前があるかを確認していたんだと思う。でも夫人の記憶にはなかったみたい、それは彼女の表情が物語っていた。まあ、超有名な貴族ってわけでもないしね、メルレーンは。
「そして……シエル様の身の回りの世話をなんでも行う者にございます」
「ん? なんでも?」
これはメルレーンの冗談なんだろうけど……夫人は真面目に受け取ったようで、顔を赤くしていた。意外と純情なんだこの人。とりあえず私はメルレーンを睨んでおいた。彼女は軽く舌を出しながらスルーしていたけれど。
「ハルト王太子殿下は和解案も考えておられます……ですが、まずは現状をお考えいただきたいのです」
「現状を……? どういうことかしら?」
「はい、夫人は由緒あるブリーテン家に属するお方のはず。シグマ・ブリーテン様が身勝手な理由でシエル様との婚約を破棄されたことは事実にございます。そのことについて、本当に何も感じられないのですか?」
「……それは……」
ああ、なるほど……メルレーンが語る意味は理解できなかったけれど、ハルト王太子殿下の解決案はなんとなく理解できた。泣き落とし、みたいなものかしら? こちらが優しく順序立てて説明することで、相手に罪を理解してもらう作戦というわけね。
そういう意味では、メルレーンが語り掛ける方が有効だったのかしら?
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