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40話 レディアとマルクス その4
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「レディア、マルクス……よく来てくれたな」
ヨハン様は儀礼的に二人に挨拶をしていた。態度的にも伺えるんだけど……あんまり歓迎している様子はないようね……。
「うむ、兄上……久しぶりだ!」
「お兄様も大変そうね……顔つきが以前にも増して険しくなっているわ」
兄妹の出会いという意味では感動的なはずなんだけれど……あんまり、そういう雰囲気は感じられなかった。
-------------------------------------------------------
「兄上、話があるんだが、聞いてもらえるか?」
「いきなりか、マルクス。どうしたんだ?」
みなさんが席につき、一段落ついた後……マルクス大公がヨハン様に勢いよく話しかけていた。
「どうしたんだ、マルクス?」
マルクス大公のテンションには付いて行けないヨハン様。ため息を付きながら、彼の言葉を待っているようだった。
「兄上は面食いなのか?」
「なに?」
これでもか! と言わんばかりの直接的な質問に、レディア様も流石に頭を抱えているようだった。なんというか……レディア様は他国のパイプラインとして選べれるだけあって、十分な賢さはお持ちのようね。性格はともかくとして……。
「面食い……何が言いたいんだ?」
「兄上はそういうことに、現を抜かしていないか、と聞いているのだ! マリアンヌ自身も外見は美しいしな」
「……まあ、否定をすることではないが……」
あれ……? これってヨハン様の本音でもあるのかしら? 私の外見が悪くないと遠回しに言っている? こういう状況だけれど、私は嬉しくなってしまった。
「面食いかどうかは、マリアンヌとマリアの外見から分かるでしょう?」
横やりを入れるかのようなレディア様からの発言。美人であるレディア様から言われると、自信に繋がってしまう。
「兄上……」
でも、マルクス大公の表情は芳しくなかった。
「どういうことだ?」
「国王である兄上が外見で、妃や側室を選ぶなど……国民からの支持を失っても知らないぞ?」
マルクス大公はヨハン様の弱点を突いていると感じているのか、その表情は自信に満ち溢れていた。でも、ヨハン様の表情に変化は見られない。
「外見も含んで選んでいるだけのこと……それを言うなら、政略結婚自体、褒められるものではないだろう?」
「た、確かにそうだが……」
ヨハン様の言葉は正論だった。マルクス大公はすぐに反論が出来ない様子だ。さっきも彼は言っていたけれど、もしかして国王の座をまだ狙っているのかしら?
「ヨハン兄さまの手腕は凄い物があると思うわ。事実、国民からの支持も上がっているのだし」
ここに来て、レディア様がヨハン様に対してフォローのような発言をした。でも、それも一瞬のことだった。
「ただ……正妃と側室の間に怪しい関係があるみたいだけれど、これはどういうことなのかしら?」
「……」
私は平静を保つので精一杯だった……レディア様は他国に住んでいるお方。にも拘らず、この情報収集能力は並大抵ではない……私の中で彼女に対する警戒心が湧き上がってしまった。
ヨハン様は儀礼的に二人に挨拶をしていた。態度的にも伺えるんだけど……あんまり歓迎している様子はないようね……。
「うむ、兄上……久しぶりだ!」
「お兄様も大変そうね……顔つきが以前にも増して険しくなっているわ」
兄妹の出会いという意味では感動的なはずなんだけれど……あんまり、そういう雰囲気は感じられなかった。
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「兄上、話があるんだが、聞いてもらえるか?」
「いきなりか、マルクス。どうしたんだ?」
みなさんが席につき、一段落ついた後……マルクス大公がヨハン様に勢いよく話しかけていた。
「どうしたんだ、マルクス?」
マルクス大公のテンションには付いて行けないヨハン様。ため息を付きながら、彼の言葉を待っているようだった。
「兄上は面食いなのか?」
「なに?」
これでもか! と言わんばかりの直接的な質問に、レディア様も流石に頭を抱えているようだった。なんというか……レディア様は他国のパイプラインとして選べれるだけあって、十分な賢さはお持ちのようね。性格はともかくとして……。
「面食い……何が言いたいんだ?」
「兄上はそういうことに、現を抜かしていないか、と聞いているのだ! マリアンヌ自身も外見は美しいしな」
「……まあ、否定をすることではないが……」
あれ……? これってヨハン様の本音でもあるのかしら? 私の外見が悪くないと遠回しに言っている? こういう状況だけれど、私は嬉しくなってしまった。
「面食いかどうかは、マリアンヌとマリアの外見から分かるでしょう?」
横やりを入れるかのようなレディア様からの発言。美人であるレディア様から言われると、自信に繋がってしまう。
「兄上……」
でも、マルクス大公の表情は芳しくなかった。
「どういうことだ?」
「国王である兄上が外見で、妃や側室を選ぶなど……国民からの支持を失っても知らないぞ?」
マルクス大公はヨハン様の弱点を突いていると感じているのか、その表情は自信に満ち溢れていた。でも、ヨハン様の表情に変化は見られない。
「外見も含んで選んでいるだけのこと……それを言うなら、政略結婚自体、褒められるものではないだろう?」
「た、確かにそうだが……」
ヨハン様の言葉は正論だった。マルクス大公はすぐに反論が出来ない様子だ。さっきも彼は言っていたけれど、もしかして国王の座をまだ狙っているのかしら?
「ヨハン兄さまの手腕は凄い物があると思うわ。事実、国民からの支持も上がっているのだし」
ここに来て、レディア様がヨハン様に対してフォローのような発言をした。でも、それも一瞬のことだった。
「ただ……正妃と側室の間に怪しい関係があるみたいだけれど、これはどういうことなのかしら?」
「……」
私は平静を保つので精一杯だった……レディア様は他国に住んでいるお方。にも拘らず、この情報収集能力は並大抵ではない……私の中で彼女に対する警戒心が湧き上がってしまった。
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