妹に婚約者を奪われましたが、公爵令息から求婚されました!

安奈

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7話 婚約破棄と婚約発表 その1

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 ジニーが貴族街の別宅を出て行ってから少し経過した後、私はエトワール家の本邸で行われるパーティについて考えていた。隣では、幼馴染のライラが心配そうに見つめてくれている。


「あの、シンディ様……」

「なに? ライラ」

「あの、先ほどはありがとうございました。私なんかを庇っていただいて……」

「ちょっと、ライラ……あんなこと気にしないでしょ。あなたには、普段からとてもお世話になっているんだから」


「シンディ様……」


 ライラだけに限らないけれど、屋敷の使用人はほとんどが貴族出身の者たちで構成されている。下級貴族の分家の分家だったり、称号的には一般人だけれど、血筋は貴族を引いているから使用人として雇われたり。まあ、他の貴族の家も大差はないと思うけど。

 ライラの家系は子爵階級……私と幼馴染で、いままであんな卑下を受けたことはないはず。ジニーはポーカーフェイスだったけれど、相当怒っていたのかもしれないわね。


「ジニーのあの言葉は許されないわ。しっかりとお父様やお母様に報告するから、安心してね」

「し、しかし……そうなってしまうと、シンディ様のお立場が……」


 そう……お父様、お母様共に、なぜか妹のジニーには甘い。だから、あんなに人の気持ちを考えない、わがまま娘に育ったんだろうけど。いえ、人の気持ちを考えられない甘い人はたくさんいるだろうけど、大半は指摘されれば反省したり、自覚したりはするはず。

 ジニーの場合はさらに性質が悪いものだった……反省しないから。


「はあ、本邸での婚約発表もあるのよね……ジニーのことだから、私とフリント様の婚約破棄も大々的に公表しそうだわ……」

 フリント様との婚約破棄自体はいずれは知られることになるけど……出来れば、あまり目立ちたくはない。でも、ジニーはそれを大袈裟に言いふらすことで、私に対して優位に立とうとしているような……。

 ほとんど虐めに近いわよね、それって……。


「シンディ様、ご提案がございます」

「な、なに……? ライラ?」


 私が頭を抱えて悩んでいた時、ライラは急に眼を輝かせて話し始めた。


「こちらも味方を付けましょう。強力な味方が居れば、パーティの席でも堂々としていられます」

「ちょっと待って、それってもしかして……」


 私は一瞬、ライラの考えを先読みしてしまった。彼女は強く頷いているので、おそらく合ってるんだと思う。

「ディエス・マローネ様とパーティに出席するのです!」


 ライラから出た名前は案の定、ディエス公爵令息様だった……。え? あの方を隣に立たせてパーティに出席するの?


 
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