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29話 マローネ家へ その1
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お父様やジニーの前で宣言された絶縁の話。その話が終わった段階で、私とライラは屋敷を出て、そのままディエス様と共に、マローネ家の屋敷へと向かっていた。私達は馬車で向かっている。
「ディエス様、突然の申し出、申し訳ありませんでした……」
私は勢いで言ってしまったことを後悔し、ディエス様に謝罪した。でも、ディエス様は気にしている様子を見せていない。
「いや、気にすることはないさ。あの状況では、あのように言った方が、彼らにとっても良かっただろう」
ディエス様の言う「彼ら」というのは、お父様とジニーのことだ。確かに、私のビンタや有無を言わせぬ家出に、お父様たちは度肝を抜かされていたし……。そういう意味では非常に効果的だったかと思う。
「そろそろ、到着するな」
「あれが……ディエス様のお屋敷……」
なんというか……非常に豪勢だと言えばいいのかしら? マローネ公爵の治めるアクラリンド地方は、王国内で最も広大な土地面積を誇っている。農地の面積も最大であり、王国内の食糧事情もマローネ家が握っていると言っても過言ではなかった。そんな土地を国王陛下から預かっているのだから、マローネ公爵の権力がいかに強いかが分かるけれど……。
「すごいですね……これ程の土地をお持ちだったとは……」
「いや、凄いのは私の父だよ。私はまだまだ脛をかじっているだけの人間に過ぎないからな」
ディエス様は公爵令息という立場だから、まだ当主ではないのは事実だけど。それを即答できる辺り、流石だなって思うわね。
----------------------------------------
マローネ家の屋敷に到着した私とライラの二人……。改めてその屋敷の大きさに驚いていた。
「すごい……」
「はい、シンディ様。もしかすると、貴族内でも最大のお屋敷かもしれませんね……」
お屋敷の大きさももちろんだけれど、庭の大きさも尋常じゃない。一体、幾つの噴水が設置されているんだろう? って感じる程に庭の端が見えないし……。流石は公爵家……。
「あらあらあら、ディエスじゃないのさ。帰って来たのかい?」
「母上……!」
噴水の一つに座っていた貴婦人の姿……それは、ディエス様のお母様だった。待ってよ、まだ心の準備が……! 私はいきなり対面をしてしまったディエス様のお母様に、なんと挨拶をしていいのかわからなくなっていた……。
「ディエス様、突然の申し出、申し訳ありませんでした……」
私は勢いで言ってしまったことを後悔し、ディエス様に謝罪した。でも、ディエス様は気にしている様子を見せていない。
「いや、気にすることはないさ。あの状況では、あのように言った方が、彼らにとっても良かっただろう」
ディエス様の言う「彼ら」というのは、お父様とジニーのことだ。確かに、私のビンタや有無を言わせぬ家出に、お父様たちは度肝を抜かされていたし……。そういう意味では非常に効果的だったかと思う。
「そろそろ、到着するな」
「あれが……ディエス様のお屋敷……」
なんというか……非常に豪勢だと言えばいいのかしら? マローネ公爵の治めるアクラリンド地方は、王国内で最も広大な土地面積を誇っている。農地の面積も最大であり、王国内の食糧事情もマローネ家が握っていると言っても過言ではなかった。そんな土地を国王陛下から預かっているのだから、マローネ公爵の権力がいかに強いかが分かるけれど……。
「すごいですね……これ程の土地をお持ちだったとは……」
「いや、凄いのは私の父だよ。私はまだまだ脛をかじっているだけの人間に過ぎないからな」
ディエス様は公爵令息という立場だから、まだ当主ではないのは事実だけど。それを即答できる辺り、流石だなって思うわね。
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マローネ家の屋敷に到着した私とライラの二人……。改めてその屋敷の大きさに驚いていた。
「すごい……」
「はい、シンディ様。もしかすると、貴族内でも最大のお屋敷かもしれませんね……」
お屋敷の大きさももちろんだけれど、庭の大きさも尋常じゃない。一体、幾つの噴水が設置されているんだろう? って感じる程に庭の端が見えないし……。流石は公爵家……。
「あらあらあら、ディエスじゃないのさ。帰って来たのかい?」
「母上……!」
噴水の一つに座っていた貴婦人の姿……それは、ディエス様のお母様だった。待ってよ、まだ心の準備が……! 私はいきなり対面をしてしまったディエス様のお母様に、なんと挨拶をしていいのかわからなくなっていた……。
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