妹に婚約者を奪われましたが、公爵令息から求婚されました!

安奈

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22話 エトワール家の者達 その3

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 運命? の舞踏会の翌日……私はまだ、エトワール家の本邸に身を置いていた。本心で言えば、別邸の方にすぐにでも移動したかったんだけれど。


 お父様とお母様の呼び出しがあったので、そうも言っていられなくなったの。


「私室で待っているようにって言われているけど……どんな用事なのかしら?」


 私は隣に立っている、使用人兼、幼馴染兼、親友のライラに質問した。彼女もこの質問には困った様子を見せている。


「おそらくは……伯爵様がお入りになりますと、今までとは180度違う態度になるかと存じます」

「ああ、やっぱり……」


 なんとなく察しはついていたけれど、ライラに言われて、私の中での確信となった。今はいらっしゃらないけれど、ディエス様との関係について、称賛の嵐が舞い降りて来そうね……。特に、マイラお母様はあの場にはいらっしゃらなかったから余計に……。


「僭越ではございますが……シンディ様とディエス様のご婚約、非常に嬉しく思っております」

「ライラ……ありがとう」


 ライラの裏表のない誉め言葉。私はそれが何よりも嬉しかった。



---------------------------------------



「シンディ、入るわよ?」

「お母様……? は、はい、どうぞ」

「失礼するわ……まあ、あらあらあら、ライラも一緒だったのね」

「え、ええ……ご一緒させていただいております」


 お母様は非常に上機嫌になっている。舞踏会前のそっけない態度とは大違い……別の人格にでも転生したんじゃないかっていうくらいに優しい……。そういえば、昔は優しいお母様だったような……いつ頃からこんな風になったんだっけ……。


「シンディ、よく公爵様との関係性を構築してくれたわね。これで、エトワール家は安泰だわ」

「お母様……」


 ディエス様とは結婚すると決まったわけでもないのに、お母様は既に決めつけにかかっている。なんだか、寂しくなってしまった。ジニーとフリント様があんなことをしたから、エトワールとしては公爵家とのパイプラインは何としても確保したい……その気持ちはわからないでもないけど。


「シンディ、あなたとディエス様であれば、ジニーのようなことにはならないでしょう」


 ……確かに、あんなバカな事態にはならないという自信はある。エトワール家として、家柄を気にするのも理解はできる。でも、今までの態度からの豹変ぶりには我慢がならなかった。これでは、妹が使えなくなったから、私が代用品にされたみたいだし。

 私はお母様に問いただしてみることにした。
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