13 / 42
13話 パーティ開催 その1
しおりを挟む
「本日は、ようこそお集まりいただきました。ささやかなパーティではございますが、エトワールの催し物にご参加いただきありがとうございます。心ゆくまでお楽しみくださいませ」
お父様の宣言により、エトワール家でのパーティは始まりを告げた。今回のジニーたちの呼びかけに応じ、集まって来た貴族たちは、テーブルに並べられている料理に手を付け始めていた。いわゆる、バイキング形式での食事ね。
私が会いたくない貴族の令嬢なんかも参加しているけれど、私の方に近づいて来る気配はないわね。もちろん、私のことは気付いているはずだけれど、私の隣に居るディエス公爵令息様の存在により、近づいてこれないみたいね。おかげで、変に感情を高ぶらせる必要がなくて、穏やかな気分でいられてるわ。
私はそんなことを考えながら、近くにあったお肉に手をつけていた。
「さて、シンディ殿……彼らの婚約発表会見は何時くらいになるか、おわかりか?」
「ええと……まだ、パーティが始まったばかりですので、通常であれば、何十分か経過してからだと思われますが……」
「そうか……」
周囲の貴族たちはまだ知らないだろうけれど、今回のメインディッシュはジニーとフリント様の婚約発表になる。同時に、私とフリント様の婚約破棄という事実の公表……。ジニーは当初、この二つのイベントを同時に行おうとしてたはず……。
だから、ジニーの性格的にパーティ開催後からどのくらいでイベントを起こすかは想像がついていた。彼女は以前から、一番盛り上がるタイミングで実施する傾向がある。
「でも、先ほどの一件もありますので、どのようになるかは読めないところです……」
先ほどの件というのは、ジニーがディエス様と遭遇したことを指している。あれで、彼女は相当に焦っているように見えたから……。フリント様も同じね、以前の件でディエス様にコテンパンにされてしまったんだし……。
「あまり身内での争いというのは、気分の良いものではないだろう?」
「は、はい……おっしゃる通りです……」
ディエス様に言われ、私は肯定の意味合いで頷いた。ジニーやフリント様、お父様たちとも、本当ならば仲良くしたいのだけれど……でも、彼らはそれを許してくれない。何時からそうなったのかは、正直覚えていないけれど……。
「このまま、穏便にパーティが進んでくれればいいのだが……おや?」
「あれは……ジニーとフリント様……」
お父様のパーティ開催の宣言から、まだ15分も経過はしていないけれど……。会場の中央には、ジニーとフリント様の姿があったのだ……。
お父様の宣言により、エトワール家でのパーティは始まりを告げた。今回のジニーたちの呼びかけに応じ、集まって来た貴族たちは、テーブルに並べられている料理に手を付け始めていた。いわゆる、バイキング形式での食事ね。
私が会いたくない貴族の令嬢なんかも参加しているけれど、私の方に近づいて来る気配はないわね。もちろん、私のことは気付いているはずだけれど、私の隣に居るディエス公爵令息様の存在により、近づいてこれないみたいね。おかげで、変に感情を高ぶらせる必要がなくて、穏やかな気分でいられてるわ。
私はそんなことを考えながら、近くにあったお肉に手をつけていた。
「さて、シンディ殿……彼らの婚約発表会見は何時くらいになるか、おわかりか?」
「ええと……まだ、パーティが始まったばかりですので、通常であれば、何十分か経過してからだと思われますが……」
「そうか……」
周囲の貴族たちはまだ知らないだろうけれど、今回のメインディッシュはジニーとフリント様の婚約発表になる。同時に、私とフリント様の婚約破棄という事実の公表……。ジニーは当初、この二つのイベントを同時に行おうとしてたはず……。
だから、ジニーの性格的にパーティ開催後からどのくらいでイベントを起こすかは想像がついていた。彼女は以前から、一番盛り上がるタイミングで実施する傾向がある。
「でも、先ほどの一件もありますので、どのようになるかは読めないところです……」
先ほどの件というのは、ジニーがディエス様と遭遇したことを指している。あれで、彼女は相当に焦っているように見えたから……。フリント様も同じね、以前の件でディエス様にコテンパンにされてしまったんだし……。
「あまり身内での争いというのは、気分の良いものではないだろう?」
「は、はい……おっしゃる通りです……」
ディエス様に言われ、私は肯定の意味合いで頷いた。ジニーやフリント様、お父様たちとも、本当ならば仲良くしたいのだけれど……でも、彼らはそれを許してくれない。何時からそうなったのかは、正直覚えていないけれど……。
「このまま、穏便にパーティが進んでくれればいいのだが……おや?」
「あれは……ジニーとフリント様……」
お父様のパーティ開催の宣言から、まだ15分も経過はしていないけれど……。会場の中央には、ジニーとフリント様の姿があったのだ……。
2
お気に入りに追加
3,590
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!

妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のシャルナは、妹のメープルに婚約者である公爵を奪われてしまう。
妹は昔から甘やかされて育ち、その外見の良さと甘え上手な態度から守ってあげたくなるのだ。
シャルナの両親もメープルには甘く、彼女はずっと煮え湯を飲まされていた。
今回は婚約破棄までされ、とうとう彼女も我慢の限界を超えるが、その時に助けてくれたのが王子殿下だった。
シャルナは王子殿下と婚約を果たし、幸せな生活の一歩を踏み出すことになる。
対して妹のメープルは、婚約した公爵の欠点や本性が見え始め、婚約を取り消したいと泣きついてくるのだが……いまさらそんなこと言われても、遅すぎる。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる