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42話 マリアンヌの回答 その1

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「マリアとの仲、でございますか……」

「ええ、その通りよ。答えてちょうだい」


「畏まりましたわ」


 そう言いながら、マリアンヌ様は近くのソファ……私の隣に座った。ラウド大臣は無言でその背後に立つ。それから、私の肩を優しく掴んでくれた。何も言わないけれど、その瞳は「安心せよ、お前は運が良い」と言っているみたいだった。ああ、頼もしいわ……。


「私と、マリアの関係は……」


 ソファに座ったマリアンヌ様は軽く咳払いをして答える。


「正室と側室の関係は当然として……姉妹のような関係、と認識しておりますわ。もちろん、マリア自身がどのように感じているのかは不明ですが」


「マリアンヌ様……」


 若干、不安そうな瞳を私に向けているマリアンヌ様。あれ? 私の気持ちを伝えたことはなかったかしら? まあいいわ……改めて私は彼女に伝えることにした。


「ありがとうございます、マリアンヌ様。私も僭越ながら、マリアンヌ様と同じように考えております」

「ありがとう、マリア。もしかしたら、前にも聞いたかもしれないけれど、改めて聞けて嬉しいわ」

「いえ、こちらこそ……ありがとうございます」

「うふふ」

「あはは」


 と、女性同士特有の雰囲気が流れていた。それ自体は全く問題ないはずなんだけれど……レディア様とマルクス大公が黙ってはいなかった。


「いかんな、非常によろしくないことだぞ、兄上!」

「そうね……これは不味いことなのではなくて? お兄様?」


 二人とも真剣な顔つきになっている。私やヨハン様も自然と彼らに目線を合わせていた。


「どういうことだ? レディア、マルクス?」


「正室と側室の不純な関係……これは一体、どういうことだ?」


 まずは王位を狙っているのかもしれない、マルクス大公が言葉を発する。さっきの言葉だけで不純って……この人は純粋な清き心を持ちすぎなのでは? いえ、先ほどまでの言動からでは清き心を持っているとは、とても思えないけれど……。


「マルクス……お前にはそう見えるのか?」

「当然だ……正室と側室の本分を忘れているように思えるがね」

「正室と側室の本分……私の要求に応じ、夜になると、私の部屋を訪れて私の胸の下で……と、いうことを想像しているのか?」


「あ、兄上……! 言葉にしなくてもよい!」


 完全にヨハン様に手玉に取られているマルクス大公だった。この照れ具合……もしかして、マルクス大公はチェリーボーイなのかしら……? 確かまだ結婚をしていないはずだから、それであっても不思議じゃないけれど……。マルクス大公ほどの地位の人ならば、夜のお供として、娼婦を囲ってそうだけどね。


 もしかしたら、本当の意味で清き心の持ち主なのかもしれないわね。ただ、そんな人に国王陛下が務まるとは思えないけれど……。
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