妹に婚約者を奪われましたが、公爵令息から求婚されました!

安奈

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12話 パーティ会場へ その2

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「ディエス・マローネ様……!?」


 会場に入って来た男性の顔を確認すると、ジニーはとても狼狽えだした。流石に予想外の人物の登場に度肝を抜かされたって感じかしら? フリント様からはディエス様のことは聞いていないみたいね。


「ああ、其方がジニー・エトワールかな? シンディ殿の妹君の……」

「は、はい……左様でございますが……」


 まさかの公爵令息の登場にジニーは先ほどまでの自信が薄れているようだった。なんというか、たじたじになっているし、私とディエス様の仲が悪くないことも察知したのかもしれないわね。


「……本日は重大なエトワールの発表と聞いてもいるのでな。私が出席しても問題はないだろう?」

「は、はい……それはもちろんでございますが……」


 どうも歯切れの悪い言葉が続くわね、ジニーらしくないというか……ここはお姉ちゃんが助け船を出してあげないと! と私はいたずら心全開で口を開いた。


「もちろんですよ、ディエス様。ディエス様をお断りする理由など、エトワール家にあるはずがありませんし。そうよね、ジニー?」

「えっ……!? そ、そうですわね……お断りするなんて、とんでもない……」

「ほら、主役のジニーもこう言っていることですし、ディエス様もご遠慮なく、おくつろぎくださいね? ディエス様のお屋敷と比較すれば手狭かと思われますが……」


「いやいや、どんでもない。相当に立派なお屋敷だ、流石はエトワール家といったところか……では、お言葉に甘えさせてもらうとしようか」


 完全に私とディエス様のホームな雰囲気になったわね。この会場は現在、私達二人が掌握しているのよ。今はジニーやライラしか居ないからあれだけど、本番でも同じように雰囲気や流れをこちらに持ってくれば、良い感じになりそうね!


「ジニーお礼を言わないといけないわね」


「ど、どういうことですか……? 姉さま……?」


 先ほどよりも明らかに弱々しい態度のジニー。私は上機嫌になりながら言葉を発した。本当なら、実の妹にこんなことはしたくないけれど。


「ううん、なんでもないわ。ジニーの婚約発表が成功するように祈っているわよ? あ、くれぐれも注意してね? ほら、フリント様って浮気癖があるし、万が一破局なんてしたら、エトワール家の家紋に傷が付くかもしれないから……」

「姉さま……あの、その……」


 私の言葉を聞いたジニーはさらに弱々しくなっていた。なんだか昔の……本当に仲の良かった頃の彼女に、一瞬戻ったような気がしたけれど、私は敢えて見えない振りでやり過ごすことにした。



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