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14話 お助けの王子様 その2

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「サウス王子殿下……!」


 グッドタイミングでのサウス王子殿下の登場……私はヒーローのように颯爽と現れたサウス王子殿下を見て、思わず涙腺が緩んでしまった。それくらいに感動していたから。


「レミュラ、遅れたようで済まなかった。でも、ここからは任せておいてくれ」

「は、はい! それでは、お任せいたします!」


 私はマルクス・エラー卿から一歩離れ、サウス王子殿下に道を譲ることにした。それにしても……マルクスもおそらくは、貴族の人間なのよね? マルクス卿ってサウス様に呼ばれているし。すっかり役人たちは怯えているけれど、その全てがおそらくは貴族の出……貴族社会の暗雲を見た気持ちに、私はなっていた。


 サウス王子殿下は、そんなマルクスの前に立ち、睨みつけるように話し出した。


「マルクス卿……何か言いたいことはあるか?」

「王子殿下……い、いえ、特にはございません……」


 さっきまでの威勢はどこにいったのか……完全にマルクスは及び腰になっている。相手が王子殿下だけに、下手な言葉を出すわけにもいかないんでしょうね。


「レミュラの働いている店……このニャンコクラブに、粗悪品と思われるポーションを仕入れさせようとしていたな? それに間違いはないか?」


「うっ……そ、それは……!」


 マルクスを初め、その後ろに立っている何人かの役人たちも即答はできないみたい。サウス王子殿下の護衛として彼の背後に立っている屈強な人たちとは、態度も頼もしさもまるで違うわね……。マルクスが簡単に真実を明かせないのには訳があるはず。


 彼の背後には強力な貴族であるルデルテ公爵がいるんだし、下手なことを話すとルデルテ公爵に何をされるかわからない、と言ったところかしら?


 気持ちは分からないでもないけれど、今回の相手はサウス王子殿下……誠意を持って対応しないと、後々困るのはマルクス本人だと思うわ。


「私が見ていたのだから、現行犯であることに間違いはない。言い逃れが出来る状況でもないだろう?」


「そ、それは……存じておりますが……」


「ならば、自分の口で事実を話すのだ。ルデルテ公爵を恐れているのかもしれないが、ここで事実を吐いておいた方が、貴殿の為になると思うが?」


 サウス王子殿下なりの優しさの表れかな? マルクスに対して、諭すように言葉を出している。マルクスはしばらくの間、沈黙を貫いていたけれど、やがてその首を縦に振った。
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