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43話 マリアンヌの回答 その2
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「マルクス……お前には一つ、言っておかなければならないことがあるな」
「な、なんなんだ兄上……?」
マルクス大公はとても劣勢に立たされているように思えた。実際、ヨハン様はそれほど詰めているわけではないだろうけど。完全にヨハン様に論破されている図とでもいうのか。
私の傍らにいるラウド大臣やマリアンヌ様もおそらくは同じ気持ちなんだと思う。
でも、レディア様の表情は冷静沈着……強敵はこちらなのかもしれないわね。
「王族たるもの……女性経験は豊富であるに越したことはない」
「ゴホゴホッ! 兄上、一体なにを……!」
出されている紅茶をすすっていたマルクス様だけれど、思わず吹き出してしまっていた。予想外の言葉が出て来たからだろうけど。
「ヨハン様……」
私は思わず、ヨハン国王陛下を睨んでしまう。嫉妬してしまっていた。もう、何を言うのかと思えば……。
「はははは、君に嫉妬されるのは嬉しいぞ、マリア。心配するな、物の例えと考えてほしい」
「物の例えですか」
「そう、物の例えだ」
ヨハン様は特に顔色を変えずに言っていた。まあ、ヨハン様からすれば、「物の例え」なのかもしれないけれど……。
「陛下……」
「お兄様……」
この時だけは、仲が悪いという情報のある、マリアンヌ様とレディア様はハモっているように見えた。女性経験が豊富な方がいいって……それはつまり、ヨハン様はマリアンヌ様や私以外の女性とも経験している可能性を示唆しているわけで……。
「陛下、なりませぬぞ。そういう事は、貴婦人の方々に知られないように進めて行かねば」
「ああ、そうか……それもそうだったな」
ラウド大臣からのフォローのような言葉も出て来た。う~ん、ヨハン様もラウド大臣も一気に怪しくなってきたわね……。まあ、二人とも魅力的な人だし、この魅力を維持するには性欲の発散というのは、大事なことなのかもしれないけれど。
「兄上、はしたなすぎるぞ! やはり、兄上には国王という立場は向いていないのではないのか?」
「マルクス、言葉には気を付けろ。兄弟だから許しているが、公の場でそんな口の利き方をすれば、処分しなければならない時もあるからな?」
「うぐ……!」
不敬罪はすべての人間に適用される法律。兄弟だからと甘くしていては、国民に示しが付かないということね。ヨハン様はマルクス大公を牽制すると同時に、国王陛下たる器も示した。流石だわ……。
「連続してしまい、申し訳ないところではありますが」
ヨハン様がマルクス大公を黙らせたタイミングを見計らって、マリアンヌ様が言葉を発する。とても息の合った連携プレイのように見えてしまった。
「私とマリアの不祥事のことですが……あれは、姉妹としてのスキンシップでございますわ。どのみち、マリアも陛下の子を産むために、そういう行為は必要ですし。少しでも慣れるために、多少のスキンシップを図ったと考えてくださいまし」
「マリアンヌ様……」
おそらくは、100点満点の回答だったのではないか。私にはそう思えた。流石はマリアンヌ様……マルクス大公が何も言えなくなったタイミングで、本題についての回答を出すなんて。なんというか、場慣れをしているわね。
「いいえ、それはおかしいんじゃなくて? 兄上もそう思うでしょ?」
「レディア……」
しかし、レディア様には通用していない……? マルクス大公は何も言えないようだったけれど、レディア様の反論が始まろうとしていた……。
「な、なんなんだ兄上……?」
マルクス大公はとても劣勢に立たされているように思えた。実際、ヨハン様はそれほど詰めているわけではないだろうけど。完全にヨハン様に論破されている図とでもいうのか。
私の傍らにいるラウド大臣やマリアンヌ様もおそらくは同じ気持ちなんだと思う。
でも、レディア様の表情は冷静沈着……強敵はこちらなのかもしれないわね。
「王族たるもの……女性経験は豊富であるに越したことはない」
「ゴホゴホッ! 兄上、一体なにを……!」
出されている紅茶をすすっていたマルクス様だけれど、思わず吹き出してしまっていた。予想外の言葉が出て来たからだろうけど。
「ヨハン様……」
私は思わず、ヨハン国王陛下を睨んでしまう。嫉妬してしまっていた。もう、何を言うのかと思えば……。
「はははは、君に嫉妬されるのは嬉しいぞ、マリア。心配するな、物の例えと考えてほしい」
「物の例えですか」
「そう、物の例えだ」
ヨハン様は特に顔色を変えずに言っていた。まあ、ヨハン様からすれば、「物の例え」なのかもしれないけれど……。
「陛下……」
「お兄様……」
この時だけは、仲が悪いという情報のある、マリアンヌ様とレディア様はハモっているように見えた。女性経験が豊富な方がいいって……それはつまり、ヨハン様はマリアンヌ様や私以外の女性とも経験している可能性を示唆しているわけで……。
「陛下、なりませぬぞ。そういう事は、貴婦人の方々に知られないように進めて行かねば」
「ああ、そうか……それもそうだったな」
ラウド大臣からのフォローのような言葉も出て来た。う~ん、ヨハン様もラウド大臣も一気に怪しくなってきたわね……。まあ、二人とも魅力的な人だし、この魅力を維持するには性欲の発散というのは、大事なことなのかもしれないけれど。
「兄上、はしたなすぎるぞ! やはり、兄上には国王という立場は向いていないのではないのか?」
「マルクス、言葉には気を付けろ。兄弟だから許しているが、公の場でそんな口の利き方をすれば、処分しなければならない時もあるからな?」
「うぐ……!」
不敬罪はすべての人間に適用される法律。兄弟だからと甘くしていては、国民に示しが付かないということね。ヨハン様はマルクス大公を牽制すると同時に、国王陛下たる器も示した。流石だわ……。
「連続してしまい、申し訳ないところではありますが」
ヨハン様がマルクス大公を黙らせたタイミングを見計らって、マリアンヌ様が言葉を発する。とても息の合った連携プレイのように見えてしまった。
「私とマリアの不祥事のことですが……あれは、姉妹としてのスキンシップでございますわ。どのみち、マリアも陛下の子を産むために、そういう行為は必要ですし。少しでも慣れるために、多少のスキンシップを図ったと考えてくださいまし」
「マリアンヌ様……」
おそらくは、100点満点の回答だったのではないか。私にはそう思えた。流石はマリアンヌ様……マルクス大公が何も言えなくなったタイミングで、本題についての回答を出すなんて。なんというか、場慣れをしているわね。
「いいえ、それはおかしいんじゃなくて? 兄上もそう思うでしょ?」
「レディア……」
しかし、レディア様には通用していない……? マルクス大公は何も言えないようだったけれど、レディア様の反論が始まろうとしていた……。
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