42 / 43
42話 マリアンヌの回答 その1
しおりを挟む
「マリアとの仲、でございますか……」
「ええ、その通りよ。答えてちょうだい」
「畏まりましたわ」
そう言いながら、マリアンヌ様は近くのソファ……私の隣に座った。ラウド大臣は無言でその背後に立つ。それから、私の肩を優しく掴んでくれた。何も言わないけれど、その瞳は「安心せよ、お前は運が良い」と言っているみたいだった。ああ、頼もしいわ……。
「私と、マリアの関係は……」
ソファに座ったマリアンヌ様は軽く咳払いをして答える。
「正室と側室の関係は当然として……姉妹のような関係、と認識しておりますわ。もちろん、マリア自身がどのように感じているのかは不明ですが」
「マリアンヌ様……」
若干、不安そうな瞳を私に向けているマリアンヌ様。あれ? 私の気持ちを伝えたことはなかったかしら? まあいいわ……改めて私は彼女に伝えることにした。
「ありがとうございます、マリアンヌ様。私も僭越ながら、マリアンヌ様と同じように考えております」
「ありがとう、マリア。もしかしたら、前にも聞いたかもしれないけれど、改めて聞けて嬉しいわ」
「いえ、こちらこそ……ありがとうございます」
「うふふ」
「あはは」
と、女性同士特有の雰囲気が流れていた。それ自体は全く問題ないはずなんだけれど……レディア様とマルクス大公が黙ってはいなかった。
「いかんな、非常によろしくないことだぞ、兄上!」
「そうね……これは不味いことなのではなくて? お兄様?」
二人とも真剣な顔つきになっている。私やヨハン様も自然と彼らに目線を合わせていた。
「どういうことだ? レディア、マルクス?」
「正室と側室の不純な関係……これは一体、どういうことだ?」
まずは王位を狙っているのかもしれない、マルクス大公が言葉を発する。さっきの言葉だけで不純って……この人は純粋な清き心を持ちすぎなのでは? いえ、先ほどまでの言動からでは清き心を持っているとは、とても思えないけれど……。
「マルクス……お前にはそう見えるのか?」
「当然だ……正室と側室の本分を忘れているように思えるがね」
「正室と側室の本分……私の要求に応じ、夜になると、私の部屋を訪れて私の胸の下で……と、いうことを想像しているのか?」
「あ、兄上……! 言葉にしなくてもよい!」
完全にヨハン様に手玉に取られているマルクス大公だった。この照れ具合……もしかして、マルクス大公はチェリーボーイなのかしら……? 確かまだ結婚をしていないはずだから、それであっても不思議じゃないけれど……。マルクス大公ほどの地位の人ならば、夜のお供として、娼婦を囲ってそうだけどね。
もしかしたら、本当の意味で清き心の持ち主なのかもしれないわね。ただ、そんな人に国王陛下が務まるとは思えないけれど……。
「ええ、その通りよ。答えてちょうだい」
「畏まりましたわ」
そう言いながら、マリアンヌ様は近くのソファ……私の隣に座った。ラウド大臣は無言でその背後に立つ。それから、私の肩を優しく掴んでくれた。何も言わないけれど、その瞳は「安心せよ、お前は運が良い」と言っているみたいだった。ああ、頼もしいわ……。
「私と、マリアの関係は……」
ソファに座ったマリアンヌ様は軽く咳払いをして答える。
「正室と側室の関係は当然として……姉妹のような関係、と認識しておりますわ。もちろん、マリア自身がどのように感じているのかは不明ですが」
「マリアンヌ様……」
若干、不安そうな瞳を私に向けているマリアンヌ様。あれ? 私の気持ちを伝えたことはなかったかしら? まあいいわ……改めて私は彼女に伝えることにした。
「ありがとうございます、マリアンヌ様。私も僭越ながら、マリアンヌ様と同じように考えております」
「ありがとう、マリア。もしかしたら、前にも聞いたかもしれないけれど、改めて聞けて嬉しいわ」
「いえ、こちらこそ……ありがとうございます」
「うふふ」
「あはは」
と、女性同士特有の雰囲気が流れていた。それ自体は全く問題ないはずなんだけれど……レディア様とマルクス大公が黙ってはいなかった。
「いかんな、非常によろしくないことだぞ、兄上!」
「そうね……これは不味いことなのではなくて? お兄様?」
二人とも真剣な顔つきになっている。私やヨハン様も自然と彼らに目線を合わせていた。
「どういうことだ? レディア、マルクス?」
「正室と側室の不純な関係……これは一体、どういうことだ?」
まずは王位を狙っているのかもしれない、マルクス大公が言葉を発する。さっきの言葉だけで不純って……この人は純粋な清き心を持ちすぎなのでは? いえ、先ほどまでの言動からでは清き心を持っているとは、とても思えないけれど……。
「マルクス……お前にはそう見えるのか?」
「当然だ……正室と側室の本分を忘れているように思えるがね」
「正室と側室の本分……私の要求に応じ、夜になると、私の部屋を訪れて私の胸の下で……と、いうことを想像しているのか?」
「あ、兄上……! 言葉にしなくてもよい!」
完全にヨハン様に手玉に取られているマルクス大公だった。この照れ具合……もしかして、マルクス大公はチェリーボーイなのかしら……? 確かまだ結婚をしていないはずだから、それであっても不思議じゃないけれど……。マルクス大公ほどの地位の人ならば、夜のお供として、娼婦を囲ってそうだけどね。
もしかしたら、本当の意味で清き心の持ち主なのかもしれないわね。ただ、そんな人に国王陛下が務まるとは思えないけれど……。
0
お気に入りに追加
3,839
あなたにおすすめの小説
私の味方は王子殿下とそのご家族だけでした。
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のコーデリア・アレイオンはミストマ・ストライド公爵から婚約破棄をされた。
婚約破棄はコーデリアの家族を失望させ、彼女は責められることになる。
「私はアレイオン家には必要のない存在……将来は修道院でしょうか」
「それならば、私の元へ来ないか?」
コーデリアは幼馴染の王子殿下シムルグ・フォスターに救われることになる。
彼女の味方は王家のみとなったが、その後ろ盾は半端ないほどに大きかった。
冷遇された王妃は自由を望む
空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。
流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。
異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。
夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。
そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。
自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。
[もう、彼に私は必要ないんだ]と
数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。
貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。
完璧令嬢が仮面を外す時
編端みどり
恋愛
※本編完結、番外編を更新中です。
冷たいけど完璧。それが王太子の婚約者であるマーガレットの評価。
ある日、婚約者の王太子に好きな人ができたから婚約を解消して欲しいと頼まれたマーガレットは、神妙に頷きながら内心ガッツポーズをしていた。
王太子は優しすぎて、マーガレットの好みではなかったからだ。
婚約を解消するには長い道のりが必要だが、自分を愛してくれない男と結婚するより良い。そう思っていたマーガレットに、身内枠だと思っていた男がストレートに告白してきた。
実はマーガレットは、恋愛小説が大好きだった。憧れていたが自分には無関係だと思っていた甘いシチュエーションにキャパオーバーするマーガレットと、意地悪そうな笑みを浮かべながら微笑む男。
彼はマーガレットの知らない所で、様々な策を練っていた。
マーガレットは彼の仕掛けた策を解明できるのか?
全24話 ※話数の番号ずれてました。教えて頂きありがとうございます!
※アルファポリス様と、カクヨム様に投稿しています。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~
榎夜
恋愛
急に婚約者の王太子様から婚約破棄されましたが、つまり我が家は必要ない、ということでいいんですのよね?
「いつ婚約破棄してやってもいいんだぞ?」と言ってきたのはあなたですから、絶縁しても問題ないですよね?
りーふぃあ
恋愛
公爵令嬢ルミアの心は疲れ切っていた。
婚約者のフロッグ殿下が陰湿なモラハラを繰り返すせいだ。
最初は優しかったはずの殿下の姿はもうどこにもない。
いつも暴言ばかり吐き、少しでも抵抗すればすぐに「婚約破棄されたいのか?」と脅される。
最近では、「お前は男をたぶらかすから、ここから出るな」と離宮に閉じ込められる始末。
こんな生活はおかしいと思い、ルミアは婚約破棄を決意する。
家族の口利きで貴族御用達の魔道具店で働き始め、特技の刺繍や裁縫を活かして大活躍。
お客さんに感謝されて嬉しくなったり。
公爵様の依頼を受けて気に入られ、求婚されたり。
……おや殿下、今さらなんの用ですか?
「お前がいなくなったせいで僕は不愉快な思いをしたから謝罪しろ」?
いやいや、婚約破棄していいって言ったのはあなたじゃないですか。
あなたの言う通り婚約破棄しただけなんですから、問題なんてなんてないですよね?
★ ★ ★
※ご都合主義注意です!
※史実とは関係ございません、架空世界のお話です!
〈完結〉ここは私のお家です。出て行くのはそちらでしょう。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」マニュレット・マゴベイド男爵令嬢は、男爵家の婿である父から追い出される。
そもそも男爵の娘であった母の婿であった父は結婚後ほとんど寄りつかず、愛人のもとに行っており、マニュレットと同じ歳のアリシアという娘を儲けていた。
母の死後、屋根裏部屋に住まわされ、使用人の暮らしを余儀なくされていたマニュレット。
アリシアの社交界デビューのためのドレスの仕上げで起こった事故をきっかけに、責任を押しつけられ、ついに父親から家を追い出される。
だがそれが、この「館」を母親から受け継いだマニュレットの反逆のはじまりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる